-年齢を重ねる-
世の中の多くの人は、年齢を重ねることで、許せるものが増えるのであろうか。
例えば、未成年をたぶらかすこと。
例えば、情のない性愛を重ねること。
わたしは、過去のそういう後悔があるから。
同じ過ちをくり返したくはない、そう思っている。
例えば、情愛のない性愛に、その人のことを、どこかで陰ながら想っている人もいるのかもしれない。
そう考えるなら、わたしは誘われても断るし、もちろん、自分から誘おうとは思わない。
どこかで、その人を想う人も、いるかもしれないから。
過去に、わたしの友人が、その誰かであったのだから。
その友人は、程なく死を選んだ。
わたしは、未だに、自分のことを責め続けている。
再来年で、丸20年になる。
今でも、最低でも年に一度、時として、年に複数回、お墓に手を合わせている。
誰かを許すこと、誰かを認めること。
それは、もしかしたら、自分を許すことなのかもしれない。
あと少し、あの頃の自分を許してあげることができたら。
でも、わたしは博愛を謳う。
大切に想う人であるなら、その人を大切に想う人は、自分の他にもいるかもしれないし。
それなら、ばかだと笑われても、純愛だと嘲笑されても、年甲斐もないと冷笑されても。
わたしは、その人を想えたら、と思う。
醜い人生かもしれない。
恥ずかしい人生かもしれない。
それでは、明くる吉日に。
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