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6回目のパレスチナ

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2017年夏の旅。ヨーロッパに住むパレスチナ難民との出会い、本国でも出来事。一期一会の旅
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#旅

ショッピング2

ショッピング2

観光地の生誕教会から2キロメートほど離れた場所。人もまばらな市道のような車がやっとすれ違うことができるくらいの道を歩く。

道路沿いにある商店はなんてない食器や箒とちりとり、懐中電灯も売っている。観光客が欲しいものは何もないと見える。

サラームアレイコム。友達を連れてきたよ。

Nadimはこの商店の店主にわたしを紹介してくれた。

店舗は路面沿いの1階と中地下のような10段くらいの階段を降りた

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お買い物1

お買い物1

さあ、行こうか!

そう言って店の電気を消して戸締りをする。外に出ると重いシャッターを下ろし鍵をかける。

まずは、スパイス!スークにお気に入りの店があるから。紹介するよ。このすぐ近くだから。

広場を突っ切って教会を背にして右側のスークに向かう。スークはすごい人混みでみんな犠牲祭のためにお買い物をしている。案の定、スパイス屋さんも満員御礼という感じ。大声でアラビア語の単語が飛び交っているけど理解

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再会はいつも嬉し楽し!

再会はいつも嬉し楽し!

ハビービー!久しぶりね!

マルハバン!ウェルカム!もう教会には行ってきた?メラミーエ?それともコーヒーにする?

メラミーエはこの地方のセージのお茶のことだ。

メラミーエにする。ありがとう。さっき、お祈りしてきたよ。あの厳かな感じがやっぱり好きだなー。

Nadimは”そうだねー”と言いながら、わたしを店に残して外へ出て行った。店にはわたし一人。この緩さって・・・
そしてしばらくすると大きな体

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生誕教会、イエスキリスト生誕の地

生誕教会、イエスキリスト生誕の地

Nadimのお土産屋に向かう。生誕教会向かって右の角っこにあるのがそれだ。久しぶりのベツレヘムなのでまずは教会でお祈りをしよう。クリスチャンでもムスリムでもない、典型的な日本人のわたしは全くと言っていいほど信仰心はないが神聖な場所は好き。それは美しいから。

小さな、屈まないと潜れない教会の入り口を抜ける。今もなお改装中のこの教会は外も中も聖地なの?と疑いたくなるほど普通に工事中だ。

入ると抜け

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イエスの街を歩く

イエスの街を歩く

Beit Jalaにバスが着く。目の前には大きな看板が付いている信号機がある。バスを降りると多くの客引きがバンクシーの絵のある分離壁、周囲の観光地に勧誘する大きな声がある。毎度のことながら熱気がすごい。

もう勝手知ったる道、眼を瞑っていても生誕教会までたどり着ける気がする。本当にやってしまうとこの交通量の多い道、間違いなく交通事故。

進行方向にまっすぐ行けばヘブロンに向かい、その途中には古い難

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ベツレヘムに行こう

ベツレヘムに行こう

Nadimからメッセージが届いていた。

ママがランチに招待するって張り切っているから昼過ぎに遊びにおいでよ!

Nadimはベツレヘムのランドマーク、生誕教会(イエスキリストが生まれた場所に建つ教会)の真横と言ってもいいくらいの場所にあるお土産屋さんの一人息子だ。もともとはNadimの従兄弟と先に友達になっていて知り合った。お土産屋さんという職業柄英語も堪能でいつの間にか仲良くなっていた。

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時空を超える

時空を超える

少しだけ空の色が濃くなったエルサレム。商店のガヤガヤとした喧騒、ワンピースのようなアラブ服を着たおじさまたち、スカーフをまとった女性たち、旧市街外の芝生に寝転がる子供達、いつも通りの光景だった。

ダマスカスゲートから旧市街に入る。階段の両サイドにイスラエル兵、そして入り口にもイスラエル兵。着いてすぐのチラ見から実際に近づくと改めてイスラエル兵が増えたことを実感する。どう見ても見た目がアジア人のわ

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ただいまダマスカスゲート

ただいまダマスカスゲート

昼寝を終え、色々やることはあったがまずはここに。
旧市街の入り口ダマスカスゲートへ。少し日の傾いた頃、人々の往来。階段の上から見るダマスカスゲート。

前回から渡航から半年、あからさまにイスラエル兵が増えた。この時8月下旬。5月にはアメリカのトランプ大統領の渡航があり、その後イスラエルによるアルアクサモスクに設置されたチェックポイント(現在は撤去)、その影響でデモが増えたニュースは見ていた。

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たまにはイスラエルバス

たまにはイスラエルバス

バス停にいる数人の人。

シャローム、エルサレム行きのバスはここに来る?

来るはずなんだけどね。中々来ないのよ。もう直ぐ来るんじゃないかしら?

ありがとう。待ってみる。

バス停で待っていた地元民と思われる年配の女性に尋ねた。なんとなくヘブライ語っぽい英語だったのでこの辺の人だと思われる。

ただただ立ってバスを待つ時間。空のてっぺんに太陽がギラギラと輝いている。眠さと暑さ、疲れが増す。体感は

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エルサレム?ここ?

エルサレム?ここ?

何度も行っているというのはただの回数でどれだけ知っているのかの指標ではない。まざまざと見せつけられた。
エルサレムに向う列車の中でいつの間にか眠っていたわたしは眼が覚めるとどこかわからなかった。終点なのでとりあえず下車する。
早朝にドイツミュンヘンを出てそのまま空港で列車だったので、この抜けるような空の青さ、そして気温が体に染み渡り中東(といっても地中海沿岸だが・・)に来たと実感している。
改札を

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ベングリオンからエルサレムへ

ベングリオンからエルサレムへ

緊張のイミグレーションを通過し、ホッとする。まさに関所。ここさえ通り抜ければあとはもう自由自在。日本人のわたしなら。日本人というか、パレスチナ人ではないから。切ない。
ターンテーブルには荷物がどんどん乗っていっている。小さめのサムソナイトのスーツケースを探す。1ヶ月のヨーロッパ経由パレスチナ旅なのにスーツケースの大きさは2泊とか3泊の出張で使うサイズ。夏の旅は気楽でいい。
スーツケースをピックアッ

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そろそろパレスチナに向かおうか

そろそろパレスチナに向かおうか

ガザ人ムハンマドが住むアントワープを後にミュンヘンに向かった。数日滞在した後ミュンヘン空港からテルアビブに向かう。朝というより深夜タクシーでSバンの駅に行きそこから列車に乗って空港へ行く。まだ外は暗い。空港駅で降り電光掲示板でテルアビブ行きを確認する。定刻通り。とはいえ、イスラエル・テルアビブ行き。前もってチェックインをして荷物を預けておこう。ターミナル1。色んな航空会社のチェックインカウンターを

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ガザのキドラ#2

ガザのキドラ#2

大きめの鍋に浸水させたお米を入れてさっき作ったスパイスも入れてこれを炊くのよ。

ソファでニコニコしていたムハンマドがおもむろに立ち上がる。
何かと思えば畳一畳ほどの絨毯を広げる。

お祈りが始まる

絨毯の前でフウ〜と深呼吸。小さな声で何か言っているけど聞き取れない。お祈りの時に言うセリフだろう。

見ていると、ヨガの太陽礼拝そっくりだ。イスラム教徒の友達は何人かいるが間近でお祈りをしている姿に

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ガザのキドラ#1

ガザのキドラ#1

さあ、準備開始よ!お米は洗って浸水させる。日本ではお米食べるでしょ?お米はこんな感じ?同じ??

ここで使うお米はバスマティライスだった。あの長細いお米。日本だとタイ米みたいな形というと多くの人にわかりやすいだろう。それこそ、わたしが子供の頃に米不足でタイ米が大量に輸入され学校給食で使われたそれとは厳密には違うのだが。

バスマティライスの良い香りがするー!日本のお米はもっと丸っこくてね、炊くとも

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