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生物多様性地域戦略を保全計画として具現化するシステムを開発しました

生物多様性の保全計画を具現化する

私の研究室で総力をあげて取り組んできた生物多様性保全利用指針OKINAWAの暫定版が公開されました。そのお披露目となったシンポジウムも大成功に終わりました。保全政策の立案に研究者が直接的に関与するというのは、あまりないと思うのですが、自分たちの研究成果を社会実装できるのは感無量です。

そもそも今回の「沖縄県生物多様性ブランド発信事業」における保全計画の分析は、沖縄県の自然保護課のある方が、久保田研の学会発表をご覧になって、「システム化保全計画のアプローチを用いて、沖縄県の保全指針を改訂したい」と一念発起されて、私にご相談に来られたことから始まりました。

私たち研究者サイドのアプローチを全面的に信頼してもらえたので(これもすごい先見の明だと思うのですが)、保全研究の最先端の概念と分析手法を文字通り「実戦投入」することができ、生物多様性保全の研究室として実践的な経験を積むことができ、大きく発展できたと感じています。

全国の自治体の自然環境保全計画に貢献します!

今後、同様なアプローチで、全国の自治体の自然環境保全計画の策定に貢献していく予定です。

既に、日本全国の生物多様性ビッグデータを整備しているので、日本全国の自治体の要望に対応可能です。

SDGs達成にも関係する生物多様性保全策を、実際のアクションプランとして具体化するには、科学的データと分析が不可欠なので、今回の経験を元に、他自治体でも同様なプロジェクトを開始します。

SDGsやポスト愛知目標の観点から、実効性のある自然環境保全政策を立案したい! と考えておられる地方自治体の方、是非、ご相談ください。

例えば、熊本県と鹿児島県の事例は、以下の記事をご覧ください。

本記事に関する論文も発表しました。詳細は以下もご覧ください。

久保田 康裕, 楠本 聞太郎, 藤沼 潤一, 塩野 貴之, 鈴木 亮, 福島 新, 小澤 宏之, 宮良 工. 2019. 生物多様性地域戦略を空間的保全優先度分析で具現化する: 沖縄県の生物多様性保全利用指針OKINAWA 作成の事例. 日本生態学会誌 69: 239-250.

参考文献

久保田 康裕, 楠本 聞太郎, 藤沼 潤一, 塩野 貴之(2017)生物多様性の保全科学:システム化保全計画の概念と手法の概要. 日本生態学会誌 67: 267-286.

Lehtomäki J., Kusumoto B.,  Shiono T.,  Tanaka T., Kubota Y., Moilanen A.  (2018) Spatial conservation prioritization for the East Asian islands: A balanced representation of multitaxon biogeography in a protected area network. Diversity and Distributions 25: 414-429.



いただいたサポートは、 生物多様性保全の研究成果を社会実装するために、日本各地を訪問してお話させていただく際の交通費に使わせていただきます。