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どんだけ神頼みしたんだ(入院10、11、12日目)

入院10日目(33週5日)

 今朝から、コロナ禍で中止されていた医大の看護学科の実習が始まったらしい。看護師さんに連れられて、学生さんたちが挨拶に来られる。「やっと始まってよかったですね」と声をかけると目がほほ笑んでいる。ひっそりとしていたMFICUも、少しだけ人の気配が増えた。

 そんな中、病床に寝転びながら3日くらいかけてiPhoneに打ち込んでいた、仕事の書類を送信した。パソコンを持ってきているとはいえ、いきなり膝の上で開いても全然手元がおぼつかないけれど、寝転んでiPhoneなら何とか打ち込める。眠れなくて手持ち無沙汰な夜にも、意外と進む。この書き方なら何とかやれそうだと思えてきた。手元にある案件を手放さない限りは、安寧は訪れない。

 少しずつ食欲も戻ってきた。動悸とほてりは継続しているけれど、すさまじい虚脱感よりはずいぶんましだと思える。2時間おきだとしても、寝られるだけまし。寝るときは、おなかが重いし、点滴の付いた腕も気になるので、ベッドを少しだけ起こし、リクライニングを斜めにして寝るのが安定する姿勢だと分かった。中の人はとにかくほぼずっと動いている。助産師さんが「もうご存じと思いますけど、赤ちゃん夜の方が元気なんですよね…」と言われる。知ってた。親も夜型なら不可避なんだよ。

 友人が子どものお下がりをいろいろ送ってくれることになった。数枚の服と数枚の肌着を買っただけで入院してしまったから、何も足りてない。何が必要なのかのチェックさえしてない。本当にありがたい。そして、人事部とメールをやりとりして、先月末に入院して職場から離れた旨を伝えたら、その入院日から産休を起算するということになり、つまり私は本来産休入りするはずだった日にちを遡って、10日間ふいにしたということが分かった。なんだかすごく損をした気がする。

入院11日目(33週6日)

 昨日SNSに書き込んだのを読んで、10年ぶりくらいに同級生からメールが来ていた。別の友人からメアドを聞いてたとのこと。「出産予定と知りました。体に気を付けて、元気な赤ちゃんを産んでね」。つながっている範囲外から読まれてると思わずにびっくりした。会社の先輩からは御朱印とお守りをもらったり、後輩からは茅の輪をもらったり、本当にいろんな人に心配をかけている。どれだけ神頼みしてもらっているんだろう。自分は全然参拝できていないのに。

入院12日目(34週0日)

 今日の朝食はひじきに高菜にサラダにおかゆ、お味噌汁、牛乳とヨーグルト味ゼリー。朝はいつも生野菜のサラダが付くので、おかゆよりもパンの方が合う気がしてきた。朝はパン食に切り替えると要望しようかな。
 ひとまず今日で34週には入った。医師から「肺の機能はこれでひとまず大丈夫。でも、なるべく正産期がいいので」と言われた。個室はあさっての午前で引っ越さなくてはいけない。個室じゃないと、電話ができないのが地味に痛い。夫と名付けの相談もできないじゃないか。パソコン作業も周囲に気を使うので、個室希望に変更の旨を伝える。最も安い個室は9000円らしい。医療保険をきっちり請求して払うのだ。入っている二つの保険を合わせたら1日8000円はもらえる見込み。

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