講義録 遠くて近いパレスチナ6

パレスチナが占領地であるということは旅をしているだけでも感じる場面があります。チェックポイントと呼ばれる検問所を通過するときです。ベツレヘムからエルサレムに向かうバスに乗った時のことです。検問所に着くと皆無言でバスを降り列をなします。銃を携えたソルジャーが2人が近づいてきてバスに乗り込みパレスチナ人以外の乗客をチェックする。下車し列をなしているパレスチナ人のIDカードと許可証をチェックします。パレスチナ人はイスラエルから許可証を発行してもらわないとエルサレムに入ることはできません。仕事であっても病院であっても、です。ガイド業をしていて毎日通過している人でも急にNOを突きつけられることもあります。

パレスチナ旅のメインになるであろう、エルサレムのお話です。特にエルサレム旧市街は狭いながらも(0.9キロ平方メートル!)とても魅力的な場所です。だからこそ、そこを巡って争いがあるのかもしれません。まずはアラブ人地区にあるダマスカスゲートから入ってみましょう。入るとスークと呼ばれるアラブ典型のマーケットがあります。野菜を売ってるおばさんやスパイスを売っているおじさん、そしてファラフェルやフムスのファストフード店。イエスキリストが聖母マリアに最後に会った場所があったり迷路のようなスークを迷子になりながら歩くのがオススメです。そしてこの場所は聖地であり世界遺産です。この世界遺産の申請はヨルダンがしています。イスラエルでもパレスチナでもありません。ユダヤ地区、イスラム地区、クリスチャン地区、アルメニア人地区に分かれています。アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教としたのでこの場所があります。ユダヤ人の嘆きの壁、その奥に岩のドームがあります。ユダヤ人地区から嘆きの壁を眺めていた時、隣にいたユダヤ人がわたしに囁きました。あんなのただの壁だよ、何もありがたくなんてない。びっくりしましたけど、どうして?と聞くと、今モスクがある岩のドームのところ、あの神殿の丘が重要なんだ、ユダヤ人はそこを取り返したいんだ。そう言っていました。別の人は毎年ヨムキプール(ユダヤの祝日)の時に嘆きの壁に行って紙に願い事を書いてその紙を壁に挟むんだ、そうすると願い事が叶うから、そう言っていました。確か石が積み上げられた壁の隙間には紙がたくさんありました。日本でいうところのおみくじとか絵馬とかそんな感じかもしれません。後者の考えを支持したいところですね。その神殿の丘、岩のドームとアルアクサモスクは壁の横の回廊から行きます。壁に行くときも、この回廊の入り口にもセキュリティチェックがあります。壁ではキッパという男性用の小さな帽子の菓子大sがあります。岩のドームに行くには女性はヒジャブをしなくてもスカーブなどで髪を隠し肌の見えない格好をしなければなりません。男性もハーフパンツはだめです。神聖な場所ですので。右手にアルアクサモスク、左に岩のドーム。どちらもイスラム教徒でないと入れません。ここで出会ったイスラム教徒は異教徒以外も入ってもらって知ってもらうべきだと言っていました。わたしも入りたいですけど、セキュリティ的な面でも難しいでしょう。
キリスト教の場所のメインはやはり聖墳墓教会。ここに入るには今のところ、セキュリティチェックはないです。なぜでしょうね。ここは室内なので厳かな感じとミサ中はとても静かでそれこそ異教徒でも神聖な気持ちになりますね。
モザイク画でイエスが捕まり磔刑を受けそして復活する場面が表されています。
この辺はざっと見て終わってしまいますが、新約聖書を読んで行くことをオススメします。面白さが断然変わってきますので。
アルメニア人地区、ここはもうお土産屋さんが多いですけど、お祈りとかしてくれるので、よくわからないけどお祈りしてもらったり話しを聞いたりして楽しんでいます。お祈りしてもらって悪いことはないかなと。この3大宗教の聖地を歩いて感じることはそれ相応の格好をしてもらわないと見た目だけではどの人が何教なのかもわからないというのを改めて思います。観光なのか、本気の巡礼なのか誰がどう判断できようか?と思うわけです。至極当たり前のことではありますけど。

変わってエルサレム新市街は華やかというか、高級住宅地もありトラムが走っていて、おしゃれなカフェがあったり、高級ショッピングモールもあったり、アラブっぽさがあるようなないような、ないでしょうね。歩いている人が違います。それでもオーソドックスなユダヤ人ももちろんいます。そんなに面白みを感じず新市街に宿泊しながらもすぐに東側や旧市街に向かってしまいます。金曜日夕方ユダヤ教の安息日は街が静かになりトラムもバスもストップします。旅中はこのことをお忘れなく。

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