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聖地パレスチナ 一人散歩

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聖地パレスチナ一人歩き。非日常にあふれた旅の記録
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#小説

カオス・テルアビブ

テルアビブバスターミナルの隣、シェルート乗り場に到着する。ここから市内を走るシェルートに乗り換えて街の中心部へ向かう。安息日シャバットのこの日は店もほとんど閉まっており心なしか静かで全くと言っていいほど活気を感じない

え?ここが本当に最大の都市なの?心配になる。

Alley Streetで降車しテルアビブの街を少し歩く。人気を感じなかった街からビーチが近くなるにつれて競い合うかのように露出しカ

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ベツレヘムを後に

ベツレヘムからテルアビブに向かう。まずはバスでエルサレムに入りそこからバスまたはシェルートでテルアビブへ。運悪くこの日は金曜日ユダヤの安息日であるため必然的にシェルートを使うことになる。いつものバスターミナルへ向かうとアラブ人の大声で”エルサレム”と叫ぶの声。これだけ大声で知らせてくれると行き先を間違えることはない。ニッコリと笑ってバスに乗り込む。人が集まれば出発。時間通りとかそういったことを考え

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ファラフェル修行終了

奥のキッチンに行こう。そういってわたしをキッチンに迎え入れてくれた。そこにはひき肉を作るような大きな機械が鎮座しており、これがひよこ豆をファラフェルへと化していくためのものなのだ。

ファラフェルは簡単だよ。これさえあればね。そういって仰々しい機械を指差した。

さあ、たねを仕込もう。Ready?

OK!!BOSS

そう言って笑い合った。

彼の指示通り、と言ってもすでに準備している材料をこの

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ファラフェル修行開始

朝起きると今日も日差しが強そうな白っぽい太陽がわたしの寝床を照らしていた。眠たさと今日も楽しいという確信が入り混じりつつバルコニーで太陽を拝む。眼下にはオリーブの樹やイチヂクの樹、なんてない風景なのだが何度見ても飽きることがない。

昨日約束していたファラフェル修行。楽しみすぎる。早速身支度をし民家のファラフェル屋さんを目指す。昨日の記憶をたどりつつ道を歩く。この壁が見たな、右だっけ左だっけ。同じ

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ベツレヘムの住宅地にて

世界遺産の地、ベツレヘムも生誕教会とその周辺以外は至って普通の場所だ。人々が日々の生活をする場。住宅地があり、小さなスーパーマーケット、お惣菜屋、小さなモスク、そして瓦礫の山。

とにかく歩いてみることにする。飾られていないベツレヘムを感じてみようじゃないか。

あてもなく歩くのは本当に疲れるので終点を決める。それに向かって寄り道しながら迷子になりながら歩いていくことにしよう。わたしは宿からいつも

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デヘイシェ難民キャンプでの出会い

壁に色んな人の顔が描かれているけど誰なんだろう?政治家とか?有名な人?

彼らは戦士だよ。パレスチナのために戦い死んでいった仲間だよ。 

その顔の多くは少年だった。まだあどけなさが残るその顔、その笑顔にやるせなさが募る。

すると男性が言葉を発した。

僕は生きている。大学で法律を学んで卒業したけど、仕事もないから難民キャンプのパン屋で働いているんだ。家族と住んでるよ。それだけで十分だ。愛する家

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デヘイシェ難民キャンプに行く

ヘブロンからベツレヘムに戻る時に見た場所。幹線道路に面した建物の壁一面に施されたヤーセル・アラファトの顔。今まで見てきたベツレヘムとは違う雰囲気。思わず隣り合わせたパレスチナ人に聞いた。ここは一体何?

難民キャンプだよ。といってももう何十年もあるんだけどね。何も変わらないよ。

その場所は隣りに大きくUNの文字・国連の建物があり、その横にはイスラエルの基地がある。

難民キャンプ。想像していた難

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壁にあるメッセージ

おじさんの背中、その先にある高い壁、ここからは空は見えない。お茶をすすり、しばらくぼーっと座り小さな空を眺めていた。

おじさん、お茶ありがとう。美味しかった。向こうのほうまで歩いてみるね。またね。

そう言って、わたしは小さな整備工場をあとにし大股で2歩程度の幅しかない壁の脇道を歩いた。壁にはグラフィティーだけではなくボランティア組織が掲示している地元の子供たちの作文があった。

16歳の少女、

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ベツレヘムにある壁。分離壁・別名アパルトヘイトウォール。イスラエルによって建てられたこの壁はすでに400キロメートルを超える距離があるにもかかわらず今もなお建設中でありその一部にはUKアーティスト・バンクシーがグラフィティーを描き残している。そのこともありこの壁を見ようと若者やアート好きまたコレクターなども足を運び今や一大観光名所の1つとなっている。

しかしながら、この壁は国際連合総会では非難決

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ヘブロンを歩く

モスクを出て歩く。ひんやりとしたモスクから灼熱の炎天下に。

あのチェックポイントの向こうに学校があるから行ってみる?きっと生徒も喜ぶよ。

舗装もされていない砂地に仰々しい有刺鉄線と回転ドアのようなチェックポイントを抜ける。その先の見える範囲にまたチェックポイントがある。チェックポイントポイントだらけのこの街。いたるところにチェックポイント。一体機能しているのかいないのか。そう思わせるほどだ。

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イブラヒムモスク

人でごったがいした新しいスークを抜け、オールドシティに向かって歩く。急に埃っぽく喉がイガイガとしてくる。心なしかアラブ人たちの商魂もより一層逞しい気がしてならない。お土産用のマグネット、ブレスレット、洋服、石鹸、オイル、スパイス、ありとあらゆるものを売りつけてくる。それに遮られ普通に歩けば数分のところを10分以上取られるのだ。

空を見上げると、網が何重にも施されている。屋根がではなく網。石やゴミ

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ヘブロンに向かう

早朝、朝日は靄で薄いピンクのような色をしている。今日はヘブロンに向かう。ベツレヘムから40kmほど南に進む。宿から坂を登って下ってバスターミナルに向かう。男たちが大声で行き先を叫んでいる。これでバスに乗り間違えることはない。

ヘブロン!!ヘブローン!!!

イエス!ヘブロン!!

アラブ語は読めなくともこんな簡単なやりとりでバスに乗り込む。一応聞いてみる。

何時に出発?

席が埋まったらね。

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夜のベツレヘム

イエスキリストの生誕の地であるベツレヘムの夜。生誕教会もその向かいにあるモスクもイルミネーションで光浮き立っている。

さあ、行こうか。

ジョージショップの前に来ると、車を停止させたジョージが待っていた。

白いセダンに乗り込み、暗くてまったくどこを走っているのか分からない道を行く。

まずついた場所は一見するとただの渋滞を眺めているだけのように見えた。

ほら、見て。

え?

ナンバープレー

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イエスキリスト生誕の地

坂の登りそして急勾配を下り、そこを右に曲がるとピースホステルがある。23階建のその建物は宿主の住居とゲストハウスが一体となった大きな家だ。話好きのお父さんと経営者の息子、そしてお母さんがいる。荷物を宿に置き歩きに行く。まずはイエスキリストの生まれた場所である世界遺産降誕教会に向かおう。

時刻は午後3時をすぎていた。しかし雰囲気は明るく活気がある。この地の世界遺産はすべてヨルダンの管轄となる。パレ

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