さあ!ランチの時間だ

Nadimの家は幹線道路から少し入ったところにある。この幹線道路はベツレヘムからヘブロンにつながるもので道路沿いにはパレスチナ西岸地区最大の難民キャンプデヘイシェがある。

ママー、ただいま。帰って来たよ。
おかえり!Azusa, welcome!!よく来てくれたわね。さあ、お腹空いているでしょ?入って。Nadim、テーブルの上片付けて!

ママの大歓迎を受け静かな自宅に入っていった。幹線道路が近いといえども少しだけ山手に入ったところにある。鳥の声がするくらいで静か、閑静な住宅街というほど家もなく落ち着いた場所だ。

広いリビングはこの辺のクリスチャンの家庭だと当たり前なのだが、イエスキリストのアイコンがところ狭しとたくさん飾っている。イエスキリストの写真に紛れて家族写真が飾ってあり、美人の2人が写っている。

これはね、Nadimの姉なのよ。もう結婚してね、今はヨルダンにいるわ。Nadimも早くいい人がいればいいんだけどねー。どうなの?Nadim
うるさいよ。僕のことはいいから。
いっつもそう、うるさいうるさいって。

パレスチナでも日本でも年頃の子供を持つ親のセリフ。そしてそれをうるさがる子供のセリフ。

ママはね、お姉ちゃんがちが出て行ったから僕しか小言を言う相手がいないからうるさいんだよ。

占領地でこんな微笑ましい光景が見られる。それが嬉しかった。そうじゃない場所がたくさんあるのを知っているだけに。
姉二人はヨルダンにいる。パレスチナにいるよりも自由がある。でも家族には簡単には会えない。

スパイスの香りとともにママが大きなこがね色したお鍋を抱えて来た。Nadimが心なしかそわそわしてその鍋を受け取り動きが若干早くなっている。お腹が空いてしかたないらしい。

うちのマクルーバは美味しいわよ。あとでレシピ教えるからね!いっぱい食べて。

ママがそう言っている間にNadimは無言でこのマクルーバという料理の語源である”ひっくり返す”という動作をしている。

お皿の上に逆さになっている鍋。それを引き上げると湯気がと香りが漂う。

ママー!ヨーグルト持ってきてー。

大きな体に似つかわしくない子供のように振る舞うNadim、そしてバケツのような容器に入ったヨーグルトを持ってくるママ。

好きなだけ食べてね。

スパイスで黄色く色づいたお米の中とともにゴロゴロと一口では食べられない大きさのビーフやジャガイモ、カリフラワーがザクザクが入っている。トマトの赤い色が食欲をそそる。
好きなだけお皿に取りたっぷりとヨーグルトをかける。マクルーバはパレスチナの伝統料理。

ママね、ちょっとお昼寝するからいっぱい食べてねー。

そう言ってママは側のソファで横になった。

美味しいね。

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