見出し画像

自分とつながる問いと対話の場──Think Out!016レポート

普段会わないような人と、普段考えないような問いについて対話をしながら考える「頭のワークアウト Think Out!」。2020年11月22日(日)に行われた第16回(テーマ:つながり)のレポートを、参加者の田中さんが執筆くださいました!「良いつながりとはなにか」を考えることから対話をはじめた田中さん。対話を進めるうちに、新しい問いがどんどん浮かんでくる様子が伝わってきます。みなさんであれば、どんな問いが浮かんでくるでしょうか。ぜひ、レポートを楽しみながら考えてみてください。(事務局タガイ)

良いつながりとはどんなつながりか

今回のテーマは「つながり」。まず、「つながり」についての問い出しから始まりました。参加者が思いつくままに、「つながり」に関する自らの問いをチャットに書き込みました。

20分後、それぞれの問いを抱いたまま、ブレイクアウトルームに移動しました。私は6人の部屋に案内されました。そこで、自分の問いとその問いを立てた理由について紹介し合いました。その中から参加者でより深めたい問いを設定して対話を始めます。私の部屋では、「良いつながりとはどんなつながりか。」という問いから対話をスタートさせました。

ある参加者は、「良いつながりとは、自分がそこにいていいと思えること、自分が貢献できていると感じられること、そして何より自由であること。」と話しました。その意見を聞き、私は次のように問いました。「そのような良いつながりのためには、自分が変わったり、相手に合わせたりすることが求めれる。つまり良いつながりのためには努力しなればいけないということだろうか。」すると、別の参加者が「つながりは、自分に都合のいいように使えばいい。自分のやれる範囲でいい。無理に努力して合わせる必要はない。」さらに別の参加者が「つながりそのものに良い悪いはない。すべては自分が決めること。」と話しました。
それらの話を聞いて私は、すべてのつながりを良いつながりにしようと躍起になっていた自分に気付きました。良いつながりを築けることもあるし、そうでないこともあるし、つながりはもっと緩やかに捉えていいのだと感じました。

自分とつながるとはどういうことか

2回目のブレイクアウトルームに入る前に、ある参加者から「自分とのつながりについても考えたい。」という提案がありました。そのとき、私には違和感がありました。「自分とつながるとはどういうことか?」「自分とつながっていない状態などあるのか?」2回目のブレイクアウトルームでは、「自分とのつながり」について考えることになりました。私は違和感を抱えたまま、新しい部屋へ向かいました。

新しい部屋では、ある参加者が、「自分と自分がつながるということは、おそらく主体となる自分とそれを見ている自分がいるということで、一方の自分は実在しないわけだ。そう考えると、自分とつながるということが、本当にあるのだろうか。」と問題提起しました。それに対して、別の参加者が、「オンラインが主流となる前まで、私は家の外と中でうまくやっていた。家の中は自分との対話の時間だった。それが今は家の中にまで外の世界が持ち込まれ、うまく対応できなくなっている。」と話しました。私は次のように尋ねました。「よく分からなくなってきた。もう一度教えてほしい。自分とつながるって、どういうことなのか。」すると、また別の参加者が、ハンナ・アーレントの言葉を用いて、「私は孤独じゃない。いつもワイワイしている。たくさんの自分と議論している。」と話しました。関連する意見やエピソードがたくさん語られました。
それらの話を聞いて私は、「職場の自分、家庭の自分、常に多くの自分がいて、時には否定すべき自分もいて、それらの自分と向き合うことが、自分とつながるということではないか。」と考えました。そして、「自分と向き合う(自分とつながる)作業がどのように行われるものなのか、その結果どのような現象が起こるのか」という、新たな問いが生まれました。

「自分とつながる」ことができる場

対話終盤、「このような哲学対話の場面に自分を置き、自分とは異なる価値観に自分をさらすことで、それまで自分が気付いていないかった別の自分と出会うことがある。」という考えが出されました。「自分とつながる」ツールとしての哲学対話の可能性を感じました。
分からないことを問い、その問いの答えを参加者全員で求め、その結果、分からなさが増していく。こんな体験(もやもや体験)をぜひもっと多くの方々と共有したいと思いました。

田中さんのレポート、いかがでしたでしょうか。ご興味持たれた方はぜひ、次回、12月20日(日)開催、年内最後のThink Out!(テーマ:(未定))にお越しください。運営メンバー一同、お待ちしております。詳細・お申し込みはこちらから。

よろしければサポートいただけますと幸いです。いただいたサポートは哲学対話を広げるために使わせていただきます。