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コンクリート診断士2024年度第3問解説

【問題3】
コンクリートの炭酸化および中性化に関する次の記述中の(A ) ~ ( D )に当てはまる( 1 ) の語句の組合せのうち、適当なものはどれか。
細孔内に浸入した二酸化炭素が細孔溶液中に溶解し,各種セメント水和物と反応するのが炭酸化反応である。コンクリート内部の空隙が水により満たされた場合には、二酸化炭素が( A ) ため、炭酸化の進行が( B )。
細孔溶液のpHは、通常12 ~ 13のアルカリ性である。このアルカリ性の保持に寄与しているのは水酸化カルシウムである。セメント種類以外の配(調)合が同条件のとき、( C )を用いた場合は、 ( D )を用いた場合より、一般に水酸化カルシウムの生成量が少なくなるため、中性化しやすい傾向がある。

選択肢

中性化の基本的なメカニズムの問題ですね。 
中性化とは、アルカリ性のコンクリートのpHが中性になる現象のことを言います。
炭酸化とは、コンクリートを構成している水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムになる現象のことを言います。
コンクリートは炭酸化を経て、中性化すると覚えておいてください。
二酸化炭素がコンクリート中に侵入する流れは以下のとおりです。
①コンクリート中に細孔ができる(セメントペーストと骨材でできているため、ミクロな空隙のイメージを持ってください)
②空気中に含まれる二酸化炭素が細孔に侵入する
③二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応する

水に満たされると空隙内全てが水で覆われるため、②の細孔に入れないため、炭酸化できません。よって、(A)と(B)の回答は完了したかと思います。

次に混合セメントと中性化速度の関係です。
混合セメントの問題に当たった時に考えて欲しいことは、鉄筋の不動態皮膜を維持するために必要なアルカリ性を作るのは何だというところです。
そしてそれは、水酸化カルシウムの生成量になります。
混合セメントというのは、凍害耐性や塩害耐性を上げるために、水酸化カルシウム水和生成物を高炉スラグ微粉末で一部置換したり、水和生成物とフライアッシュで生じるポゾラン反応で緻密構造を生成したりしています。要は、水酸化カルシウムを生成過程で消費しているのです。(土木学会の論文で実験により証明されています)
これにより、普通ポルトランドセメントよりも中性化速度は早いのです。
ちなみに、中性化速度の順番は、普通ポルトランドセメント<高炉スラグ微粉末<フライアッシュになります。

以上になります。今日もお疲れ様でした。

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