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【62,000字】 コロナが変える働き方〜集中のプロ井上一鷹が語る〜【最新版をWeb全文公開】2020/05/19更新

0. 前書き

本日は、2020年5月2日。中国武漢を発端とするコロナ騒ぎを経て、日本では最初の大型連休です。今回、なぜこんなことを始めるか、と言えば、

シンプルに、ヒマだから・・

いや、一応もう少しちゃんと言えば、

コロナでどんな風に働き方が変わっているか、どう対応していくべきか、をけっこう幅広い人と議論する立場にあるので、このナレッジを共有していくべきだと思っているから

です。

この執筆の目的は、概念的には以下になります。
2020年5月の現時点は、Withコロナであり、過渡期の真っただ中です。

1章では、まずBeforeコロナとの差を分解/理解することで、Problemの理解のサポートになればと思います。ここのProblemはネガが取りざたされていますが、純粋にポジを語る人も多くいます。これらをできるだけざっとさらっていきます。

2章では、Afterコロナが、個々人がもっと良い感じに働ける準備を整えていくためのSolution提案をしたいと思っています。

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次に、少し自己紹介がてら、自らの“役割”を何に置いているか、を話します。(興味ない場合は、1章に飛んでくださいね。)

0.1 自己紹介

0.1.1 ポジショントーク編

井上一鷹と申しまして、JINSというメガネ屋の新規事業開拓を生業にしています。

JINSでは、JINS MEMEというメガネ型のデバイスで、集中力を可視化して、どんな環境を整えると人が集中して、気持ちよく働けるか、ということを空間に落としたり、その体験価値をしっかり作って提供していく、ということを新規事業としていて、株式会社Think Labというところの取締役をさせてもらっています。

Think Labでは、2/3に電通さんのビルの下にBtoCの店舗をOpenしました。
その後すぐからのコロナ騒ぎで、汐留経済圏がほぼ凍結して2か月強になります。
私も、コロナによる多大な影響を受けている状況です。

元来、Think Labでは、Live your Lifeというブランドコンセプトを置いており、

「夢中になれるひとりの環境を提供すること」

に気概を持ったメンバーで、チームを作り運営しています。

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Think Lab 汐留 の入口

そのコンセプトの実現のためには、在宅勤務での働き方がどうあるべきか、などの課題感を聞き、Think Labとしてできることを今新しく仕込んでいます。

特に日本では、オフィスで時間労働することが当たり前な世界を払拭することに悩んできたので、このトレンドは、かなり機会に変えられる可能性は本気で感じています。

なんとか、タイムリーに次の時代の“新しい当たり前”を作り皆さんに届けたいと本気で思います。(Think Labの詳細はこちら


0.1.2 ポジション外トーク編


今この瞬間の私はゴールデンウイーク中の個人なので、個人井上としてのポジション外の気持ちも添えます。

後述しますが、私は、良くも悪くも単身で最高の仕事場所を家に作っているし、業務内容/役割的に、在宅勤務中心の生活が最高で、効率もよいし、働き方に関しての変化は、ポジ95%、ネガ5%程度です。

ちょっと前に以下、Newspicksの在宅勤務特集で記事にしてもらいましたが、個人的に、今までにないほどの反応の量だったので、この文章を書き始める理由にもなりました。

↓ご興味ある方はぜひ


それでも、コロナによる影響は事業のピボットを余儀なくしている状況です。
この2か月程、働き方の変化に関して、多くの子育てママや友人の話などを聞いていて、

①仕事環境の理由で苦しんでいる人
②所属している産業の未来が不安すぎる人
③現状の社会的立場(仕事役割/家族構成)への後悔まで口にする人

の言葉を耳にしていて、あまり持っていないはずの正義感があふれるくらい、の状況です。
(ポジション外と言いつつ、わりと、真面目なことを書いていますね・・


無理して本音っぽいことを言えば、小売/空間事業を生業にしていると、この状況は、

「うまくいけば最高のポジションが取る可能性はあるけど、
そうじゃなければ、事業を待つのは死」

という状況であったりはします。
なんとか、多くの人の支えになるサービスを作ることが我々の生きる道でもあるので、そんな気持ちを込めて書いていきます。

0.2 取り扱う範囲

これまで、私が向き合ってきた、いわゆるオフィスワーカーの知的生産活動以外を対象としても、あまりにも私見にすぎなくなっていくので、

知的生産活動(情報を得て、知恵を生み出して、何かを動かす)
×
環境(広義な意味での)

に関することを対象とします。

環境としたのは、労働関連法に起因する雇用形態の在り方の問題など、社会システムの視点から語ることよりは、

個人が今日から変えられること

にフォーカスしたいと思います。


1. Problem:コロナの影響/何に悩むことになるのか?


では、本題に入っていきます。
まず、緊急事態宣言が出てから、私が所属するJINS HDも原則自宅勤務で、200人程度いる本社人員はほぼ在宅勤務をはじめ、1か月以上が経ちます。

東京都内では、4/20時点でのパーソル総合研究所の調査では、東京都で、正社員の49.1%がテレワークを実施している、というデータが出ています。

Beforeコロナの時代にも、多くの会社がテレワークを導入出来ない言い訳にしていた、PCなどにインフラに関しても、動きを耳にします。

デザイナーの友人の会社では、緊急事態宣言前までは、デスクトップPCを使わざるを得ないから無理だと言い張っていた経営陣も、急遽PCを会社から郵送して、在宅勤務に強制的に動かすなどの動きを聞きました。

中でも、メルカリさんが、いち早く在宅勤務手当(6か月分)6万円を社員に給付することなど、多くの企業が在宅勤務支援/新型コロナ手当、中にはオンライン飲み会手当なども出しているIT系ベンチャーを中心とした動きがみられます。

大企業でも、NWインフラや水道光熱費への給付などが結構なスピード感で提供が進んでいることを複数耳にします。

ものすごく、時代が大きく変化している様に感じます。
日本みたいな国/あんなタイプの会社でも、こんなスピードで変化に対応するのか!
という、高揚感を感じます。(不謹慎かもしれませんが)

しかし、これらの動きに対して、まず正確に見るうえで大事なことは、

「Beforeコロナの時代に描いていた未来がやっと来ているだけ。でも、首がもげるくらいの加速度で。」

ということです。

JINS MEMEやThink Labを通じて、HR Techや働き方改革関連のカンファレンスに呼ばれて話すことやそれらの友人を多く作れてきた数年だった私としては、起きている事象そのものは、「やっとかよ・・」という気持ちも無くはありません。

でも、そのスピード感と影響範囲は、有事そのものだと思います。
普通のトレンドは、アーリーアダプターが社会を代表して、PoCしてくれてそれらがずっとキャズムで止まって、マスマーケットに移行していくのには、じっくり時間をかけて、浸透していきます。

それが急に、「え、まじであの人にZoomやらせるのか・・」みたいなことが起きているわけです。

在宅勤務に関して、結構幅広く話を聞いてみたので、タイプ別をして議論をしていきます。


1.1緊急事態下の仕事への反応

1.1.1 人によって全く違う反応 と タイプ別の課題感

緊急事態での仕事に対する反応は、人によって大きく異なります。

以下の変数によって、課題は変わってくるように聞こえます。

①環境整備度合い
②家族構成
③仕事へのスタンス
④会社の人との関係


まず、①環境整備度合いですが、これは2章のSolutionの方で詳しく話すので、細かくは語りませんが、以下のような話が出てきます。

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これに加えて、20種類ほどあるので、後述。
環境の整備は、多くの観点で余地が見受けられていますので、我々なんとか急いで提案できるように頑張ります。

そして、各人の反応が大きくずれるところですが、②家族構成(横軸)と③仕事へのスタンス(縦軸)でポジとネガの真逆に触れている様に聞こえています。

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例えば、私は左上にいるのでほぼ良いことしかなく、ノウテンキな感じで怒られちゃうこともありますが、

共働きで、双方在宅勤務、育児あり(緊急事態につき、保育園休園)の際の悩みなどは、本当に深いです。

そしてもう一つが、日本が特に内包している課題視すべき点です。
9時~17時で出社していること自体に、労働対価をもらう、スタンスのTime Workerが多くいることです。

これはもちろん、国全体で解雇規制を強くし、メンバーシップ型の雇用形態を続けてきたことにも問題がありますが、社会システムの課題として置いておいても、個人の生存戦略的には何の意味もありません。

Time Worker的仕事の仕方が悪いとか良いとか、という議論をしたいのではなく、問題は、その方々の自己肯定感が満たされなさすぎることにあると思っています。

むしろ、うまく課題を切り分けて、遠隔でも渡すことができる管理者がいれば、Time Worker的働き方は、効率的に価値を生み出し続けられる可能性は残っていると思いますが、その管理者が育つまでは、Time Worker的働き方の方々が苦しんでいる様に聞こえています。

今の瞬間は特に、コロナ渦の対応で非日常業務が増えて、マネジャーがその対応に追われていることが多いのか、その指示を受けて仕事をするTime Workerが、手が空いてしまうことも多くあるのだと思いますが、何の役に立っているんだろう、という気持ちになり、貢献感や自己肯定感を著しく失っている現象を耳にします。

自分の仕事が、組織や事業全体のどこに紐づいていて、何のために重要なのか、を伝える力や組織力がむちゃくちゃ大事になってくると考えています。


ミスチルの「彩り」という曲の冒頭を知っていますでしょうか。

「ただ目の前に並べられた仕事を手際よくこなしてく、コーヒーを相棒にして、いいさ誰が褒めるわけでもないけど、小さなプライドをこの胸に勲章みたいに付けて、僕のした単純作業がこの世界を回り回って、まだであったこともない人の笑い声を作ってゆく」

在宅勤務で、1人で単純作業をしている時に、上位のイシューを腹に落とさずに仕事をし続けて、こんな気持ちになれるとは思えないです・・

本当のリーダーシップは何なのか、という点に関しては、私よりも十二分に体系化された考えをお持ちの人がいると思いますが、

シンプルに
・イシューを定めて、チームのみなの腹に落とす
・何が大事か、の変化スピードを持ちつつ、それをいつでも見える状態にする
・雑談を仕掛けられる上司でいる

ことに尽きるかと思います。(自戒の念も含めて。)


そして、この議論は、④会社の人との関係の管理者の課題にも派生します。

前に、ある大企業の方とこのテーマでZoomした際に伺いましたが
メンバーシップ型で島形のオフィスで、いつでも目が合わせられる場所で11分に一回話しかけるようなマイクロマネジメントをしてきたチームにおいては、在宅勤務の影響は大変な様でした。

(Beforeコロナの時代の調査では、オフィスでは、人は11分に一回は話しかけられて生きていたようです。深い集中に入るのには、23分かかるのに、これでは困りますよね・・という文脈で、井上は語っていました。)

管理者がスラハラしたり、監視者になったりしてしまう。

カンリが、カンシになるか、カンブになるか、の瀬戸際だ

と仰っていて、その通りだと感じました。

ということで、

①環境整備度合い
②家族構成
③仕事へのスタンス
④会社の人との関係

上記のどこに自分/チームが課題を残しているか、を意識して頂きその対応方法を考察していくようにしてもらえたら嬉しいです。


1.1.2 今起きていることの、何が残り、何が残らないか

こういった議論をしていると、よく出てくる発言が以下です。

でも、これってAfterコロナでは、みんな会社に戻るよね。日本人だもん(?)

感覚的には分からなくもない考え方だと思います。
しかし、何が残り、何が残らないかに、私見を述べさせていただきます。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざの通りで、ワクチンや特効薬が出来れば、人は、ウィルスに対する“恐れ”は忘れていくかもしれません。

しかし、数か月の仕事の中で身に染みた“便利さと無駄の発見”は忘れることができるでしょうか。

経営者の視点で見れば、オフィスの賃料/交通費・時間/会議の効率運用などを目の当たりにしてしまっては、次のオフィスの更新のタイミングがたとえ3年後だとしても、事業責任者として、忘れてBeforeコロナの時代に逆戻りするとは思えません。

このオフィス賃料の話などは、経営者ならだれもが元々、こんなに必要なのか、テレワークで良いのではないか、と頭の片隅で考えたことが無い人はいないはずで、初めて見る新しい課題感ですらないはずです。

また、個人の視点でも、在宅勤務が環境的につらい人はオフィスもしくは3rd Placeが欲しい、という気持ちにはなることもありますが、間違いないのは、物理的に会う会議は激減するでしょう。単純に無駄なので。

ここで大事なのは、効率化できることとそれが、PLに直接ヒットするものなどは、無くしていく方向に動くだろう、という未来とともに、その効率化で失うものをどう補完するか、という視点だと思います。

例えば、テレカン乱発による効率化は実感を持って進んでいます。
なんとなく1時間取る感じだった会議を30分に、30分会議も終わったら、じゃまた!ってなりやすい。非常に効率的です。

しかし、こんな話を聞きました。
あるスタートアップでは、当然すでに経営会議もテレカンだそうです。
その経営会議での悩みが、Beforeコロナ時代には、

「議事録もう取り終わってるよね??社長、さっきの話、前にこんな話聞いたんですけど、この方向性ないですかね??・・・・」

というような、経営層の頭が集まっている際の、議事後の雑談がむちゃくちゃ貴重だったと。しかし、テレカンだと、わざわざ、こういう会話に入りにくいという問題が非常に大きくのしかかってくると思っています。

なので、効率化の弊害をどういう風に補完するか、ということが間違いなく残ります。

のちほど、空間の話の中で触れますが、リアルなオフィスや3rd Placeは、こういうダイアログ系の機能は少なくとも持たなければならないと思います。

それ以外の派生課題は、「1-3-2働く場所:1st,2nd,3rd Placeの変化」にてお話ししたいと思います。

1.2 個人への影響

2020年5月現時点(Withコロナ期)は、強制的/受動的に自宅勤務をしなければならない状況です。

この状況を元に、能動的に働き方が選択できるAfterコロナ期になった時に、

・効率化の方法(便利さ追及/無駄の排除)
・気持ちよく働くための方法(結果、クリエィティブになれば尚良し)

の両面で、Beforeコロナより断然良い働き方を得るために、個人が何を考えるべきか、を語っていきたいと思います。

影響範囲が大きいのは、一番は、
「人が動かなくなり、モノが動く時代になる」

という観点です。

「ボールを走らせろ、ボールは疲れない -ヨハンクライフ」

みたいな話ですね。

Weekly OCHIAIで、山口周さんが、
「知的生産活動において、社員の脳みそは工場。これまでは工場を物理的に動かすというムダをしていたことに気づくべき」

という趣旨のことを仰っていました。

確かにそうですよね。
我々の子供の世代が育った時には、

「お父さんお母さんの時代って、仕事するのにわざわざ満員電車乗って、集まってたんだってね、不思議なことするよね、昔の人って・・」

という将来は容易に想像がつきます。

それでも、在宅勤務に急に移行することは痛みを伴っているのは確かです。
上記のメリットを享受しつつ、どんなデメリットに向き合わなければならないのでしょうか。

一番の変化は、在宅勤務の時間が爆発的に増えたことでしょう。

どんな悩みが多いのでしょうか。

前章で語った以下の4つのタイプごとの課題の事例の一部を書いていきます。

課題カテゴリー
良く聞く事例
① 環境整備度合い
・フィジカル系:
- 家の椅子が辛い。腰痛がやばい
- 照明が暖色で、集中状態にならない
・メンタル系:
- 8畳ワンルームで布団が目に入るからONになりにくい。
- そしてOFFにもならず、いつも仕事のこと考えちゃう
・クリエィティブワーク不安系:
- 同じ環境に居すぎていて、デガラシ感がある
- 雑談が少ないので、新しいことを思いつきづらい
②家族構成
・家族との領土争い系
- 書斎っぽく過ごせる部屋を夫婦で奪い合う
・テレカン時の育児問題系
- 子供がママのテレカンのマネをして入りたがる
② 仕事へのスタンス
・メンタル系:
- なんとなく自分のやってる仕事に貢献感を感じない-
④会社の人との関係
・スラハラ上司系:
- カンシ型/Work as Life系の上司へのいら立ち
- “空気”が見えないので、どのくらい頑張れば良いか分からない

④のスラハラ上司系の問題は、前述の通り、

シンプルに
・イシューを定めて、チームのみなの腹に落とす
・何が大事か、の変化スピードを持ちつつ、それをいつでも見える状態にする
・雑談を仕掛けられる上司でいる

これを徹底できる人とだけ付き合いましょう。

ここでは、それ以外の点で以下の3つをくくりだし、深掘りしたいと思います。

1. フィジカル/メンタル課題
2. クリエィティブワークへの障害
3. 家族/友人との時間と1人の時間


1.2.1 フィジカル/メンタル課題

ここでは、在宅勤務の初期から困りごととして課題視される点から見ていきます。

オフィスと自宅の違いを見るために、PC作業をする際の必要最低限の構成要素から考えましょう。

・椅子/机
・照明環境
・部屋全体の周辺環境

フィジカル面の課題で大きいものは、上記に付随するものが大きいです。

〇 椅子/机

中でも、一番気になってくるのが、椅子です。現在、オフィスチェアが売れすぎていて、通販サイトでは、4か月待ちがザラだそうです。

オフィスチェアと家にある椅子の違いは何でしょう。
オフィス家具メーカーの開発の人と話すと、こういいます。

「日本人は、オフィスで6.5時間座っているんです。オフィスチェアは、6.5時間座っても、床ずれのような状態にならず、通気性が良く過ごせることを重視して作られています。」

一般的な家具、特にダイニングテーブルに付いている椅子などは、木製で長くても2時間も座る想定で作られていないはずです。これは、カフェで仕事していた人たちにも全く同じことが言えますが、長時間座ることを前提に作られていないことに問題があります。

さらに、オフィス家具にも問題があり、良い姿勢を保つには、下記が大事になります。

・ 6.5時間座る前提の弾力と通気性考えて椅子を選ぶ
・ 東洋人は背筋弱いので、多くのオフィスチェアでも腰痛むので、坐骨座りという座禅を組んだ時のような姿勢に誘ってくれる椅子がベター(椅子のおすすめは、Solutionの方で語ります。)
・ そして最も大事なのが、座った時に肘が90度になるように机の高さ調整する

これらを全部用意することは難しいですが、理想状態を定義しました。

Withコロナでは、運動量自体が落ちているため、腰痛などの問題はあまり笑いごとではないと思います。


〇 照明条件

そして、もう一点の問題は、照明です。

一般的なオフィスの照明は白色光で、ブルーライトと呼ばれる青い光の配合が多い光になっています。この光は、昼の空の光に模して造られています。一方、家は夕方以降過ごすために照明が設計されているので、夕方の空の光を模して暖色系であることが多いです。

僕ら人類は、基本的には昼に活動する動物なので、昼の空の光を浴びない限り、頭が覚醒しにくく出来ています。人の体内時計は、光のバランスと食事のタイミングでマネジメントされているため、ここが狂うと、頭をONにすることが非常に難しくなります。


〇部屋全体の周辺環境

あと、もう一点が、PC作業時の周りの目に入ってくるものたちです。

ワンルームで過ごしている方などは、この問題が大きいですが、OFFの象徴である、ソファやベッド、趣味のものが目に入ってくることによる意志力を持つ辛さです。

特に定常業務系ではなく、企画系の仕事の人にとっては、出社/退社という時間で明らかな区切りを持てていたBeforeコロナと違って、ワンルームでの在宅勤務で陥る感覚は、

「試験日まで半年くらいある受験生の自分の部屋で勉強する気持ち」

くらいONにするのに意志力を必要としているかもしれません。

毎日/毎時間起きるタスクに対して、意志力で向かい合う、ということは非常に効率が悪いです。人は、意志力での立ち上げは、強いストレスだと感覚的に誰でもわかることかと思います。

私が、ずっと向き合ってきた集中力の考え方に沿って、お話しすると分かりやすいかもしれません。

集中力というのは、

・立ち上げ速度
・集中の深さ
・集中の持続力

の3つに分けられます。

集中を測定するデバイスJINS MEMEでのアプリ開発時のアンケート調査では、多くの人は「立ち上げ速度」で悩んでいました。

ここへの対処方法は、詳しくはルーティンの作り方として、2章で語りますが、意志力の障壁を下げる行為としては、以下が参考になります。

ジャニーズの山Pこと山下智久さんの英語勉強法で有名になったのですが、

山下さんは、同じテキストを2冊買い、

「一冊はどこでも開いて勉強に使いもう一冊は自宅のテーブルに学びたいページを開きっぱなしにしておいていたんだそう。仕事から帰って疲れていると勉強しようという気になれずテキストを開くのも億劫ですよね〜。山Pはやらなきゃ!とあえて思えるようワザと開きっぱなしにして手にとれるようにしてたんだそうです。」
(アラサー女子のオンライン英会話ラボから抜粋)

PCの周辺には、関係ないものをあまり置かず、仕事にすぐに入られるように、一番思考している作業内容のページで、PCを開きっぱなしorすぐにそのページで立ち上がるようにしておくことが大事だと思います。

しかし、これには派生した課題があり、仕事から離れられない感覚に陥る、という点です。

ですので、ワンルームでもPCを見るアングルとリラックスするスペースをうまく切り離すように設計することが大事になります。

このあたりは、一番良い形が何なのか、をプロダクト開発しているので、それが見えてきたら、厚く語るようにします。


〇 在宅勤務の先人から学ぶ

これらの環境設計に加えて、仕事の入口設計はさらに難しい理由があります。
Beforeコロナでは、スーツなど仕事格好に着替え、電車で通勤するというルーティンを行い仕事に入っていたので、かなり仰々しく仕事への入口に下手したら1.5時間くらいかけていました。

これが無くなった世界で、どう意志力を持つか、に関しては、先行してこの課題に向き合っている友人がいたので、そこの学びを引っ張って来ようと思います。

仕事柄、大企業出身で、個人経営者に独立したタイプの友人が多いのですが、この人たちの独立した初日の感覚に似ているのです。大企業の受動的仕事への不満もあり、抜け出したタイプの人たちでも、その初日には、こんな風に思うそうです。

「強制的に時間を決められて出社しろ、と言われていたから無理やり自分のスイッチを入れられていたんだなぁ・・自分の意志力で仕事を始めるのって、こんなにも意思決定リソース使って、つらいものなんだ・・」

と。

その中で、15年以上個人経営をしている人は、以下のような工夫をやっているそうです。

・仕事用のジャケットを決めて、家でもそれを時間に合わせて着ている
・朝礼/夕礼を絶対にして、その時間は人と話すことで、チェックイン/チェックアウトを強制する

このあたりの巧拙は、先行して悩んでいる彼らから学んだ方が得策だと思っています。


1.2.2 クリエィティブワークへの障害

ここまでは、フィジカル/メンタルの問題点について語ってきました。
さらにヒアリングをしていくと出てくる悩みが、

発想力が落ちている感覚がある

という話です。

理由として考えられることは、以下が良く会話にあがります。

・ 環境の課題- ほぼ家を出なくて、同じ人工物に囲まれて、“ゆらぎ”がないこと- 姿勢が固定化されていることで、思考パターンが画一化すること
・ コミュニケーション課題:- 会話がほぼテレカンで、聴覚8割、視覚2割みたいな生活を送っていること- テレカン効率運用にて、予定調和的なアジェンダ通りの会議が増えていること

どの話を聞いても、私も自分事感でいっぱいです。今、在宅勤務で過ごすクリエィティブワーカー系の人の誰もがうなずく内容ではないでしょうか。


では逆に、

“アイデアが出るような状況”というのは、どういう状況でしょうか。

セレンディピティという言葉があります。
セレンディピティとは、「何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。」と定義されていました。

セレンディピティと言っても、本当に偶然振ってくるわけでないと私は考えています。

アイデアやクリエィティブな発想は、本当にゼロからはイチが生まれることはなく、複数の既知の思考が結び付き、それを偶然結び付けることが出来た際に、新しい発想・発見につながるはずです。

この偶然を結びつける確率を上げることが、Beforeコロナと現在では大きく異なっているのだと思っています。

環境課題とコミュニケーション課題のそれぞれにおいて、発想を出すような脳の状態に居られることが少なくなっているから、だと考えています。

では、環境とコミュニケーションに分けて課題を洗っていきます。


〇 環境の課題

偉人が、何かを思いつくときは、トイレだったりシャワーを浴びている時、だったりすると聞きますが、トイレをしたりシャワーを浴びたら、誰でもセレンディピティに出会うわけではなく、深く考えた経験のある人に振ってくるものなのでしょう。

そのセレンディピティのためには、複数の領域で深く深く集中して考えたこと、をふと視点を上げて観察した際に、初めて新しい発想・発見に出会う、ということでしょう。

そのセレンディピティと近い考え方で、古代中国から伝わる“三上”というアイデアの発想の場を表現した言葉があります。

三上とは、

・馬上:馬に乗っているとき
・枕上:寝床に入っているとき
・厠上:厠にいるとき

で、昔から、思わぬ発想が生まれるのは、そういう場所です。
もう少し定義すると、「一人」でいる時に、「通常と違う五感刺激」がある時です。

自宅のみで過ごすことによってどうしても、

「一人」「通常と違う五感刺激」を得る幅が狭くなっていること

が問題だと考えています。

実際に、Think Labでは、

五感刺激の最適化
- 視覚:緑視率を保持/調光調色
- 聴覚:ハイレゾ音源
- 嗅覚/触覚:オリジナルアロマおしぼり

などを提供していますが、集中力の計測結果もさることながら、体験した方の声からしても、この五感刺激設計がすごく大事だと思っています。

この五感刺激の設計に関しては、2章でSolutionをお伝えしますので、ここでは、大事な課題として、頭に置いておいてください。


〇コミュニケーション課題

前述した、スタートアップ企業の経営会議の議事録後の雑談が大事であった、という話と同様で、テレカンのみで過ごす会議はどうしても、無目的に話す雑談が少なくなります。

Beforeコロナの時点でも課題視されていましたが、飲み会が減り、雑談場所として、喫煙者が実は経営会議よりも大事な話を発想していた喫煙所も無くなってきている中、良質な雑談が全くなくなっている状況でした。

その中で、以下の図は、早稲田ビジネススクールの入山章栄先生が著書や講演会でお話されている「両利きの経営」の話です。(『世界の経営学者はいま何を考えているのか(以降、世界の~)』(英治出版)を参照ください)

イノベーションを起こすためには、「知の探索」と「知の深化」が必要となり、その二つの因子を高めていくことで、イノベーションを起こせる可能性が上がる、という研究結果です。

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ここで、昨今良く議論されているのは、日本企業は内製主義になりがちで、多様な価値観や考え方と触れることが、少なく、失われた10年以降、イノベーションが起きなくなってきている、という話です。

0から1が生まれることは無く、複数の既知の知識・知恵をかけ合わせた時にイノベーションが起きることは証明されている様で、確かに、日本企業を含め、「知の探索」が少ないことは間違いがない様に感じます。

そのため、パナソニックの濱松誠さんを発端とした、One Japanなどの取り組みが日本企業の不足点を埋める意味でも、強い求めを受けて成長しているのもこの背景からだと伺いました。

コワーキングスペースという言葉でWeworkさんなどが提唱している働き方は、自社のオフィスで働くのではなく、多様な企業が集まって仕事をするスペースを提供する業態のことです。

元々、日本企業はこれが少なかったのに、在宅勤務になることで、より一層同じ人とのみ会話をし、しかもその会話からも雑談的な発散系のコミュニケーションが無くなってきているということが大きな問題だと思います。

ここでの大事なことは、

・良く話す人と、意図的に雑談の時間を作ること
・全く話したことない人と。話す機会を増やすこと

に尽きます。

雑談方法は、流行りのZoom飲み会でも良いですし、私は先ほど話した自分のON,OFFの切替えのために行っているチームでの朝礼/夕礼の中で、最初の3分は出来るだけ全く関係のない小話を用意しようとしています。

この時間がないと特別アイデアが出ないチームになってしまうので。


〇 アイデアの出る脳の状態とは

ここまで、何度も何度も使ってきたON/OFFという考え方ですが、これが全くの間違いだという話からお伝えしなければなりません。

例えば、一番のOFFでありそうな、睡眠時間も我々の脳は活動しており、特にREM睡眠(Rapid Eye Movement:目が動いている状態という意味)では、記憶定着をしており、Non-REM睡眠では、ここからお話しするデフォルトモードネットワークが活性で、アイデアが出やすい状態だとも言われている程です。

私がすごく尊敬かつ好きな友人の、脳神経科学に精通している青砥瑞人さんの記事から引用します。

脳は大きく

- デフォルトモード・ネットワーク(Default Mode Network)
- サリエンス・ネットワーク(Salience Network)
- セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(Central Executive Network)

という3つのモードを使いこなしながら活動しているのではないか、ということです。このようにシステムとして脳をとらえ始めたのが近年の面白いトピックかと思います。
「ここ10年で特に注目を浴びたのが、「デフォルトモード・ネットワーク(Default Mode Network)」の存在です。特定の対象に意識を払わない、ぼうっとした状態およびそのような状態を司る脳の回路を指します。我々は意識していないけど脳は機能している、といったような、いわゆる無意識下の状態における機能を説明する神経活動として、注目を浴びました。」

私みたいな文系人間が、間違えを恐れずに解釈すると、

EN:セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク
→要は、理性の脳。

DMN:デフォルトモード・ネットワーク
→要は、直観の脳。

SN:サリエンス・ネットワーク
→上記二つの脳を切替える大局観の脳

別で、これまた敬愛してやまない相手の、石川善樹さんは、

DMNが、100のアイデアを出し、SNが3つに絞り、ENが1つを選ぶ。

という表現をされていて、分かりやすかったので、引用させて頂きます。
そうすると、

・環境:刺激が一定のいつも同じ部屋にいたり、
・コミュニケーション:雑談が無く、予定通りの会議ばかりだったり、

すると、ENしか使っていない日々を過ごしていることになるのではないでしょうか。

DMN,SNへのスイッチは、簡単な話ではないのですが、できるだけ

①刺激が多様にすることと、
②理性を落として発想するにはゆとりやゆらぎが必要である、と気づき、対応すること

だと思います。

そしてそれは、ONとOFFという二元論ではなく、攻めのOFFというか、自分の中の違う脳みそを召喚する大事すぎる儀式だと気づく必要があるのです。

1.2.3 家族/友人との時間と1人の時間

次に課題というか変化が大きいとして挙げられるのが、家族との領土争いを中心とした、家族内の関係と社内外の仕事の仲間との関係に関してです。

冗談にならないレベルで、離婚する人が出てきていたり、本気の夫婦不和を耳にしたりします。これはなぜ起きるのか、どう対応すべきなのか、を少し概念寄りになりますが、語ります。

ここも、3年ほど前に感銘を受けた方の発言から始めます。

IMD business school 北東アジア代表の高津尚志さんという方と運よく、カンファレンスでご一緒させて頂く機会がありました。

そのカンファレンスは、働き方(特にマイノリティの方の)に関しての考え方をパネルディスカッションさせて頂く形で、高津さんとは初めてお会いしたのですが、お考えに触れるタイミングをもらいました。

高津さんが言っていたのは、

「働き方を考えられるのは、生き方を決めた人間である」というパワーワードと共に、その生き方を決める際の視点をくれました。

「WorkとSelfとRelationship」の割合とそれぞれのリソースを自分が本当に大事に思っているものに向けられているか、を問えと。

その通りだと思い、私としても、3年ほど前から、

Work過多ではあるものの、10時間/日程度に抑えることにし、
Relationshipの多くの人との飲み会や会食ばかりに行っていたのを少し減らして、身近な人とのRelationshipを半分程度にしたり、
Self(恥ずかしながら、趣味も準Workみたいなものですが・・)を最大限活かせるために、中古マンションを購入して、Selfの時間を漫喫できるように移行しました。

これらは、在宅勤務に関わらず、本当に大事な考え方なので、皆様も自分のこととして振り返ってみてもらうと良いと思います。


在宅勤務に話を戻すと、その大きな問題は、このWork/Self/Relationship(以降、W/S/R)の界面がぐちゃぐちゃになることだと思います。
以下のポンチ絵を見てください。

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まず、WorkがOfficeから家に侵食してきました。
そして、そのテレカンなどが、家族とのRelationshipの空間にも影響を与えることになりました。何が辛いのかというと、それぞれが全部大事なのに、同時間・同空間に同居してしまうことが問題なのです。

すごくシンプルに、W/S/Rをそれぞれ充実させるためには、不可侵な時間・空間を担保する必要が絶対にあります。

それを私は、集中という言葉で表現してきました。
濃密な時間を過ごすためには、それぞれの良い点を際立たせるための“間”が必要なのです。

この表現は、完全に石川善樹さんの受け売りで、以下記事を元に、前に石川さんと議論させて頂いた内容を引用しています。

以下、記事より

「人間」という存在自体が、ひとつの「間」を体現しています。その間が壊れるから「間抜け」になるし、壊れた間を直すために「間つり(祭り)」というものがあったりする。
そして僕はどうも、「人と人の間=人間」に一番興味があるようなのです。
ただ、人間に直接アプローチしようとするとすごく大変です。だから、「三間(さんま)」と言われる「時間」と「空間」と「仲間」というテーマを通じて、人間の在り方に迫っていく──それが、僕がやろうとしていることなのだと思います。


W/S/Rの間を、間抜けにならぬ様に、きれいに設計するためには、高津さんの仰っていた、時間配分から考えることが重要だと思います。

そのうえで、石川さんがおっしゃる通り、空間/仲間との間の取り方を設計していく、という流れで、考えていくことが重要だと思います。

詳しくは、石川さんのFULL LIFEやこれまでの著書を読んでいただきたいですが、簡単に言えば、

時間:
- 1週間ごとにまず時間のバランスを決めること
- 時間ごとに、W/S/Rのどれを大事にするか?何をやるか、何をやらないか、を決める
空間:
W/S/Rを区切るための空間を環境設計することこちらは、2章でがっつり語ります。
仲間:
人が動かない時代に、大事な仲間が誰でそれぞれどうつながるか、を設計すること

このあたりをすごく大事にした方が良いと思います。

と、ここまで書いたうえで、こんな設計の議論では乗り越えられない課題があります。
それは、育児/介護系です。

周りで多く聞く、育児の悩みは特に、設計通りに動いてくれる訳のない相手なので、精神論では如何ともしがたい問題が眠っています。あまりにも解決策は見えにくい領域ではありますが、

「設計できないものは、対応スピードをあげまくるしか方法はない」

と考えるべきかと思っています。

・アンパンマンに集中してくれた数十分
・寝てくれた数十分

そういうタイミングに、立ち上げ速度最高の状態で、Work時間を再現する仕組みが強く求められると考えています。

この方法をどうThink Labがサポートできるか、が喫緊の課題だと思い力を入れています。Beforeコロナから、働き方を考えると、常に大変な人の象徴は育児ママでしたが、今まさに一番苦しんでいるのも友人の育児ママなので、なんとか支えられる仕組みを作り上げることが出来ればと思っています。

誰にとっても、気持ちよく働けるための“間”を作ります。

こちらの章は、多分に精神論的な宣言で終わらせて頂きます。

1.3 働き方/働く場所の将来

次は、働き方と働く場所の将来を予想させてもらいます。
頭の中のイメージを共有したいので、こんな話から始めます。

これまで、誰かのプレゼン資料には、〇〇社と書いたら、その上にはかならず、ビルのアイコンが付いていました。

みんなよく見てきたこれです。

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そして、ぼくらはBeforeコロナ時代には、“オフィスワーカー”と呼ばれていました。

この二つが確実に変わると思います。オフィスに行くことが、社員である証明ではなくなるからです。

「法人のシンボルマーク」と「個人の呼び名」が変わるのです。

ムチャクチャな変化が起きる、という実感が湧きませんか?

いやいや・・東京の一部の世界だけでしょ?

という言葉も出てくるかと思います。
それは、導入度合いと実現タイミングの違いだけで、大勢としてはその方向で動くと思います。入社から退職まで一度も行かない会社は稀有でしょうし、明日から全部の会社がそうなるわけではないですが、オフィスにいなければダメ、という文化が瓦解することは確かな将来でしょう。

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前述の通り、IT系のベンチャーでは在宅勤務手当を競争のように出しています。

一時間程度、Web検索をしただけでもこれだけ出てくるので、IT系のベンチャーでは、一般化するのは、すぐでしょう。


さらに、私の周りの知り合いのスタートアップ企業は、10人規模のところはほぼオフィスを返上していますし、付き合いのある大企業でも、今のオフィスの賃貸契約が何年かを経営が気にして、テレワークを基本としたワークスタイル導入に完全に舵を切っている会社が多く見受けられます。これは、自社ビルを持っているような会社でも同じ力学を耳にします。

なぜ確実な流れだと言えるかと言えば、二つあると思います。

・生産性向上による、競争力獲得のため
・優秀人材の採用/リテインのため

生産性向上の観点は、前述の通りでオフィスの賃料と交通費Downと時間あたりの生産性向上がはっきりしているので、8割の仕事は確実にテレワークになります。

それ以外の発想するための会議体や、企業への帰属意識を高めるための仕組みとしてのみ、オフィスが残るのが通常かと思われます。

人材採用の観点はどういうことかというと・・
テレカンをベースの仕事にシフトすることで、付加価値の高い仕事をする人が誰かが浮き彫りになりやすくなり、その人が副業/複業をしやすくなっていることで、優秀人材の流動性が急激に高まることが間違いないことかと思います。

そして、優秀な人は、より効率的に複数のタスクを回せる環境を好むに決まっていて、それを用意できない会社は、採用に苦しむのは確実です。

それらの観点で、知的生産活動系の人たちは、オフィスワーカーではなくなるはずなのです。

その時に、

・働き方:個人間の関係/法人と個人の関係はどうなるのか
・働く場所:1st,2nd,3rd Placeの変化

について、考えをここから書いていきます。


1.3.1 働き方:個人間の関係/法人と個人の関係

まずは、在宅勤務になり、私の実感から話させてください。

ちょうど一か月前の4/2に以下のような投稿をFacebookにあげました。

【在宅勤務の悩み募集】
気分転換レベルでテレカンお付き合いいただける方、井上に一報ください!!
Noteで在宅勤務中の集中方法を更新していますが、周りから以下のような悩みを耳にします。
こんな時だからこそ、集中だけじゃないどんなサポートが必要か、考えたいと思っています。

自慢ぽくなると変なのですが、この投稿が12時ちょい前で、そこから15名程度がテレカンぜひ、と言ってくれて、一番最初の中村さんとテレカンを始めたのが、14時で、その日のうちに3人、次の日も入れて5人程度とクイック30分テレカンが出来ました。

この文章の発端は、その5人との会話が30%くらいのきっかけになっています。

これって、なんでしょうか。

Beforeコロナでも似たようなことはもちろんしていました。
でも、オフィスにいた時には、近くに知り合いがたくさんいるので、まず同僚に

“ちょっといいすか?”

と話しかけて、雑談っぽくこういう話をヒアリングしていました。

これが、Withコロナでは同僚かどうか、が全く意味なくなりました。

SNSで「みんなちょっといいすか?どうすか?興味ある人いますか?」と、社内Slackのようにやるようになってきているのです。

私自身は、メガネ屋のJINSから結構離れた新規事業の空間事業Think Labを担っていることもあるので、元々同僚との距離がそれなりにある、というのはもちろんなのですが、OMO的な感覚を強く覚えました。

OMOとは、「Online Merges with Offline」のことで、個人的には、この言葉をオンラインがオフラインを包含するような感覚で捉えています。

井上という個人と他の知り合いの関係が、本当の意味で変わった感覚があるのです。

元々は、なんだかんだ会社には行くので、同僚なのか、社外の人なのかということが少しは気にしていたのですが、オフィスという日常化されたオフラインが無くなってしまったことで、オンラインでつながる速度が高い人の方が同僚よりも密な関係なのです。

そうなると気になってくるのが、会社に所属する、という概念が何なのか、という点です。

私は、JINSが好きだし、Think Labという事業は自分の子供のようにいとおしいです。

私はもちろん社内メンバーは、プロジェクトそのものには強いコミットメントを持っているのですが、実はThink Labのチームメンバーの半数以上は立ち上げ時期から一緒にやっている個人事業主たちです。彼らは、間違いなく社員と変わらないレベルで、イシューにはコミットしてくれています。

そうなると、社員ってなんだ、と自問自答します。
少なくとも根性論的に思うのは、投資してくれているJINSの経営層にとって、

私自身が、「業務委託にしても、契約し続ける相手だと思われなければならない」

という気持ちが強くなりました。

これは、なぜかというと、オフィスというオフラインでの日常的なメンバーシップ感がなくなった際に、経営が気にするレベルのイシューにそぐう力を発揮していなければ、法人はもちろん、個人もつらくなるに決まっている世界だと思うからです。

ココらへんが、結構本質的な雇用に関する将来像を表す視点だと思っています。

労働法とかにそれほど詳しくないので、今度そちら側の人に聞いてみたいとは思いますが、少し背伸びして議論します。(労働法で著名な倉重公太朗先輩に聞いてみます。)

・解雇規制が強いということ
・貯蓄性向が高い国民性であること(大企業では内部留保が多いこと)

が理由で、欧米の諸国に比べて、失業者やすぐに暮らせない人が比較的には少ないことで、社会不安への弾力性が高いことで、日本型経営が見直されるのではないか、という論調も少し耳にしました。

しかし、どこの会社もそんな悠長な構えで進められるとは正直思えないので、

・解雇規制が強いことで、正社員にすることのリスクを感じる気持ちが高まる点
・不確実性がまた爆発的に上がり、変わり続けるイシューに対応しなければならない点

から、その時々のイシューに合わせた布陣を引けるような契約形態に代わっていく必要が多くの会社であるのではないでしょうか。

もちろん、全てが変わるとは思いませんが、クリエィティブワーカーだと自らを思うタイプの人は特に、その感覚を持たないと面白い仕事に就けないことがより明確になっていく気がしています。

そのような将来には不安が伴いますが、みんな同じレベルの課題感で過ごしてきた人間たちの競争なので、意識を持てばそんなにディストピアではないと思っています。

楽しい仕事は、より奪い合いになると思うので、勝ち取り続けたいと思います。
そのためにも、自分の脳を最大限パフォーマンスさせる環境整備が大事だと考えます。

・個人同士は、社内外の境界が意味を持たなくなる
・法人と個人の関係は、良い意味でも悪い意味でも、疎に向かう

という趣旨の話をしました。



1.3.2 働く場所:1st,2nd,3rd Placeの変化

ここでは、私の事業Think Labの本領域でもある、働く場所がどうなるか、について予測をさせてもらおうと思います。

まず、言葉の説明から入ります。
3rd Placeという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

以下、Wikipedia引用。

アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグは、その著書『ザ・グレート・グッド・プレイス』(The Great Good Place)で、サード・プレイスが、現代社会において重要であること、その場所に対する特別な思いなどを論じている。
オルデンバーグは、“ファースト・プレイス”をその人の自宅で生活を営む場所、“セカンド・プレイス”は職場、おそらくその人が最も長く時間を過ごす場所。そして、“サード・プレイス”はコミュニティライフの“アンカー”ともなるべきところで、より創造的な交流が生まれる場所。

と言っています。

このコロナ騒ぎで、大きく変化しているのは、2nd Placeと表現される職場の変化です。
Withコロナでは、2nd Placeを追いやられて、1st Placeに押し込められているのが、我々の現状です。

例えば、私の起きている時間のうちの過ごす時間で考えると、

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こんな感じです。
Afterではどうなるでしょうか。

2nd のオフィス機能が1st Placeに移管される将来については語ってきました。

しかし、1st のみで過ごすと、クリエィティブさが失われたり、単純につまらなくなってくると思います。もうすでにみんな、どこでも良いからどこかに行きたい、と口走ることが増えている様に感じます。

面白い表現をしている人がいましたが、

Beforeコロナ  :ここに行きたい! (バリ/沖縄とか)
Withコロナ  :どこかに行きたい・・(ここではないどこかへ)

Somewhereに行きたかったのが、middle of nowhereに行きたい、という感覚になっていると表現していました。まさに、一つの場所で、多くのことをしすぎていると、人は非日常に対する希求を強めることは確実です。

これも、Beforeコロナで語られていましたが、すでに小売の世界では、OMOが進んでおり、EC比率が高い中国沿岸部では、リアルな店舗はショールームかつ劇場化する形で進化している、と聞きます。

オフィスでも、もちろん自宅でもない、どこかへ、行きたい気持ちが強いのです。
そうすると、以下のような変化が起きていくのではないでしょうか。
もちろんその際には、非日常を演出してくれるワザワザの気持ちを拾ってくれるSomewhereである必要があります。

では、それぞれの立地はどんな変化をしていくことになるのでしょうか。

まず、仕事のためのすべての機能が一か所に集まっていたオフィスビル(2nd)は、その機能を一部だけ残し、通常業務的なインフラは自宅(1st)に分化していき、非日常的を少し演出してくれる仕事場という機能はSomewhere(3rd)に新設されていくべきではないでしょうか。

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〇 1st Place

まず確実に、多機能化/多目的化します。マルチモーダルで、マルチパーパスでなければならない(カタカナでいう必要ないですね・・)

そうすると、全てに対して70点の場所を目指すことになります。

実はこれは、日本家屋の在り方に回帰するということではないか、とThink Labのメンバーである、Quod飯塚さんは言います。

日本家屋は布団文化で、布団を畳み、そこで手作業系の仕事を普通に昔からしていたのが日本家屋であると。なので、江戸時代とかの日本家屋に学んで環境開発をしていくことも大事かもしれません。(江戸時代との違いは、親と子が徒弟制で仕事を継ぐし子供の時からやる、という形ではないので育児の問題は大きく残ります。)

ここの設計は、我々も頑張るもののやはり、WorkもSelfもRelationshipも全部70点を目指すのが現実だと思います。

〇 2nd Place

今起きていることから予想すると

・オフィスの機能縮小をしていく
・特に、テレカン文化が根付くことで必要なくなるのは、多人数の会議室
・オフィスを仲の良い会社同士では、お互いに開放していつでもどこでも働けるを実現

上記のようなことが起きていくと思われます。

過渡期としては、オフィスの賃貸期間が残っているため、会議室を中心に(簡易)リノベ需要が活発化するのではないかと考えています。

こちらにも、Think Labの提供サービスを充足していくので、興味ある人は連絡ください。


〇 3rd Place

Think Labの元々のビジネスモデルは、ここを一番の軸足と考えていました。

こちらに関しては、先ほどの非日常の演出が重要だと思っていますが、さらに、それが促進される背景を捕捉します。

これも2年前くらいからプレゼンで入れている資料なのですが、副業/複業が解禁されることによって、法人から個人に提供するものは、「MissionとFacility」だった時代が終わると予言していました。

なぜなら、A社からもB社からも仕事を受けることが常態化している個人に対して、常時Facilityを提供する理由が全くないからです。

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そうすると、空間の要件がどう変わるでしょうか。

すごく口悪い表現をすると、これまでのオフィスの内装やオフィス家具は、総務のおじさんが決めていました。そのため、うちの会社なんでこの椅子なんだろ、意匠的にも機能的にもまじで自分だったら選ばないんだけど・・、ということが良く見られていたと思います。

これが、Facilityを選択する主体が、法人総務のおじさんではなくコンシューマーに移るのです。そうなると、3rd Placeは例えばスターバックスのように個人が気持ちよく過ごせる場所として、選択する力学になるので、その演出能力が成功要因そのものになります。

われわれJINSが空間ビジネスに出る理由は、本質的にはここにあると思っています。
手前味噌ですが、JINSはメガネを買いに行く場所、という視点にとどまらず、すごく店舗での体験価値や空間演出に力を入れてきました。

この演出に500店舗以上、ノウハウを蓄積してきたグループだからできることをやりたい、がここでの求められていることであり、我々がとるべきポジションだと考えています。

Afterコロナで、ウィルスリスクを低減できた世界では、

「仕事だけど非日常を感じたい」

という根源的な欲求に答えられるサービスとして、鍛えていくことが求められると思い頑張っていきます。こちらも応援/覗きに来てください。


 ここまでで、1章のProblemを終わりたいと思います。

・ 人のタイプ別の課題感やAfterコロナでも残る影響を予想
・ 個人への影響を、領域ごとに捉えるべき課題の塊に分解
・ 働き方/働く場所の将来の予言

という順に、書かせて頂きました。

2章のSolutionでは、上記の課題感を元に語っていきます。

1.3.3  それらの変化が起きていく時間感(2020-05-19公開!)

ここで語ってきた「2nd Placeのオフィス機能が分化していく将来像」が、どの程度の時間感で進むと思うか?という議題があがりました。

今、起きていることを拾っていきましょう。

スタートアップ:
オフィス返還が、既にけっこう動いている
- 10人程度企業は半分以上がオフィス返還で既に動いている

大企業:希望者は在宅勤務を許可していく流れ

GAFA系

- アマゾン:在宅勤務が可能な従業員は、少なくとも10月2日までは在宅勤務を続けることができる
- フェイスブック:7月にオフィスを再開するが、年内は在宅勤務を続けることができると従業員に伝えている
- グーグル:従業員に対して、年内は在宅勤務を継続する予定であることを伝えたが、一部の従業員は6月にはオフィスに戻ることになる。
- アップル:オフィスの再開時期は明らかにしていないが、リモートワークに適応するための新たな方針を打ち出している
全部の企業がこのスピード感で進むことは無いと思いますが、いわゆるフットワークの軽い企業は、すでに在宅勤務を基本にオフィスの在り方を変えていこうとしている状況です。

ツイッター社

ドワンゴ社

通常の企業はどの程度の時間感で進むか、というと一般的なオフィスビルの賃貸契約の時間感が3~5年だと言われている様で、そのタイミングまでは、少なくともオフィス賃料が発生した状況で、その利活用方法を考えながら進めていくことが基本だと思われます。

しかし、塚田農場さんのように、トップダウンで、賃貸契約中でも、オフィス完全返還で動く会社もあるようです。
今週(5/11週)発見しましたが、リノベルさんはオフィス移転に伴い後継テナントを探しているとのことで、社員個々人のFacebookなどを通じて、居抜きでの引き渡しを募集していました。
このように、賃貸契約の期限が来る前に動く流れもあるかもしれません。

ここまでで、1章のProblemを終わりたいと思います。

・ 人のタイプ別の課題感やAfterコロナでも残る影響を予想
・ 個人への影響を、領域ごとに捉えるべき課題の塊に分解
・ 働き方/働く場所の将来の予言

という順に、書かせて頂きました。

2章のSolutionでは、上記の課題感を元に語っていきます。

2. Solution:我々は、どうすれば気持ちよく働けるのか?

本題のSolutionの話に入っていきます。
良いから早くこの話をしろ、という方はココから読んでいるかもしれませんね。

最初に、以下の話をしました。

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Afterコロナでは、個人が自由度高く能動的に働き方を選べるようになっていきます。
(なぜか、はここまで語ってきた内容なので、端折ります)

わたしたちが、実際に能動的に選ぶようになるものは何でしょうか。

私は、3年ほど前に「集中力」という本を出版しました。
その中で、以下の図を元に何かに集中するには、

①環境(=空間のこと)を整えて、
②取り組み方を良くして、
③体調をキープする
④基礎体力を上げる(脳の筋トレ)

ことに分解される、として、それぞれの方法論を展開していく形で語っていきました。

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Beforeコロナでは、③④は少なくとも個人の責任でした。
社食を作って、少し体調に介入するタイプの会社もあります。

その中で、マインドフルネスをして、脳の筋トレをしているタイプの人などは、いわゆる意識が高い人、として揶揄されていたかもしれません。

コロナによる変化は、①②の責任が個人に行くことです。

②の取り組み方に関しては、経営者や組織マネジメントをしている人は、自分で責任を持ってやっていた人も多くいると思います。しかし、多くのオフィスワーカーは、11分に1回話しかけられていると先ほど話しましたが、マイクロマネジメントされて、自分の裁量で取り組み方やスケジュール管理を担っている人は多くはないと思います。

そもそも、日本は個人が自らの裁量で完全に立って働くタイプのクリエイティブ産業の労働人口が非常に低い傾向にありました。(以下Quod飯塚さんの資料から)

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※専門職等:アメリカ以外:研究者、技術者、医師、金融・法律家、教員、デザイナー、芸術家等(ISCOに基づく分類)アメリカ:NAICS(北米産業分頼システム)に基づき、上記に沿った職業従事者数を調査 Source: Demographic Yearbook(UNSD), Labour Force Survey(ILO, ONS UK, Statistics Norway), Labour Force Statistics(CPS US), 労働力調査(総務省)

さらに、ジョブ型ではなくメンバーシップ型での雇用形態であり、空気感(コンテキスト)を大事にして、みんなで仕事を進めるタイプの働き方をしている人が多いのです。

現時点で、その全体の調和を取っていたタイプのふわっとマネジメントスタイルは遠隔になることで壊滅せざるを得なくなっています。私自身も、わりとふわっとマネジメントするタイプでしたが、スタイルを可能な限り修正して暮らしています。

次に、①の空間ですが、これはもうお分かりの通りかと思います。
会社は、仕事のミッションと環境を両方提供してくれていましたが、それは個人が選ぶ時代になるのです。

ざっくりした理解をすれば、これまで会社にもらっていた給与は、期待役割への対価から、オフィスの環境整備の販管費を引いた額をもらっていたのです。
それはどの程度の額でしょうか。

東京都内にオフィスビルを構えている会社に限って言えば、以下のような計算をしてみました。


 
共益費込み賃料平均単価(円/月・坪)
東京23区 16,929
東京23区、200坪以上 24,235
港区、200坪以上のみ 34,180

東京23区の200坪以上のオフィスを持つ会社に所属している方だとすると、港区、200坪以上のみ 34,180

坪賃料:24,235円

1人当たりの賃料:48,470円(一般的に一人2坪程度)

1人当たり空間経費:63,011円(設備償却費や光熱費、清掃費などで、1.3倍想定)

です。

空間の費用だけで、月額6万円以上の経費が掛かり、その分は給与前に引かれて渡されている、というのが現実でした。さらに、交通費も平均額を調査しきれませんでしたが、1万円としたら7万強が、環境投資として会社が管理・提供されていたことになります。

これからの世界は、個人がその環境投資の責任を持っていくことになるので、より気持ちよく、より効果的に仕事ができる環境をうまく作っていかなければなりません。

Beforeコロナでは、

仕事ができる = 効率よく精度が高いアウトプット@同じ環境

でしたが、

仕事ができる 
= 効率よく精度が高いアウトプット 
= A.固有の能力 × B.能力を出すために用意した環境(空間・時間)

に分解されることになります。

個人差はあれど、これまで、「A.固有の能力」を高めるために、自己啓発書やビジネス本を読んだり、新しいツールを使えるようになるための勉強をしたり、知識を増やし知恵を出す思考術を培ったり、スキルを増やす努力を少なからずしてきたと思います。時には、会社の研修なども含め。

しかし、今後の世界では、同じ会社の社員でも「B.能力を出すために用意した環境(空間・時間)」の前提が異なる中での戦いになってしまうのです。

ここの環境整備が今後の個人としての重要な視点になっていくことは疑いの余地がありませんね。

この理解の元、Afterコロナに向けて、個人の責任になってしまった以下の整備をどうしていくか、をまとめていきたいと思います。

①環境編 → 空間作り編とします。
②取り組み方編 → 時間管理編とします。

と思ったのですが、体調管理に関しては、在宅勤務の増加による派生課題があるので、コロナ影響による、体調管理の重視すべき点だけ補足します。

③体調編 → 体調管理編とします。

こちらが、在宅勤務を中心とした、個人へのSolutionとしてお話しします。

皆さんが困りまくっている①空間作りから以下の順に論じていきます。

①空間作り編
②時間管理編
③体調管理編

そして、環境整備の主体が個人に移管していく流れの中で、オフィス環境の変革が超重要課題だと思うので、主に、経営者/人事総務の方向けに、以下もまとめていこうと思います。

2nd Place /3rd Placeの使い分け 経営者/人事総務
- オフィス機能の分散化
- 所有と利用のバランスの在り方
- オフィスが持ち続けるべき機能
- 持たずに利用すべき機能
- ワザワザ行く場所への変貌
- 在宅でできてしまうことと特別な場所を活用すべきこと
- 空間のあるべき姿


本当の意味で個人の時代になるので、個人が究極に気持ちよく働ける一助になれば、と思います。

では、次ページから、具体に入ります。


2.1 1st Place for個人

2.1.1 在宅勤務の課題感

個人での在宅勤務での悩みは1章でも話に挙げた通り、以下の変数で悩みの深さや課題の種類が変わってきます。

①環境整備度合い
②家族構成
③仕事へのスタンス
④会社の人との関係

この本では、①の方法論が主な主要因になるのですが、②の変数が非常に大きく効いてきますので、少しだけ整理を入れておきます。

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こちらは、当然のことながら、右に行けば行くほど課題の種類が増えていきます。
単身の人向けの話をベースに、一部触れられる範囲で、右の問題に触れていく形になります。

そして、どの環境条件でも、家族構成だとしても、課題解決のための共通メカニズムがあります。

それは、生活空間から仕事に行って帰ってくるという往復の際の

A.立ち上げ速度
B.深さ・持続力
C.スムースな抜け出し

が最重要で、切り替え能力が求められているのです。
例えば、一番大変な、育児ママなどにおいては、子供が急に何かに集中してくれた瞬間に、これがあと何分続くかもわからない中で、今日一番深く考えなければならないタスクを考え切らないと、また夜中になって睡眠を削るしか方法がない・・なんていうことが良く聞きます。

これの際にも、A立ち上げ速度をあげて、B深さ・持続力を保てるようにするために、①空間作り/②時間管理/③体調管理がどうあるべきなのか、と読んでいただけると幸いです。

では開始します。



2.1.2 対応方針:①空間作り編

紹介している工夫:

工夫①:姿勢の切替えで、脳の切り替えをサポート
工夫②:プライベート空間の実現(家族やベッドソファと間を置く)
工夫③:視覚最適化、照明の調光調色/植物配置
工夫④:聴覚最適化、自然音(できればハイレゾ)
工夫⑤:嗅覚最適化、ONの香りを用意/CO2濃度を下げる
工夫⑥:触覚最適化、ガムなど反復運動


一番、肌で感じている問題が、この環境作りですよね。
腰痛がやばいとか、リビング席の取り合いが激化して離婚の危機だとか。

主に議論されているのは、「オフィスよりも良くない点を何とかしたい」という観点です。
これももちろん大事なので、五感条件や間の取り方、姿勢などの分類ごとに、最低条件を定義して、解決していきましょう。

しかし、各分類に深掘りしていくうえで、最も重要なのは、先ほど1章で書いた以下の「脳のモードを切り替えられる空間」を作ることです。

なぜならば、オフィスでは「Work」の中で脳の切替をしてきたのに、生活空間の中に仕事を持ち込む形になるので、Work/Self/Relationshipの切替えとその中でさらにWorkの脳の切替えが必要になるから、もう頭は混乱そのものなのです。

在宅勤務の最大の課題は、“脳の切り替え”です。
大事なことなので2回言いました。

では、おさらいです。

「EN:セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク」→要は、理性の脳。
「DMN:デフォルトモード・ネットワーク」→要は、直観の脳。
「SN:サリエンス・ネットワーク」、→上記二つの脳を切替える大局観の脳

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深く思考している状態は、この3つの脳が活性な状態ですが、特にイメージしやすい論理思考(収束)のENと直感思考(発散)のDMNは同居しづらい思考パターンであり、それぞれに特化した状態を作ったほうが良いと考えています。

何の仕事でも、考える系の仕事であれば、アイデアを出す思考と説明したり、動かすための論理的な思考の両方が必要です。


工夫①:姿勢の切替えで、脳の切り替えをサポート

この考え方に基づき、Think Labでは、特にENとDMNで席を分けており、それぞれの姿勢を分けています。

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アイデアを出すためのDMNを活性化するためには、副交感神経が優位になりやすいように、「視野をワイドにする」「少しまぶしいとなお良し」なので、窓際に向いて少し上を見るようにできるとベターです。

収束でロジカルシンキングするためのENを活性化する際には、逆に視野は狭く他のものが目に入らないようにして、没頭状態に入りやすくすることが有効です。

もちろん家の中にこんな充実した席を二つ以上用意できるわけはありません。
まず、家においては、リラックスに振ったDMNのモードに入りやすいソファなどは元々ある家庭が多いと思うので、用意すべきは後者になります。

そうすると、ENのためには、「長時間思考に耐えられる椅子/机」「周辺視野」「人との間の取り方」が大事になります。

ここでは、椅子/机の話をします。

こちらは復習です。
・ 6.5時間座る前提の弾力と通気性考えて椅子を選ぶ
・ 東洋人は背筋弱いので、多くのオフィスチェアでも腰痛むので、坐骨座りという座禅を組んだ時のような姿勢に誘ってくれる椅子がベター
・ そして最も大事なのが、座った時に肘が90度になるように机の高さ調整する

上記が理想だと話しました。

坐骨座りがしやすい椅子としては、

・キールハワー「ジュニア」


・アーユルチェア

などがお勧めです。

しかし、これらはけっこうな値段なので、それ以外のおすすめを足しておきます。
(人におススメするために数日ずつ使ってみましたが、100点ではありません。)

・ローテーブルで座布 


まず、座布に関しては、ローテーブルの高さが絶妙でないとつらいので、座布の下に雑誌とかを挟んで、肘が90度になるように調整しましょう。

・バランスボール


転がる問題は、ストッパーつきの物があるので大丈夫なのですが、意外と横幅があるので、少し邪魔という点と、通気性の問題で2時間座っていると一度立ち上がりたくなります。


そして、どのタイプの椅子にするか、とともに大事なのが、同じ姿勢で固定化しないことだったりします。Apple Watchのキラーアプリが意外と30分に一回Standしているか、どうかのログだったりしていて、オフィスワーカーは、座っている状態を続けすぎてしまっていることが問題だったりします。

この解決策は、シンプルには立つことです。
最近では、簡単にPCを立って使うことができるプロダクトが出てきています。

・1秒でテーブルの高さ調節可 「Freedeskデスクライザー」


・極薄・4段階をワンタッチ切替、更に進化したMOFT Z


このように、「立って作業」⇔「座って作業」を切替えられる方法が提案されています。石川善樹さんの家の作業場は、「Freedeskデスクライザー」が導入されているそうです。

立って作業があまりしっくりこない私は、オットマンを導入して、足を上げ下げする癖を導入しつつ、テレカン中に立って話すようにしています。参考まで。

大事なことは、姿勢を複数用意できるようにすることと、あくまでもENの姿勢をしっかりとる場所を確保することをなんとか実現しましょう。

ENのためには、「長時間思考に耐えられる椅子/机」「周辺視野」「人との間の取り方」が大事、と前述しました。

ここからは、「周辺視野」「人との間の取り方」に関して語りますが、これはプライベート空間の実現に尽きます。

工夫② :プライベート空間の実現(家族やベッドソファと間を置く)

1章では、在宅勤務中の家族との領土問題の問題について、以下の絵で話しました。

単身ワンルームでは、WorkがSelf場所に染み出すことによる悩みであり、家族暮らしの家庭では、家族と仕事を持ち込んだプライベート空間のせめぎあいが悩みの原因です。

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単身ワンルームの悩みから見ていきましょう

これも1章のおさらいですが、
「ワンルームで過ごしている方などは、この問題が大きいですが、OFFの象徴である、ソファやベッド、趣味のものが目に入ってくることによる意志力を持つ辛さです。」

まず確実に言えることは、没頭して作業したい時には、視野周辺に情報は邪魔になるので、無ければ無いほど良いということです。その前提で、ベッド/ソファを見ないようにPCに向かう配置にしてみると、背中側が生活空間になるので、テレカンの際に少し恥ずかしい問題が出てきます。

これは、シンプルに間仕切りを設計しなければなりません。

部屋の中で、ベッドなどを見ないようにするとおのずと壁をにらんで仕事をしている人が多いのではないでしょうか。

ここは、ゆらぎが無い問題にもつながるので、後ほどの「視覚」のところも参考にしてください。

次に、家族の領土問題に関して、もう少し深く理解してみましょう。

以下も有名な考え方ですが、パーソナルスペースという考え方です。

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人間関係の種類によって、距離(流行りのソーシャルディスタンスですね!)は異なるという研究です。まぁアタリ前なことなのですが、コミュニケーションする相手によって距離は変えて生きている訳です。

そうすると、在宅勤務によって何が起きているかというと、

「社会空間で仕事モードの人(マインド的に120cm以上当たり前に人が離れている感覚)が、物理空間的には家族・友達と(45cm前後の距離)で過ごしている」

という状態なのです。
一般的にオフィスの机・椅子は、120cm以上離れるように配置されていますが、家庭のダイニングテーブルなどは、横の人が60㎝程度、45㎝程度にもなる距離で配置されています。ソファなどであれば、さらに明確に距離が無いので、もっと近い可能性があります。

家族モードのタイミングには全く問題ないのですが、仕事モードの思考を深めるには、かなり厳しい状態なのです。

距離の問題だけでもこう考えられますし、視界に入ってきたり、耳に入ってくる音が家族の音であること自体が、仕事モードからかけ離れたものなので、どうしても仕事モードにすることが難しくなります。

深い思考をしなければならない時間やすごく大事なテレカンなどは、日に2時間程度だと思うので、その2時間だけでも家族との間を取れるような空間が求められます。

ここで語った、単身ワンルームの「視界とベッド・ソファを遮断する」と家族暮らしの「家族との間を取る時間を作る」ことは、上位の課題に置きたくなるものなのです。それなのに、明確な答えとなる商材がないのが現状だと思っています。

この課題に直接的な答えになるプロダクト開発をしているので、こちらに関しては発売決定とともに書き足します。

そして、次に課題としてよく話題に上がるのは照明環境ですが、照明を含め仕事中の人への五感刺激の最適化については、Think Labのオハコだったりします。

Think Labでは、経済産業省の国プロにて、JINS MEME計測によって集中があがる五感刺激がどの程度の効果を示すか、の実証実験を行いました。

*平成30年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業より(ワークスタイル変革モデル事業調査)

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これにそって、視覚/聴覚/嗅覚を中心に五感の最適化の話をしていきます。


工夫③:視覚最適化、照明の調光調色/植物配置

自宅は「オフモード」に適した照明になっています。

家は“夕方以降に過ごす場所”という前提のもと、照明は暖色系の色(電球色)に設定されていることが多く、一方で、仕事をする場所であり“昼間を過ごす場所”であるオフィスの照明は、寒色光(昼白色・昼光色)がほとんどです。

人間は、太陽の光をもとに生活のリズムをとっており、昼間に夕方以降の時間の光を浴びる環境にいては、体内時計は狂ってきてしまいます。集中にも影響が及び、仕事のパフォーマンスもなかなか上がらないでしょう。

そこでおすすめしたい対策は、時間帯で照明の色味を変更することです。

最近は、リモコンで照明の色味を調整できる照明が多いですが、仕事に取り組む、集中力を高めたい時間帯は寒色光を選ぶこと。そして、仕事が終わってリラックスしたい時間帯には、暖色光に切り替える。

自然光に近い調光で体内時計を整え、自身のコンディションを保っていきましょう。

調光調色による体内時計を正常化の効果は非常に高く、被験者に2日単純作業をして頂き、初日に調光調色をした群としていない群だと、次の日の集中できている時間の割合が、8.2%も違いが出ました。意識してみましょう。

しかし逆に、夜中なのに最高に集中したいという時などは、ブルーライトを強く目に入れることも有効かもしれません。長期的にはヘルシーではありませんが。

JINS MEMEを一緒に事業開発していた仲間の一人は、本気の企画書を練る際には、部屋を真っ暗にして、Macの輝度最大にして仕事をしていました。部屋が暗い分、瞳孔が開いているので、目に届くブルーライトが増え覚醒に向かう、と言ってそのような方法を取っていました。

この人はさらに、深くものを考える作業の時のPCはMac、単なる作業やコミュニケーションはWindowsのPCとしていました。これもすごく有効なはずで、人の脳はかなり視覚に支配されているので、どのデバイスを使っている時にどの思考モードにするか、を固定していあげると、すごく思考が深くなるのは確かだと思われます。

そして、周辺視野に入れた方がよいものの代表は、植物です。

緑にはストレス低減効果や疲労感の軽減効果があるのは広く知られた話ですが、さらに詳しく説明すると、人の視野120度内に入っている緑の割合を「緑視率」といい、この緑視率が10~15%のときに、生産性が最も高まるという研究結果があります。

人は、情報の87%を目から取得していると言われています。
PCと壁と机、という人工物かつ無機質なもののみしか目に入ってこない状態が、8時間もしくはそれ以上の間続いてしまうと、あまりに揺らぎが無く辛いはずです。

オフィスですらそうなのですが、オフィスには人というゆらぐものが動いているので、それよりも一層ゆらぎが無い状態なのです。

クリエイティブさが落ちやすい背景は、ココにも起因すると思うので、少し植物などを置くのがお勧めです。


工夫④:聴覚最適化、自然音(できればハイレゾ)

集中時の「音の有無」については、個人差があります。

無音のほうが集中できるのか、音楽があったほうが仕事が捗るのか、はたまたカフェのように周囲の話し声が聞こえる状態がいいのか。実は人によってさまざまです。自身のタイプがわからない人は、まず自分の集中には音が必要なのかどうかを確認してみてください。
(ちなみに以前インタビューした、漫画家のかっぴーさんは「集中するときは爆音で音楽を聴く」そうです)

その上でおすすめの音楽は、“思考している言語以外の言語”の楽曲です。思考している言語と同じ言語の音楽を聞いてしまうと、脳の言語野を歌詞に取られて集中が削がれる可能性があるそうです。

また、「ホワイトノイズ(人間が聞き取れるすべての周波数の音を含んでいて、周囲の音を特定しづらくする効果がある音)」を聴くことで集中力が上がる研究もあります。どうしても集中できない人は、アプリなどを使ってホワイトノイズを流してみるのも手です。

川のせせらぎ・鳥の鳴き声などの「自然音」も集中力向上には効果的なので、ハイレゾ音源で自然音を流すのも有効です。

ハイレゾ音源やスピーカー/イヤホンは増えてきているとはいえ通常はないと思うので、スマホやPC経由で自然音の提供を、緊急事態宣言下のみThink Lab Appから配信しております。

家族の生活音と仕事モードのマスキング効果*も期待されますので、お試しあれ。
マスキング効果*:二つの音が重なったとき、片方がかき消されて鳴っているのに聞こえないという現象


工夫⑤:嗅覚最適化、ONの香りを用意/CO2濃度を下げる

集中力向上のため、香りの活用は古来より続いてきています。最近は手軽に利用できるアロマやお香などもあります。

香りを使用する際には、目的に応じて使い分けをしてください。一般的に、集中時にはローズマリーやペパーミント、リラックス時にはラベンダーがおすすめです。また、休憩時に香りに集中する時間を作ると、心の静かさを保持する「マインドフルネス」に近い効果を得られるという研究もあります。

Think Labでは、集中力の計測ができるため、上記の成分配合量を複数試し、一番集中が上げられるアロマを開発しました。(アロマ有り無しの群で、5.0%程度集中できている時間の割合が変わっています。)こちらもぜひお試しいただきたいです。

私自身も、仕事する時間と寝る時間のにおいをはっきり分けることにしており、ONのためには、Think Labオリジナルアロマ入りのおしぼりを使い、触覚/嗅覚刺激の両方で、仕事への入口を作り、仕事から出るときには寝る前に使っているレモングラスのアロマを部屋で炊いています。

人が通常仕事などで使っている五感は、視覚87%と聴覚7%だと言われています。
そうなると、視覚/聴覚は多くの刺激を元々受けているので、仕事に入るための刺激や出るための刺激は、視覚/聴覚ではなく、嗅覚(アロマ)と触覚(おしぼり)だと考えています。

また、香りを活用すると同時に、香りに捉われすぎないよう部屋の換気も重要です。実は部屋のCO2(二酸化炭素)濃度も集中力や仕事のパフォーマンスに影響を与えることが分かっています。

メガネ型ウエラブルデバイス「JINS MEME」を使用した集中力の実験では、男性の場合には「CO2濃度が低く、室温が23℃程度の環境」、女性の場合は同じようにCO2濃度が低く、「室温が25〜26℃程度の環境」で集中しやすいという実験結果が出ています。

CO2濃度については、室内では800PPM以下が望ましく、1,000PPMを超えてくると集中や思考が途切れてくるそうです。香りの活用、そして室温コントロールや換気を心がけ、集中に適した環境を保ちましょう。

方法は簡単です。数時間に一回、窓を開ければよいです。


工夫⑥:触覚最適化、ガムなど反復運動

仕事や作業を長時間続けているうちに集中力が低下する原因のひとつに「ワーキングメモリ」の低下が挙げられます。

「ワーキングメモリ」は作業に必要な情報を一時的に記憶し処理する脳内システムで、これを動かし続けると疲労が溜まり、結果、システムの稼働が悪くなり作業効率が落ちてしまいます。時間とともに集中力が低下するのは、避けられないということです。

ですが、この「ワーキングメモリ」の回復に効果的なのが、脳の血流をよくする「噛む」行為です。海外の研究機関が就業中の大学職員129人を対象に実施した実験結果によると、作業中にガムを噛むことでストレス・疲労の低減効果がみられ、さらには不注意・勘違いの抑制傾向がみられたそうです。

家にこもりがちになるテレワークだからこそ、しっかりリフレッシュタイムや休憩時間を取るようにし、休憩に合わせてガムなど「噛む」刺激を与えて、集中を維持していきましょう。

イラついたりすると貧乏ゆすりをする方がたまにいますが、あれは反復運動をすることによって、副交感神経を優位にして落ち着こうとしている行為で理にかなっています。ガムもそうですが、反復運動を何か用意をすることは大事です。

「①空間作り」では、以下の工夫を話してきました

工夫①:姿勢の切替えで、脳の切り替えをサポート
工夫②:プライベート空間の実現(家族やベッドソファと間を置く)
工夫③:視覚最適化、照明の調光調色/植物配置
工夫④:聴覚最適化、自然音(できればハイレゾ)
工夫⑤:嗅覚最適化、ONの香りを用意/CO2濃度を下げる
工夫⑥:触覚最適化、ガムなど反復運動

家庭内で、これらすべての空間作りを100点にすることは現実的ではないので、手の届くところから始めましょう。

Think Labが現時点で最高の環境だと、多くの要素ではエビデンスも持って、用意している場所が、Think Lab汐留です。ぜひ、緊急事態宣言などが収束した暁には、体験してご自宅に反映できることを探してみてください。

そして、出来るだけ早く在宅勤務用にも商品/サービスを届けるように勤しむので、それらのニュースをお待ちくださいませ。

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(ニュースに興味ある方は、Think Labアプリをダウンロード頂き、メールアドレスを登録頂くか、Facebookアカウントをフォローしてください。)

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2.1.2 対応方針:②時間管理編

紹介している工夫:
工夫⑦:思考パターンを分けて、予約すること
工夫⑧:集中時間帯を知り、会議予定を入れないこと
工夫⑨:デジタルデトックスをする時間を決めること
工夫⑩:心理的安全を作ることの重要さ
工夫⑪:「迷う時間」と「迷わず進める時間」をしっかり分ける
工夫⑫:時間サイクルを自分のものにする


まず、最初には、時間管理です。タイムマネジメントが大事、なんて耳が腐るほど聞いてきたと思います。でも、小うるさいマイクロマネジメント上司がそばにいないことで、良くも悪くも自発的に自分のリソース配分を考えられるようにならないといけなくなります。


工夫⑦:思考パターンを分けて、予約すること

先日、Newspicksの時間管理系の記事の取材で、私自身の一週間のスケジュールを見直す機会をもらい、書いてみました。その際に、改めて整理してルーティン化したことも含めてですが、以下ご覧ください。

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これは、Beforeコロナの井上のスケジュールなのですが、そもそもが会議にほぼ追われている生活です。これは、現状も効率化することによって、一つずつの会議の時間は少なくなりましたが数が増えたため、結果ほぼ同じくらい平日昼の会議時間が発生しています。

そのうえで、いつも主張しているのが、

「みんな、会議は予約するのに一人仕事は予約しない」

という問題です。

ちなみに、集中力を測定できるJINS MEMEで計ると、集中すると元々決めている人の方が顕著に集中力は高いことが分かります。

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絶対に、集中は予約するべきなのです。

そのうえで、私の1週間では、直観(DMN)と論理(EN)の時間とともに、単なる作業時間という時間を設けています。ものすごい大変な事情が無い限りは、このルーティンを守っています。

この3つを分けることはすごく強い意味を持ちます。

超有名な「7つの習慣」という本の中で、語られていることから引用します。
重要度と喫緊性(緊急性)でタスクを整理して、できれば、重要だが喫緊性の低いものの時間を確保することの大事さが語られています。

わたしが分けているDMN, EN, 作業の3つの時間はどういうタスクの分担でしょうか。
以下の区分になると考え、区分しています。

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重要だし緊急なタスクは、緊急性も高く設定されているということは、上司やチーム内で「今週の一番大事な仕事」とタグ付けされている仕事でしょう。

これは、主には方向性くらいまでは握られていて、どうそれを実現していくか、という実行よりの思考に近づいていることでしょう。これをしっかり進めていく論理思考の時間を持つことが大事なのは誰でもわかることです。

私は、このENの時間は、チームや上司との打ち合わせ・相談の前後に置くようにしています。前は説明用に整理するため、後はそれを全体に周知するための整理。

私のような、中間管理に位置して、多くのステークホルダーと連携する必要がある立場にとって、この時間を確保することの意義は非常に高いです。

そして次は、重要じゃないけど緊急な仕事です。これは、作業として少しアップテンポの曲でも聞きながら、気張らずに進められる仕事として設定しています。

この時間を先に予約しておくことは、すごく精神衛生上良いです。

この重要性は、ツァイガルニク効果、という現象で説明されています。心理学者ブルーマ・ツァイガルニクという方が、「目標が達成されない行為に関する未完了課題についての記憶は、完了課題についての記憶に比べて想起されやすい」との事実を実験的に示したそうです。

つまり、思いついてしまった、目の前以外の課題は、未完了課題に決まっているので、想起しやすく、目の前の課題に対する集中の邪魔になる、ということです。

そうなると、色んなタスクが想起される度に、

あー、また終わってないタスクが一つ増えた・・ToDoリスト見ることが億劫だわ・・

となることは、辛い気持ちになって当然、と心理学的にも論じられている訳です。

そのタスクがたまっても、「絶対にあの時間帯だけは確保してある」ということが支えになると思い、私は、作業時間を予約しています。

最後にDMNの時間ですが、これは「重要だが緊急ではない」の領域になるかと思います。

上司やチームの中で、まだ共通認識が持てていない次なる重要なイシューを探す行為です。これは企画系の仕事であればあるほど重要ですし、コロナも含めさらに不確実性が高い事業環境において、既成概念から解き放たれる時間は最重要な時間といっても過言ではないでしょう。

この時間をしっかり持つことが、数か月~数年後のリーダーであるために必須条件だと思っています。

このように、DMN, EN, 作業の3つの時間をできれば、一週間のルーティンに組み込むことがすごく大事です。

10年後のことや1年後、1か月単位で考えることも難しいので、まずは1週間の自分の時間の配分を考えてみてください。

ちなみに、1章でも語りましたが、ここで語った3つの時間は、

「Work/Self/Relationship」の中の「Work」の中の「ひとり時間」の予約のことでした。

ですので、本来はその上位の時間から含めて捉えなおすのがすごく大事です。

やるべきことの効率を突き詰められる人は、やりたいことがはっきりしている人です。

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人はそんなに気位高く生き続けている訳はないので、やりたいこと(Self, Relationship)の優先的な時間を確保するために、Workの効率を考えるのが、良いかもしれません。

ちなみに、Work life balance的な感覚とWork as Life的な感覚ではアプローチは変わるかもしれません。後者っぽい私にとっては、あまり結論は変わらない・・、このゴールデンウイークにこれを書き続けている自分は何だろう・・みたいな気持ちになってきたので、この話はこの辺で。

次は、一番大事なDMNの時間を元に重要なTipsを話します。

この時間を1週間の最初の月曜の朝9~11時にしていること、そしてその時間は少なくとも最初1時間はPCを開かずに、今週何をするか、をもやもや考えるようにしています。

ここでは、二つのことを気にすることが重要です。

工夫⑧:集中時間帯を知り、会議予定を入れないこと
工夫⑨:デジタルデトックスをする時間を決めること

この二つのTipsを挿入します。


工夫⑧:集中時間帯を知り、会議予定を入れないこと

私がなぜ9~11時を重要な時間としているかというと、私の集中力が一番高い数値を出す時間帯が、朝9~11時だと分かっているからです。次が、夕方16時~18時です。

例えば、ビズリーチ社のエンジニアさん26人で行った実証実験では、最初の1週間で個々人が集中できる時間帯を判定し、次週その時間帯を最大限活用するようにスケジュールを最適化したところ、全体で6%ほど、集中時間が伸びました。

もともと私自身は新卒でコンサル業界にいたこともあり、超夜型で過ごしていました。しかし、DeNAさんのMYCODEという遺伝子検査のサービスを受けてみた結果、夜更かし傾向が弱いタイプでした。

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SNPという遺伝子型で分かれる様ですが、そもそも、MYCODEで引用している秋田大学の研究では、ほとんどの日本人が「夜更かし傾向が弱い」遺伝的傾向を持っているそうです。

さらに、この研究では、このSNPの遺伝子型に関係なく、年齢が高い人の方が朝型傾向であるというデータも得られた様です。 実は、加齢とともに体内時計が前倒しになり、朝型になるというのは既に知られています。一般的に言われている朝型にした方が、仕事がはかどる、という論調は正しいことが多い様です。

自分の時間帯を知り、その時間をできるだけ優先的に死守するようにしましょう。


工夫⑨:デジタルデトックスをする時間を決めること

私が発散系の思考をしたい月曜の朝だけは、PCを最初だけ開かないようにするのがなぜか、というと、PCを開くとすぐに人はメールが気になったり、ネットサーフィンをしてしまい、受動的な思考が始まってしまうからです。

どうせ、一週間が始まったら人の動きに流されざるを得ない時間が絶対に多くなるので、最初の時間くらいはそういう時間を取ろうと思っています。

ちなみに、人の脳は、深い集中に入るまでに約23分かかるといわれています。
ですが、オフィスワーカーは約11分に一度、他者から何らかのかたちでコミュニケーションを求められるデータがあります。メール、コミュニケーションチャット、オフィスでのちょっとした雑談。仕事が多い人ほどコミュニケーションを求められるため、深い集中に入れないまま1日を過ごすこともあるかもしれません。

また、スマートフォンやパソコンを見ている時間は、20代~50代の平均で1日11時間以上にも及んでいます。昨今のリモート勤務推奨の流れで、オフィスにいないぶん、いつも以上にコミュニケーションチャットから目を離せない人も多いのではないでしょうか。

深い思考を得るためには、デジタル機器から強制的に離れる行為「デジタルデトックス」時間を設けることをおすすめします。

例えば、パソコンのWi-Fiを切る時間を作り、その時間内で仕事の骨子を固める。調べたいことはリストにまとめておき、専用の時間で一気に調べる。1日の中でメールを確認する回数と時間を決め、その枠内で集中してチェックする。

情報をインプットする時間としない時間をきっちり分け、メリハリをつけて休むときは休む。この習慣が、高い集中を生むための条件と言えます。

この点は、特に在宅勤務になると心理的安全性が損なわれ、誰かから連絡が来ていたらすぐに返さなければ・・という同僚からの猜疑心への不安からずっとメールやチャットに反応できるように構えてしまったりしていないでしょうか。

この問題は非常に根深く、物理的に近くにいるときの“ちょっといい?”のせいで集中できていなかったのに、さらに声かけられそう・・というフリもなく急なデジタルコミュニケーションに対して、常にアンテナを張ってしまっていると、全く注意力を目の前の思考に向けられません。

せっかくなので、心理的安全や不安への対応についてのTipsを添えます。


工夫⑩:心理的安全を作ることの重要さ

米グーグルが実施した生産性向上計画「プロジェクト・アリストテレス」の結果、生産的なチームの条件は「心理的安全」だったそうです。

そして集中を高めるといわれるマインドフルネスで、最初に習うのが「いまに心を集中する」こと。そしてそれを妨げるのが「過去への後悔」と「未来への不安」です。

過去への後悔に対処するには、「変えられないことは悔やまない」に尽きます。ドイツの心理学者エビングハウスが行った実験では、人の記憶は時間の経過とともに薄れていくことが証明されました。過去の失敗にいつまでも心が捉われてしまう人は、「周囲はこのことは覚えていない」と開き直ってみてください。すると、徐々に自分でも気にしなくなるので、

いずれ忘れます。

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また日本人は、相手の気持ちを察する能力に長けた国民性だと言われていて、この国民性は「コンテクスト文化」と呼ばれています。コンテクストは「文脈」を表し、文脈・行間を読む、つまりは“空気を読む”文化と言えます。

コンテクスト文化は無用なトラブルを生まない半面、相手の心を過度に意識してしまい、自身の不安を助長すると傾向があります。不安を抱えたままでは、目の前のことやひとつの物事に専念できなくなります。

在宅勤務の常態化によって、コミュニケーション方法が限られる、コミュニケーション量が減るからこそ、「伝える」意識を高め、思ったことをできるだけ言葉にして確認するようにしてください。すると自身の不安も解消し、仕事に集中できるようになるはずです。

また、昨今の状況下で、より多くの人が「未来への不安」を抱えていると思います。しかし、漠然と不安を抱えて目の前の仕事に集中できなくなるのでは、元も子もありません。未来を漠然と不安視するのではなく、何ができるのか、現実を捉えながらも「目の前の仕事」に向き合う。

視点を“いま”に向けることで、“いま”を切り抜ける力が求められているのではないでしょうか。

全ての時間を楽観的に過ごすべきではないのは間違いないでしょう。

稲盛さんのお言葉で京セラのフィロソフィとして有名な「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」はかなりのパターンで合致する感覚がある言葉です。

構想と実行の時くらいは、解決不能な不安になど塗れず過ごす鈍感力を持てることも重要ですね。井上は鈍感力だけは褒められるので、ここは有識者として主張します。鈍感力を褒められていると認識出来ている時点で強い鈍感さですし。


ここまで、時間管理の中でも、1週間単位からのトップダウンなアプローチを元に話してきました。

もう一つは、1タスクごと/時間単位の管理術をお伝えできればと思います。

ここは、JINS MEMEでの計測実験を通じて、分かってきたことが二つあります。
「作業を開始する前の準備」と、「時間設計」が重要になります。


工夫:「迷う時間」と「迷わず進める時間」をしっかり分ける

仕事をしていると、「このままこの作業をしていて大丈夫かな?」という状況に陥ることはありませんか? リモートや在宅勤務でひとりの時間が続くと、なおさらそう感じるかもしれません。

この状態から生まれる不安感によって、集中が途切れてしまうというのが、JINS MEMEを使った実験で明らかになりました。

アプリ開発のデザイナーの方を対象に、メガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME」を用いた集中力トレーニングの実験を行いました。参加者は、入社1年目の新人デザイナー2名と入社5年目の中堅デザイナー2名です。

デザイン作業中の集中度を計測したところ、全計測時間内での集中時間の割合は、新人デザイナーは34.5%でしたが、中堅デザイナーは69.1%という結果でした。さらに特徴的な点として、新人デザイナーは作業開始から10分ほどたつと徐々に集中力が落ちていきました。

それぞれにインタビューをしたところ、新人デザイナーは「当初想定していたデザインの方向性が正しいか不安になり、混乱した」という意見。一方、中堅デザイナーは「デザインで実現しようとしている目的を考え切るまでは、手を動かさなかった。考え切ってから動き始めれば、途中で不安になりにくいし、もし迷ったら手を止めて考え直せばいい」との意見でした。

つまり、集中力の高い作業時間を獲得するためには、作業する前に何のためにするのか「Why(なぜ)」を考え切ることが有効だということです。

この実験自体に同席しましたが、大事なことは何かというと、

・迷う時間
・迷わず進める時間

をしっかり分けていることです。
デザイナーは、デザインという言語化しにくい課題に取り組むため、どのプロジェクトでも、必要な迷いは大小あり通常の仕事よりも大きい可能性が高いと思われます。

だからこそ、優秀なデザイナーは先に「迷う時間」をやりきってから、「迷わず進める時間」に移行しているのです。

これは、DMN, EN, 作業の切り替えと同様、タスクの単元を分ける視点としてすごく重要だと思われます。

工夫:時間サイクルを自分のものにする

効率的な仕事を行う上で、タスクへの優先順位付けや時間配分の重要性は多くの人が知るところですが、本日は集中に入りやすくし、パフォーマンスを高めるタイムマネジメント術「ポモドーロテクニック」についてご紹介します。

「ポモドーロテクニック」とは、時間分割によって作業効率を高めるタイムマネジメント術です。一般的には「25分の作業時間」+「5分の休憩時間」を1セット=1ポモドーロとし、4ポモドーロ(2時間)ごとに30分程度の長めの休憩時間をとるサイクルを繰り返す。作業と休憩を交互に行い「飽き」を少なくすることで、集中が長時間キープできると言われています。

作業時間と休憩時間の取り方については、人によって最適なバランスは異なります。メガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME」を使用した実験でも、「25分集中+5分休憩」サイクルが最適な人、「15分集中+3分休憩」サイクルが最適な人など差がありました。

ですので、まずは標準的な「25分集中+5分休憩」から始めてみて、自分に合った時間サイクルを探してみてください。

休息という観点から、昨今注目されている「アクティブレスト(攻めの休息)」についても触れていきます。休息と集中は一見縁遠いように感じられますが、良い集中を語る上で休息は欠かせません。

例えばビジネスパーソンが出勤前後に行うランニングや筋トレなどもこれに当てはまります。運動が脳の活動に良い影響を与えるのは多くの研究で証明されており、ウォーキングのようなリズミカルな運動の継続では、心身の安定をもたらすセロトニンの分泌量が増え、リラックスしやすくなります。

また、アクティブレストの一種として特に注目されているのが「パワーナップ」です。これは午後(昼食後)にとる15~30分程度の「仮眠」を指し、「睡眠不足の解消」「疲労回復」「脳の活性化」「集中力の向上」といった効果が認められています。ただし、30分以上の仮眠は深い睡眠に入り、疲労が増してしまうため注意が必要です。

タスクや時間管理だけではなく、休憩や休息もしっかりマネジメントして、良い集中時間を確保してください。

在宅勤務だとこのアクティブレストの種類の幅が持てずに苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。

私の場合は、風呂の湯船に1日4回ほど入り、たまにテレカンをベランダで出たり、リラックス寄りのアロマをかいだりしています。

仕事に入るためのアロマの話で語りましたが、仕事から抜けるためにも、視覚/聴覚以外の五感刺激が有効だと考えており、その象徴的なことが、湯船と風(触覚)、アロマ(嗅覚)だと思っています。方法はいろいろありますが、味覚に逃げると運動もしづらい今は大きな問題を残すこともあるので、触覚/嗅覚刺激をおススメします。

ここまで、時間管理の方法論を語ってきました。

工夫⑦:思考パターンを分けて、予約すること
工夫⑧:集中時間帯を知り、会議予定を入れないこと
工夫⑨:デジタルデトックスをする時間を決めること
工夫⑩:心理的安全を作ることの重要さ
工夫⑪:「迷う時間」と「迷わず進める時間」をしっかり分ける
工夫⑫:時間サイクルを自分のものにする


これらは、もちろん育児などがかかわってくると難しいとは思います。

が、だからこそ上記の工夫を分類・理解して、偶発的に発生した自分の時間などに、重要なタスクにグッと入れる用意をしておけると良いと思っています。


2.1.3 対応方針:③体調管理編

紹介している工夫:

工夫⑬:長時間のPC作業にはJINS SCREENを
工夫⑭:寝る前スマホをやめる
工夫⑮:間食は低GI食品を、カフェインと上手に付き合う

Stay Homeの期間が長引いてきていて、在宅勤務の問題というか、外に出る機会が少なすぎることによるヘルスケア的な問題が多く起きているかと思います。

Beforeコロナで、オフィスワーカーのパフォーマンス低下で良く上げられていたものとしては、「眼」「メンタル」「睡眠」「肩こり/腰痛・・」でした。


これの中で、
メンタル :OFFへの切替えの巧拙(前述)
肩こり/腰痛など :姿勢に関する点+フィットネスをぜひ

という感じなので、ここでは眼と睡眠、そして思考に重要な因子となる血糖値マネジメントを含む食事に関して語っていきます。

工夫⑬:長時間のPC作業にはJINS SCREENを

疲れ目については、以前「視覚と集中」でもお伝えしましたが、本日改めて目が疲れる理由や集中との関連についてお話ししていきます。

皆さんは「VDT症候群」という言葉を知っていますか。別名 “IT眼症”とも呼ばれ、パソコンやタブレット、スマートフォンを日常的に使い続けることでドライアイや肩こり、イライラ感や不安感など、心身に不調をきたす疾患のことです。

大きな理由のひとつは、デジタルデバイスから発せられるブルーライトです。ブルーライトは、人の目で見られる光のなかで最も強いエネルギーを持っていて、網膜に届きダメージを与えます。またブルーライトの浴びすぎでホルモンバランスや体内リズムが崩れ、不眠症になる可能性も報告されています。

さらに、集中が高まるほどまばたきの回数が減少するため、それに伴い涙が蒸発して目の乾き・目のかすみ・見えにくさが出てきます。オフィスワーカーの3人に1人がドライアイという研究報告もあります。

加えて、作業に集中しすぎてしまうと、交換神経の活性状態が続き、副交感神経によるリラックス状態が麻痺してしまうため、自律神経の不調によるやる気の減退、イライラや不安感が発生します。

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなか、テレワーク勤務に限らず、普段対面で行っていた打ち合わせをオンラインに切り替えている人が増えてきています。1時間作業をしたら遠くを見るなど休憩を入れる、パソコン作業用の眼鏡などを利用する、目を温めたりマッサージするなど、集中とリラックスのバランスを取りながら、テレワークとうまく付き合っていきましょう。

液晶画面・LED光源からのブルーライトは、知らず知らずのうちに網膜にダメージを与えています。また、集中するほどまばたきの回数は減少し、ドライアイのリスクが高まります。

「目の不調は集中を邪魔する」と言っても過言ではありません。意識的なまばたきや定期的な休憩(1時間の作業に対し、15分程度)で目の水分を保つようにしましょう。

JINSでは、JINS SCREENというブルーライト対策メガネを開発/販売しております。さらに、この在宅勤務要請に合わせて、レンズ無料を実施しています(オンラインショップ限定。先着3万名ですご了承ください。)


工夫⑭:寝る前スマホをやめる

集中力の向上には睡眠が非常に重要です。ですが、日本人の平均睡眠時間は、世界と比べて少ないという研究報告があります。また、骨格の影響により、日本人男性は「睡眠時無呼吸症候群」になりやすいと言われています。

睡眠不足により特に影響を受けるのが、「海馬」といわれる脳の一部分です。海馬はインプットした情報を一時的に保存しておく機能があり、この機能が衰えると短期記憶が弱くなります。その結果、同時並行で行っているタスク管理にできなくなる、集中力や注意力が阻害されるという仕事への阻害が生じてしまいます。

では良い睡眠はどうしたら得られるのでしょうか。「入眠と眠りの深さ」と「目覚めの良さ」に焦点を当ててお話ししていきます。

まずは入眠と眠りの深さについてです。睡眠には「レム睡眠(身体を休める)」と「ノンレム睡眠(脳を休める)」の2種類があり、この2つは90分周期で交替していきます。それぞれ役割が異なるため、レム睡眠とノンレム睡眠のスムーズな繰り返しが重要となってきます。
良い入眠のためには、寝る前に脳に刺激を与えず、リラックス状態を習慣化しましょう。特に寝る前にはスマートフォンを見るのを避けてください。スマートフォンから発せられるブルーライトにより、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。

目覚めの良さは朝日を浴びることが重要です。朝日を浴びると気分の安定をもたらすセロトニンが分泌され、自然な起床が促されると共に、脳の活性化につながります。

「睡眠の善し悪しは仕事の善し悪しに直結する」ので、意識して睡眠の質を上げていきましょう。


工夫⑮:間食は低GI食品を、カフェインとも上手に付き合う

脳は糖分(ブドウ糖)をエネルギーとして活動しています。そのため、血糖値の増減には非常に敏感です。血糖値の乱高下は集中力の低下や眠気、イライラを引き起こすため、集中力の維持には「血糖値の維持」がポイントとなります。

血糖値のコントロールでおすすめなのが「低GI値食品」です。GI値とはその食品が体内で糖に変化するスピードを表す指標で、低GI値食品は体内にゆっくりと吸収されるために血糖値の変化が安定していて、集中力が維持しやすくなります。

昼ごはんを食べると眠たくなる、集中が続かないという方は、そばやパスタ、大豆食品、きのこ類などの低GI値食品に切り替えてみてください。また、低GI値食品は、血糖値の低下や脂肪の合成をつかさどるインスリンが出にくいため、ダイエットにも有効です。

加えて食事の順番でも、血糖値の変化に大きな差が出てきます。食物繊維が多いもの(サラダなど)を最初に食べると、血糖値の上昇幅はかなり抑えられます。

ところで、仕事中にコーヒーを飲む人は多いのではないでしょうか。コーヒーに含まれるカフェインは交感神経を刺激し、意識が活性化し集中状態を生み出します。また緑茶、特に玉露にはコーヒーの約2.5倍のカフェインが含まれ、さらに緑茶に含まれるテアニンという成分は、副交感神経に作用しストレス緩和やリラックスを促進します。適度なリラックスは、質の良い集中にもつながります。

また、カフェインの摂取は、夕方くらいまでにした方が良いという説もあります。カフェインによる覚醒効果で、夜の睡眠が荒れてしまう可能性があるからです。時間帯によっても飲み分けるべきだと思われます。

コーヒーや緑茶、デカフェ飲料を飲み分けて、質の良い集中時間を手に入れてください。

ここでは、体調管理の中でも深い思考を持つために即効性のある以下をご紹介しました。

工夫⑬:長時間のPC作業にはJINS SCREENを
工夫⑭:寝る前スマホをやめる
工夫⑮:間食は低GI食品を、カフェインとも上手に付き合う

今日から実施しやすいものだと思いますので、ぜひご活用ください

2.2  2nd Place /3rd Placeの使い分け 経営者/人事総務(2020-05-19公開!)


前章まで在宅勤務のソリューションまでを書き上げて、10日ほど経ちました。

何件かのテレカンとウェビナーで、ここまでの章の内容(note)を見せながら、プレゼン/議論をしてきました。

このような話に興味を持って話しかけてくださる方は、ご自身の在宅勤務の話をしながら、企業の経営や人事総務をしている方が多いので、2nd Placeをどうしていくべきか、の話のたたき台として、この文章を早く書いてくれ、と言ってくれます。

出版社を入れてやらない分、納期を無視して書けるなんて思っていたのですが、あり難いことに、早く書かなきゃ・・(と頑張って、アドレナリンで書こうと思い、土曜夜中に無理やりカフェイン入れて書いています。)

まず、前提として、前に書いた以下の図を再掲致します。

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2020年5月中旬に来て、出てきている情報では、GAFA中心に在宅勤務を求める人は完全に許可に向けていますし、間違いないのは、

「通常業務のインフラ」を1st Placeに移していく

というトレンドです。

このトレンドがなぜ強力に進むか、から議論を始めます。


2.2.1 なぜ、オフィス機能の分散化が始まるのか

「在宅で全く問題ない」とのGMO熊谷さんの話が有名です。
GMOさんでは、国内社員4,650人中、4,000人を1月26日時点で「明日から在宅勤務」と号令して急に動かしても、全く問題が起きていないと仰っています。

ウィルスの問題は、喉元過ぎれば熱さを忘れるかもしれませんが、多くの業務において、もう完全に在宅勤務で問題無いことが、証明されてしまいましたので。強力に進むでしょう。

これは実は既定路線そのもので、Beforeコロナ時代から、政府も大企業もテレワークを押し進めたかったのです。

以下は、総務省/国交省の2017年時点での目標として掲げていたテレワーカー比率です。

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良く言われていたのは、東京オリンピック開催予定だった2020年に、テレワークを常態化していく人の比率が15.4%になるように進める、という目標でした。

ある説では、東京五輪の際には、観光客の量からすると、オフィスワーカーが電車に乗っている様では首都機能が回らない、と言われていました。

これは、東京都内のオフィスワーカーで言うと、350万人いると言われるので、55万人程度がテレワークを常態化していく、そのためには、コワーキングスペースなどのインフラも全く足りていない、という論調で私は話していました。

これらの政府方針に合わせて、
・日立グループは、10万人規模で自宅や外出先で働ける体制を作る(2018年8月記事)
・住友商事・三井物産などもテレワークを全面導入(2018年6月記事)

など大企業が非常に協力的にテレワークに向けて進めていく流れを取っていたように聞いています。

その先導をしていた、総務省では子供が夏休みになる7月後半にテレワークデイズというものを2017年から実施しており、かなり推し進めようとしていました。

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しかしこれらは、実は大きな課題を抱えていました。

・「ITリテラシー低めの中間管理職おじさん」の反対
・セキュリティ(ショルダーハックと言われる肩越しにPCを覗かれるなどの問題)

で止まっていました。

そのため例えばJINS/Think Labとしては、総務省のテレワークデイズの取り組みに以下のような情報提供サポートをさせて頂いていました。

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Microsoftさんと実証した実証実験では、彼らの品川の本社オフィスに比べて、ご自宅やカフェでの仕事の方が集中している、という事実やThink Labのようなワークスペースでは集中が高く、「オフィスで働くことだけが、正解ではなく、攻めのテレワークをしましょう。」という文脈を謳っていたりしました。

これ自体は、少し我々の我田引水なロジックも入っているように感じるかもしれませんが、基本的にテレワークの方向に総務省中心になんとか動かそうとしてこんな情報開発をしていたのです。

これって、逆にそれくらいテレワークに対して反発があったということの証明になると思っています。
どの企業に行っても、経営者や人事はテレワーク導入をしたいと言うのに、説得できないんだよね・・という相談を多く受けました。

上のリンクは東京都内のオフィスの空席率について書かれています。
東京都内のオフィスの空室率は信じられないほど低く、どこ行ってもオフィスビルの建設工事が多くある状況でした。

これは、

・ テレワークに向けて結局動けていない企業が多いこと
・ 働き方改革の推進によって、残業で回していた業務を社員数で賄うために9~17時の社員数が多くなり、増床が必要になったこと

だと聞いていました。

結果、渋谷などは目も当てられないほど高い賃料になり、うまく行っているベンチャーでも、賃料に悲鳴を上げて、五反田などに移住することをよく目にしていました。

それだけ、結局オフィスでしか仕事できない、という宗教にハマったままだったのが日本国内でした。

ここにコロナによる「強制テレワーク、しかも在宅勤務縛りルール付き」が急に来たことで、何が分かったか、は皆さんの感じた通りだと思います。

全ての役割や業務において、在宅勤務が可能、という結論・暴論で「ITリテラシー低めの中間管理職おじさん」に、テレワーク出来るでしょ、と突きつけるべき、というつもりはありません。

しかし、在宅勤務で一度回せた企業が大多数出てきて、前例が出来たことがすべてです。

前例に弱いのが、日本人・・。
(いや日本人に限らないので、無駄な日本人的自虐は無しとして・・)

「この会議って、対面でやる必要ありますか?」

って真顔で聞かれて、答えに窮する姿が目に浮かびますよね。

集まる必要がある、という前提は無くなる、というのが前提となります。

全ての「家から出る場所(2nd , 3rd Place)」は、わざわざ行く場所になるということです。

その意味で、東京を中心とした人口密度の高い都市は後進国的立場になることが間違いないと思われます。

元々、車で移動するような人口密度の低い米国都市などでは、EC化の比率も高いように、全ての活動が、ワザワザでなくて良いように効率化されているのです。

キャッシュレスの世界に一番遅れたのと同様、便利さがゆえに、また後塵に拝さないように動きましょう。ここで、大きなゲームチェンジに合わせられる企業とそうではない企業では、全く違う将来が待っていると思っています。

心して、議論をしていきましょう。

2.2.2 ふたつのフェイズの存在

このオフィス機能の分散化には、一般的な会社では、2つのフェイズがあると考えられます。

① 現契約内の過渡期
② 次契約からの最適化期

「1-3-3それらの変化が起きていく時間感」にて、語った通り、オフィスビルの賃貸期間は、3~5年と言われており、その契約内の過渡期とその次の契約時にどんな風に最適化された状態を作っていくか、は向き合う課題が違うことを意識しなければなりません。

この3~5年の間とその後で話は大きく違う理由はもちろん以下です。

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①現契約内の過渡期:Withコロナ
②次契約からの最適化期:Afterコロナ

としています。
ここで間違いない問題は、Withコロナの悩みです。

8割以上の産業では、本業の収益そのものが痛んでいるはずなのに、残りの賃貸期間のオフィスに賃料とこれまでの設備投資の償却費は残ってしまうので、どうにか費用を抑えながらも

A. ウィルス対策/テレカン対応などのオフィス投資
B. 在宅勤務の手当
C. 外部ワークスペースの活用費

などに、どう対応していくか、が悩ましい所かと思います。

これらを、Afterコロナ時代には、全体コストを抑えつつ、攻めの働き方を実現できる状況にするために、考えるべき視点を提示できればと思います。

次章から、私の本業であるハード面の在り方をお話しし、その後に、人事制度や運用面でのソフト面の話も重要なので、専門ではありませんができる限り語ってみたいと思います。

2.2.3 ハード面の考え方(所有と利用のバランス)

コロナがさらに加速させた不確実性なビジネス環境と元来進んできたシェアリングエコノミーの進展が相まって、働き方を支える環境の所有と利用の関係はどのように進んでいくでしょうか。

日本では、Yahoo Japanによるロッジなど、大企業が所有するワークスペースを第三者に開放するなどを進めていました。これは、イノベーションを起こすための「知の探索」を目的としていました。(参照:1.2.2 クリエィティブワークへの障害)

また、自社内だけで完結できる業務も減ってきているはずで、協業先とのプロジェクトを円滑にするために、ほぼ協業先の会社に常駐するような業務形態も増えてきていたと思います。そして、Weworkなどのコワーキングスペースを活用することも徐々に広がっていました。

Beforeコロナでは、イノベーションのためを目的としていたこの所有から利用への流れ、がエコノミー起点でも拍車がかかると思われます。

一点、先に懸念点をあげるとすると

「ウィルス対策起因では、シェアエコの抑制効果も来ている」

という観点も忘れてはいけません。

例えば、シェアエコの代表格であった、自転車のシェアなどはウィルス伝染の可能性から敬遠されて、今現状は苦しい状況になってきていると聞きます。

個人的には、コンビニでの雑誌の立ち読みすらしにくくなってきている気がしています。
このようにBtoCの世界でのシェアエコは、向かい風が強い可能性は高いです。

ですので、BtoBの世界でもシェアをするものに関しては、それなりに管理が行き届いていることを条件にいれたものでなければならなくなってくる、ということは、容易に想像がつきます。

これらの点を忘れずに、まずは、オフィスが持ち続けるべき機能の理解を進めていきましょう。

2.2.3 ① 法人が用意すべき機能:在宅で解決するので要らないものから考察区切り線

オフィスには、ワザワザ行く場所となることを前提に、ワザワザ行くからには、何を機能として持つべきか、何は要らないか、を考察していきましょう。

これを考察する際に、観点は、

・在宅で十分なもの  →要らない
・在宅では不足なもの  →要る、機能拡張?
・ウィルス対策必要なもの  →今は要る、長期的には?

この3つの観点を持って整理していくべきかと思います。


そして、結論から言いましょう。
要らなくなる観点で重要なのは、会議室と自席です。

会議室は、テレカンで解決するものが多く、

「この会議って、対面でやる必要ありますか?」

に答えられる価値のあるものだけが残ります。
後で語りますが、その価値のある会議は、現状の会議室とは違うファシリティの方が向いている可能性が高いです。

そして、自席に関しては、
・固定席が必要な頻度で出社しなければならない業務が少ない
・オープン型・島形だとウィルス対策的に辛い?

の二つの問題にぶつかるかと思っています。

それ以外の機能として、ギャラリー、雑談・歓談場所、などに関しては、大きな変化はないかもしれません。

特に、企業に対する帰属意識が低くなることによって、求心力を失う可能性について語る方は多くいらっしゃいます。

例えば、Beforeコロナのことですが、メルカリやウォンテッドリー、世界では、IBMなどが、オフィスに回帰することの大事さを語っていました。

機能的にはテレワークの親和性が高いと思われるIT系企業においても、心理的安全性を高めるためにも、対面コミュニケーションの大事さが語られていました。

これは一方では、離職率が高く転職しやすい人材をリテインするためには、リアルでの象徴的なオフィスが機能する必要があることを物語っているように感じます。その観点で、ギャラリーや雑談・歓談場所というものは必要性を増す可能性もあると思っています。

では、在宅勤務で解決していることとしていないことをCo-workとSolo-workの機能ごとに、分けて議論しましょう。

①Co-work :会議室
②Solo-work :一人作業場所

①Co-work :会議室

まず、会議室はBeforeコロナでも余剰だった可能性からお話しさせてください。

Think Labで、昨年の2019年に以下の調査事業を引き受けました。
*平成30年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業より(ワークスタイル変革モデル事業調査)

https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000196.pdf

その中で、以下のような椅子に設置する加圧センサーで経産省省内の会議室ごとの座席の稼働率を調査しました。

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その結果は、以下になります。


・20人以上のキャパがある大会議室は、平均稼働率が20%台
・6-14人キャパの会議室も、平均稼働率が30~60%台で、平均利用人数が3-6人

であることが分かりました。

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このように、多くの企業で「会議室が足りない!足りない!」ということを耳にしますが、実際には、多くの無駄を含んでいることが分かってきていました。

さらに、JINS MEMEで各場所を利用している方々の集中度を計測すると、縦軸を集中度、横軸を稼働率で見ることができます。

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すると、稼働していないし集中できていない会議室が特定できるため、一番その傾向にあった7階西1という会議室がもったいないので、個々人の集中を高めるためのDeep Think Roomに変える、という取り組みをおこないました。

このように、Beforeコロナの時点でも、しっかりデータを見てみると、会議室は最適なサイズで設計されていない可能性とその場所を別目的で活用する可能性が示唆されていました。

さらに、Withコロナでは、会議室の必要性が落ちていく傾向にあることは明白化と思います。これを考察するうえで、思い切って視点をずらします。

Think Labでは、22歳の高専→理工系大学編入の新卒のWeb/HWエンジニアの糸長くんという人を4月に採用しました。
そもそも、小売を中心としたJINSのHDの中で、新卒で採用するにはこれまでの中では、特殊な人種で、2年前まで大分のLTE回線も届かない実家に住んでいたのに、ITリテラシーに関しては、教えられることばかりの頼れるいいやつです。

そんな糸長君は、このコロナ期の真っただ中に採用した人なので、実は4月からはほぼ会っていません。どうやって仕事をしているかというと、普通にすべてリモートでやっています。

彼がどんな在宅勤務環境でやっているかというと、こんな感じです。

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こういう新人類にとっては、テレワークから開始しても困っていることは本当に少なく見えます。

キャッシュレス社会が、偽造紙幣や店員による現金盗難などの我々の感覚では普通ではない状況の方が、素直に進められたこととほぼ同義で、テレワークが基本となる新しい世界を考える際には、テレワークしか知らない人種の視点から考える、というのが一番素直な将来予測になる気がしているので、皆さんもこの糸長くんを想像して

「井上さん、その会議を対面でやる理由を教えてください。」

という質問に答えられるものと答えられないものを分けていく形で考察しましょう。

では、説明できるように考えるために。
会議にはどんな種類のものがあるでしょうか。

変数A:相手・参加者
・外部 ⇔ 内部
・偉い人 ⇔ それ以外
変数B:内容
・報告・連絡 ⇔ 相談 ⇔ 交渉
・戦略/計画 ⇔ 管理/実行
・アイデア創出 ⇔ 業務落とし込み
・まじめ ⇔ 雑談

このあたりで考えられる気がしていますので、分類ごとに説明していきます。

〇変数A:相手・参加者

まず、外部の人か、内部の人か、という観点では全くもってどちらもテレカンで十分だと思います。アジェンダを決めて、ちゃんと話す内容を決めてから話す性質にある外部の人との方がむしろしやすいぐらいだと思います。

在宅勤務開始時には、私も新しく会う人だけはさすがにテレカン苦しいか、と思っていましたが、5月中旬の今の時点で、そういえばこの人会ったことない人なんだなぁ、というくらいの感覚の人とこれまでの知り合いと変わらず、議論が出来ています。

Think Labのチームは、4月参加が3人いますが、その3人同士は社内チームなのに、人生で一度も会ったことないままで、私が介在しなくても普通に仕事に全くの支障を出していません。

しかし、以下の視点を気にしたほうが良いです。

Beforeコロナでは、ベンチマークとなるお話しを聞いたことがあります。
フリーランスの仲介サービスをしている会社の社長から聞きましたが、

「フリーランスと発注企業側の人を一度でも会わせていると、単価が上がる」

という話でした。

これは、やはり人はリアルで会ったからこそ感じる、の人のコンテキストを見ると情が湧く、という観点は間違いなくあるように感じます。これも是ではありますが、我々の慣れの問題はあるように感じます。

ここは、重要だと感じることがあります。

しかし短絡的に、じゃぁやっぱり、社外の初回の人はテレカンではなく、会議室に呼ぶべきですね、とならない気がしています。

ほぼ毎日8時間程度、テレカンして暮らしている私は、自分の中で、テレカンリテラシーが上がってきていることを感じています。

例えば、一つにオーバーリアクションが必須だと感じています。
前に観衆が全く見えないウェビナーのプレゼンをしましたが、かなりつらかったです。
反応を見せることで、コミュニケーションの円滑さを作る技術が重要だと感じます。

Zoomなどの会議での動画のコマ数を調べてみました。

うまく動いている時で、
送信:12fps(1秒に12枚の画像が送られている状態)
→1枚0.08秒くらい

では、リアルの会議でやりがちな早めのうなずきはやってみると、1秒で4回くらいうなずいているように感じます。

早いうなずき:4回/s(1秒に4回うなずく)

1秒に4回=0.25秒なので、上→下→上の往復で3枚の画像しか送られていないわけです。そうすると、うまいタイミングで奇跡的に送信されていなければ、うなずいたことは伝わらないわけです。

なので、けっこうテレカンでもコミュニケーション上手な人って、大きくゆっくりうなずくようにしてくれる印象があります。(本人はこの理屈を考えてやっていないとは思いますが。)

こういうリテラシーを上げていくことで、それなりに初回の外部打ち合わせでも問題なく議論ができる印象があります。

しかし、テレカンでは辛そうな相手がいる、という話を月間総務の編集長の豊田さん、という方に伺いました。

豊田さんは、総務世界のレジェンドの方で、井上もファシリティマネジメント系のトレンドを考えるうえでは、いつも絶対に豊田さんにご意見伺う方です。
数多の経営者を含めた人々にインタビューをしてきた豊田さんでも、今テレカンでのインタビューで、大物経営者に関しては困ることがある、と仰っていました。

それは、熱量やオーラが見えないこと、だそうです。

豊田さんくらいのインタビュワーになると、聞いている内容(コンテンツ)だけでなく、会ってみた際に感じるオーラ(コンテキスト)を元に、質問内容も変えるし、答えている内容の解釈も変わってくるのだと思います。

私も感覚的には分かるのですが、自分よりも経験の多い人の話は、どうしても自分の思考のフレームワークだけで解釈などできるわけもなく、言語化出来ている内容以外の雰囲気から自分でもがいて紡ぎ取る感覚があります。

うちの社長と話すときもいつもそれはあり、何が今大事で、どういうことに温度感高く思考をすべきか、は会って話さないとどうしてもずれてしまう印象があり、社長に話す時だけは会社に行き、他社の方でそういうオーラ系の人とのコミュニケーションに関しては、やり方に困っていたりします。

この問題が大きいかもしれません。
同じ言語の世界でも、こういうオーラを通訳するための通訳者みたいな役割は必要になってくるのではないかと思います。

けっこうここは大事な話だと思いますが、新しいものを生み出したり、向き合っていくうえでは、自分の思考外の思考と向きあうことが必要不可欠なはずだと思います。文化人類学みたいな話ですが、新しい文化圏の人と会う際には、これまでの自分の思考フレームワーク外のものだとして、基本姿勢、理解できない前提で向き合う時間が必要だと感じています。

このために人は留学したり、ダイバシティを近場の世界に作る努力をしてきたはずです。

ここで取り扱っている「話す相手・参加者」の視点で、テレカンでは一番問題になるのは、ここで、一番損失が多くなる可能性があることだと思っています。

ここは誰が一番危ないかというと若手です。

うちのチームの若手石井くんが言ってましたが、これまでの打ち合わせでは、10歳くらい上の井上を中心とする中間層が議論していた内容を、聞く立場であることが多い石井くんなどの若手は、会議が終わった後に少しだけ集まって、中間層が話し合っていた内容への自分なりの解釈をぶつけ合えていたと聞きます。

これは、もちろん私も20代の時は特にやっていました。
コンサルの際などは、お客さんの経営層の悩みを1時間聞いたら、その後3時間くらいその解釈論で、時間を使っていたこともあるくらいです。

それだけ、自分の思考外にあるものを血肉にしていくというプロセスが、リアルの会議の後だとそのまま出来ていたのですが、テレカンだとブツっと一回切ってしまうので、その温度感のままでのチェックアウト若手会が行いにくい、という問題があるようです。

この解決策としては、偉めのやつを先にテレカンから出して、若手だけ残って、5分~10分の感想戦を行う、を義務化することです。
もちろん、このようなことで対応していくべきですが、テレカンだけでは辛い可能性が残る場所だと思います。

〇変数B:内容

ここは、多くの視点で議論が出来ます。

A.報告・連絡 ⇔ 相談 ⇔ 交渉
B.戦略/計画 ⇔ 管理/実行
C.アイデア創出 ⇔ 業務落とし込み
D.まじめ ⇔ 雑談

しかし、これらは結論に近いほど語られ始めているかと思います。
左は、遠隔でOK、右に行けば行くほどリアル会議の可能性が出てくる、が一般論だと思います。

まず、A.に関しては、以下が主要な語り口だと思われます。

報告・連絡 :Beforeコロナの時点で、Slackでよい。テレカンすらしない
相談 :テレカンでもちろんよい。
交渉 :リアル対面の価値はある報告・連絡 :Beforeコロナの時点で、Slackでよい。テレカンすらしない
相談 :テレカンでもちろんよい。
交渉 :リアル対面の価値はある

まず、報告・連絡ですが、
わざわざ時間を合わせて、会議をすることはムダが多い、という論調は元々あるかと思います。ホリエモンも電話してくる人とは仕事しない、と言っていたように、コミュニケーションツールがこれだけ進化している世界で、ワザワザ時間を合わせるだけの情報のやりとりは、一方向のものではないはずです。

しかし、1点朝礼/夕礼みたいなお互いの仕事へのチェックイン/チェックアウト機能だけは、テレカンであってもよいかと個人的には思っています。これは人によって答えが違ってくる領域かもしれません。

次に、相談系ですが、
アジェンダ決めて、話せるものは、確実にリアル会議である必要は一切ありません。
1on1のような、個人的な悩みなども含むものでも、可能かどうかだけの話であれば、テレカンで良いと思います。
10代の女の子の失恋相談でも、電話でしていると思うので、出来ることではあると思います。

つぎに交渉系ですが、
これは営業マンのやり方次第だとは思うのですが、可能性は残ると思っています。

テレカンの難しい所は、身を乗り出す/腕をまくるみたいなこっちの雰囲気を伝えていくことの難しさにあったりはします。それと、ワザワザ来てくれたことそのものが、

「愛いやつだ、優先的に発注しよう」

となる世界だったりもしたと思うので、そもそもワザワザが効いてくる世界ではあると思います。

しかし相手に寄るし、その営業の売り込みのためだけのために、出社しなきゃいけないみたいなことが一般化していくと思うので、そうなると、逆効果の可能性が出てくるのは早晩なのかもしれません。

テレカンで、交渉/営業する方法を身に着けていく方が、永続性が高いようにも感じます。


B.戦略/計画 ⇔ 管理/実行
C.アイデア創出 ⇔ 業務落とし込み

こちらは、2つ同時に語れる内容だと思われます。

まず戦コンの時に、よく使っていた普遍的な業務の流れとして、

戦略 → 計画 → 管理 → 実行
(SPCOって言ってました。)

これは後工程になればなるほど、アジェンダ組んで、業務落とし込みをしていく世界に入ってくるので、ここではオペレーションエクセレンスと呼ばれるような、効率化・実行力の世界になります。
そこでは、しっかり伝えて動く力が大事になり、その内容はテレカンで行けるはず、という主張が成り立つように見えます。
逆に、前工程は、企画系の頭でアイデア創出が必要なので、リアル会議で、ホワイトボード欲しい、という話になることが多いです。

しかし、そうではない気がしています。

前工程が主な業務の私としては、ホワイトボードよりもMiroみたいな仮想ホワイトボードツールや、Google Slideかパワポのリアルタイム共有で進められる分、リアル会議よりもアイデアが出にくい、という感覚がほぼなくなってきました。

1か月程度のキャッチアップでその感覚になるので、前工程であろうが、テレカンでほぼ問題ありません。

しかし、後工程の世界はどうでしょうか。
日本型経営の良い所であり、悪い所なのかもしれませんが、一つの定量目標のためだけにモジュールとして一人ずつが動く、というほど乾いた世界が実行部隊にあるように感じません。

数年前にGRIT(やり抜く力)という言葉が流行りましたが、実行フェイズで競争力を持っている多くの日本企業では、チームでのやる気をお互いに高め合うための協調みたいな言語化しにくい世界が、強さの元になっているように感じます。

心理的安全にして、お互いに自己肯定感を持って、GRIT持って仕事を行うようなチームであるためには、毎日/毎週でなくてもよいかもしれませんが、気持ちを束ねる儀式的集まりが重要になってくるように感じます。

JINSも小売店であり、メガネではなく購入体験を含めたサービス提供者として自らを位置付けていることからも、管理・実行フェイズにおけるブランドの理解浸透などをすごく大事にしています。

これらは、むしろリアルな体験価値が求められ、気持ちを束ねる装置として、オフィスが出来ることは残ると思われます。その観点で、ギャラリーや雑談・歓談場所というものは必要性を増す可能性もあると思っています。

また、合宿所のような3rd Placeの価値が見直される可能性も高いと思います。


D.まじめ ⇔ 雑談

次に、内容のまじめさです。

これは、想像の通りの結論だと思いますが、

「まじめなものはテレカンで十分」
「雑談の価値が見直され、むしろそのためだけにリアルがあると言えるほど」

だと考えています。

真面目なものとは、「アジェンダ組んで、ゴール設定して」みたいな世界と考えていて、
「想定通りに行くことが大事」なもの

雑談とは、ダイアログ/無目的な会話、というような意味で、
「想定外のことが見えてくることが大事」なもの

という解釈をすることが大事だと思います。
想定通りも想定外も両方ないとだめですよね。そりゃ。

個人の話の際に、

「EN:セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク」
→要は、理性の脳。

「DMN:デフォルトモード・ネットワーク」
→要は、直観の脳。

「SN:サリエンス・ネットワーク」、
→上記二つの脳を切替える大局観の脳

この3つの脳の切替えが必要だと話しました。

これで言うと、
EN:理性の脳は、「想定通り」を推し進める脳
DMN:直観の脳は、「想定外」を生み出す脳

と対応すると言えて、個人の中でも組織の中でも、両方の状態を作る工夫が必要になります。組織でのこれは、テレカンはENに向きますが、DMNにはリアルな場所の方が良いことが多いです。

DMNが活性になる場所は、ゆらぎやゆとりがあることだったりするので、五感刺激もあり、少し理性を落とすアルコールみたいなものや美味しいごはんが重要だったりします。

だから喫煙者は、喫煙所で重要なことは生み出されていた、と主張することまでありました。嘘ではないと思います。

では、この雑談場所に向いている形はどんなものでしょうか。

まず、“Human relationに関する論文(Human Relations Volume 23 Number 1 pp 61-76 Mark Cook “Experiments on Orientation and Proxemics”)”において、会話が上手くいく場合の研究結果として、円卓の90度以下の席の配置であった、という結果があります。

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これは、感覚的な物言いを残してしまいますが、今の一般的な会議室って、180度で向き合う形が基本なので、対立構造を作りやすいので、ディベートになりやすい気がしています。
それに対して、基本同じ方向を見て(共同注視)議論をすると、ディスカッションになりやすいと思っています。これは例えば、ドライブしていると会話が弾みやすいとか、カウンターテーブルの時とテーブル席の時では、会話の雰囲気が変わることがその証明かと思っています。

多分に、私の感覚的な部分が多いかもしれませんが、現状の向き合う形の会議室ではこの雑談を引き出す形にはなっていないことは、間違いないかと。

例えば、古く日本では雑談する場所はちゃぶ台でした。
ちゃぶ台は、円卓で人数に合わせて詰めればよいので、参加者数も限りませんし、途中からの参加/退席がしやすい構造です。また、多国籍で雑談をする象徴だと思われるHUBは、円形のスタンドで飲む形になっています。

これらの形で、法人社内の会議室を見直すことが求められているのではないでしょうか。

2.2.3 ①会議室:まとめ

そもそも、Beforeコロナの時点で、データを見ると会議室は最適なサイズ・量ではない可能性が高かった。

そして、「この会議って、対面でやる必要ありますか?」の模範解答を作る

〇変数①:相手・参加者
「ほぼテレカンで大丈夫だが、「自分の思考フレームワーク外の思考をくみ取る時」だけはリアル会議にする必要が高い」

〇変数②:内容
A.報告・連絡 ⇔ 相談 ⇔ 交渉
「ほぼすべてテレカン化する。
交渉だけリアル会議との主張もあるが、テレカン交渉できる人が成果を出すのが早晩」

B.戦略/計画 ⇔ 管理/実行
C.アイデア創出 ⇔ 業務落とし込み
「企画系の仕事はテレカンでほぼ充足
GRIT持って仕事を行うチームであるための、気持ちを束ねる儀式が残る」

D.まじめ ⇔ 雑談
「雑談を引き出すのが会議室の最大の目的。向き合う形ではない新しい会議室の在り方が求められている」

現状の会議室跡地をうまく活用して、上記のニーズを拾える方法を考えていきたいと思っています。

興味あれば、Think Labで引き受けられる方法が考えられるので、ご一報ください。

②Solo-work :一人作業場所

ここでも、Beforeコロナの時点の話を少し語ります。
Think Labの世界観である、Solo-workへの求めは、高まってきている傾向にありました。そのため、AGCやPanasonicを始めとする複数の大企業にThink Labを導入する事例が増えていっておりました。

実際、大手不動産仲介業者のCBREさんのレポートでも、都内では特に、コラボスペースやコワーキングスペースよりも高い比率で、集中スペースの新設・拡張が予定されているとのデータが出ていました。

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これらは、オープンオフィスへの揺り戻しが来ていたと言えるでしょう。オフィスでも、家のリノベーションでも、空間設計のトレンドは、できるだけオープンにしていく方向で、設計・施工されていました。

フリーアドレスでオープンにしていくのが、かっこよいという風潮が強かったのです。
これはもちろん、多くの人がコミュニケーションを取り、イノベーティブになっていく、ということを強力に進めますし、在宅勤務をしているとこういうオフィスに行きたくなる気持ちは私も強いです。

では、コロナによる影響を考察しましょう。

語ってきた通り、在宅勤務では難しい一人作業は、環境整備度合いによって大きく変わりますが、100点の作業場所を用意できている人は少ない前提に立つと、深い思考や高いクリエィティブ性が求められる一人作業が家では難しいはずです。

ここでも、テーマは「ワザワザ」いく理由です。

ウィルスリスクを抑えつつ、週に一回くらいの頻度で働きやすいオフィスに行くようなユースケースが多いと思って考えると、家でもできる単なる作業をオフィスで出来る必要はなくなっていくと考えるのが妥当でしょう。

そうすると、なおのことこれまでの固定席で、そんなに集中できていなかった席であれば、行く理由がほぼないと思われます。


そして、オフィス改装のトレンドとしていま語られていることを引用します。

このタイミングでは、コロナの流れで一つのトレンドとして、半個室(キュービクルオフィス)への回帰が謳われています。

これは主に、ウィルス対策のためのソーシャルディスタンシングを目的として、6フィート(約1.8m)をオープンな場所で実現することが難しいくらいには、出社率が高まってきてしまうことが予想される会社において、仕切りを作る必要が出てくることなどを含んで主張され始めています。

オフィス家具メーカのオカムラさんのレポートでは、出社50%を超えてきた頃には、物理的な仕切りが必要になってくることが語られています。

https://www.okamura.co.jp/solutions/office/after_covid-19/pdf/Workplace-Strategy-toward-After-COVID19-Okamura.pdf

しかし、このようなオフィスのSolo-work場所化を主張する人もいますが、違う主張もあります。

あくまでも、人が動く時代からモノが動く時代、という方向性を考えると、オフィス内のウィルス対策を強める前に、通勤電車に乗らない方が大事なのではないか、という主張です。

これももっともで、
在宅:オフィス = 8:2 で行ける企業は、こんな悩みは出てこないと思われます。

しかし、緊急事態宣言中でも、オフィスに出社する人の数は50%程度残っていたという説を前提にすると、在宅:オフィス = 2:8の企業が出てきて、上記のウィルス対策を行うことが求められる可能性は高いと思われます。
(再掲:4/20時点パーソル総合研究所調査、東京都正社員:49.1%がテレワーク)

上記の議論が収束しないことと同様で、

・コロナの収束時期
・収束後のウィルス対策必要度合い

は、予想できない、ということが重要だと考えられます。

このタイミングで、1~2年程度で返す可能性があるオフィスをA工事・B工事と言われるような大げさなリノベーションをする有用性は低いと思われます。

そして多くの企業は、コロナによって収益が落ちているタイミングであることも考えると、低コストで柔軟性高く対応できる方法が求められると考えています。

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この「低コスト×柔軟性」でキュービックを実現する方法をThink Labは、急いで用意に走っているので、ご興味ある会社さんは、お声がけください。優先的に商品提供をできるように進めます。

このキュービック型の個室ブースは、せっかく作るのであれば、

Think Labがこれまで培ってきた研究結果を用いた集中もできるもの

であった方が良いと思って、その用途として、作っておりますので、ご期待ください!

2.2.3 ①1人作業場所:まとめ

・ワザワザ行くんだから、単なる作業場所ならいらない。
・ウィルス対策もしたいけど、どういう将来になるか全く読めないので、
低コスト×柔軟性でキュービックを実現する方法が求められるはず。
・Think Lab新商品を期待してください。

2.2.3 ②3rd Placeの価値:持たずに利用すべき機能

ここでも、Beforeコロナで話していた内容から始めます。
オフィスのシェアリングエコノミーを進められる余地についてです。

シェアエコが進み始めている自動車の話の引用をします。

また聞きの話で恐縮なのですが、ある人経由で聞いたUberのデータサイエンティストが語っていた話だと、世界中の車は1週間に一回も動いていないものもザラではなく、全部の車を稼働率最大化できるように、うまくシェアできるようになれば、全自動車の3%しか必要なくなる、とのことでした。
(別のコンサル会社のレポートだと、10代後半の数値を出していたと思います。そのレポートが出てこなくて、確かな話ではないこと、ご留意ください)

では、東京都内のオフィスの稼働率から、算出するとどうなるでしょうか。

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我々Think Labの概算では、最大限稼働率をあげると78%必要ない(22%しかいらない)と算出されました。

算出方法は、色々と引っ張ってきている数値によって変わると思うので、算出方法は、下にまとめておきます。

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数値⑥:http://www.mitsuifudosan.co.jp/english/realestate_statics/download/fudousantoukei_2018_3_1.pdf
数値①:http://www.tmri.co.jp/report_2/pdf/2016special01.pdf
数値②:http://designers-office.jp/column/page/index.php?id=193

ここでお伝えしたいのは、東京は狭いオフィスで無理やり仕事をしている印象が多くあるような気がしますが、時差出勤などによる稼働率UPをしっかり図っていくだけでも、必要以上のオフィス床を持っている様に計算上はなるのです。

これが机上の空論になる背景の一つには、たまにしか使わない大会議室や昼しか使わない食堂などをCloseで用意することがあるかと思います。

今後、オフィスの機能を厳選し、必要以上に持たざる経営を推し進めていくことが求められていくという前提に立つと、どんな目的の場所を所有から利用(シェア)に振っていくべきでしょうか。

まずは、ここまで語ってきた通り、頻度が低いものです。利用頻度が低いものほどシェアというか3rd Placeに移していく必要が高まるのではないでしょうか。これはあまり議論の余地が無いかと思います。

ここに、コロナ影響を加味していきましょう。

もう耳が痛いかもしれませんが、コロナによる変化は、オフィスを含む家庭以外の場所に行く行為はすべて“ワザワザ”行くところです。

人々(社員)が、ワザワザ行く場所に求めることは、非日常化された場所であり劇場化された場所でなければならないと思います。在宅勤務が日常になっていくことで、全部に70点の多目的ルームは家にあるので、特化型の何かを求めるはずなのです。

前述しました、よりDX化が進んだ産業では、小売の世界でのリアル店舗@特に中国沿岸部のショールーム役割への移行のトレンドや、日本でもミュージシャンの売上が、CDなどの物販からライブへの移行をしていることなど、が見られます。
家以外のリアルな環境に、ワザワザ行きたくなるような劇場化への求めが高まり、その役割へのシフトが進んでいるのです。

これは、コロナによる強力なDX化が押し進む仕事をする環境の世界でも、同様のトレンドが求められることは確かではないでしょうか。

そうなると、利用に向けるものであり、3rd Placeに求めるものは、
「稼働率が低いこと」に加えて、「非日常を体験できること」になるのではないでしょうか。

その象徴は、合宿かもしれません。
Think LabでもOpen後ずっと、都内でアクセスできるのに、非日常を感じながら8時間くらいこもって過ごせることに喜んでくれるチームが多くあり、1日こもって事業計画を書いたり、事業アイデアを生む合宿をするチームの利用が止みません。

また、Weworkみたいな3rd Placeでは、外部の普段合わないタイプの人とのコミュニケーションができるという意味での劇場として、元々求められていましたし、今後もそういう劇場は強く求められるでしょう。

そして、そこまででなくてもBeforeコロナの頃から、カフェなどの少し気持ちをスイッチできる場所で働く人が多くいました。例えば、汐留/新橋のオフィスワーカーへのアンケート結果だと、仕事向けにカフェを利用している自腹額は、月に11,567円にもなっていました。

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この方々のヒアリングをしていた際には、
「会社から離れて、温度感を落とさない距離感の場所で、がっつり仕事したい」
というストイックの方と
「会社から少し離れて、落ち着いて一人で頭を整理したい」
というような方がいました。

これらは、気持ちをスイッチしたい、というニーズだと考えており、Think Labが汐留のオフィスワーカーに提供したいと思っている価値もそこに置いています。

これが、Afterコロナでは、さらに求められると思っています。
なぜかというと、前にも出した、物理空間×社会空間のマトリクスで説明すると、

・家では、1人の作業が出来ないと思って会社に出てくる
・会社にはたまに来ているので、Beforeコロナに拍車をかけて話しかけられる

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これが確実に各社員に訪れる未来だと強い確信をもって予言します。

ですので、Wework的劇場とともに、Think Lab的な「ひとりで落ち着いて仕事ができる場所」が求められると思っています。

個人的な感覚を伝えたいので、多方向から言語化を試みますが、

今後、社員に提供すべき「非日常」は、

・ハイタッチ系の劇場(Weworkなど)
・ロータッチ系の「市中の山居*」(Think Labとか他)
市中の山居とは:市中にありながら山住まいを思わせるような茶室。都会の喧騒の中にあるホッとする場所として、Think Lab的には目指したい世界観

が求められると思っています。両方大事なんです。

逆に言うとこの舞台装置を自社だけで所有しようとするとなかなか稼働率を上げるのが大変になります。

これらこそ、2nd Placeの自社内で所有するわけでもなく、1st Placeで社員が家の中に作るのも無理だけど、求められることだと思っています。そのため、これらの環境を使うことは、社員の採用リテインにもなるし、メンタルケアにもなると思っています。

個人の課題の章でも語ってきましたが、これらの課題感はあらゆる個人に紐づくと思っています。Withコロナの時代には、まだ定量的に問題が表出していませんが、在宅勤務によるストレスは、急激に進行している可能性があるとでしょう。

クリエィティブになろうと思っても必要だし、メンタルヘルスを良好にするための装置としても

「ゆとりとゆらぎのある「自分」でいられる環境」

がそれらの一つの解決策になると思い、3rd Placeを作っていこうと思っています。

少しThink Labに寄せた話をしてしまいました・・。
そして、1点、絶対に外せない話を忘れていました。

前述しました通り、ウィルスがあるので自転車のシェアなど、CtoC的シェアは抑制されるという話がありました。

BtoBの世界で活躍するための3rd Placeは、管理が行き届いていて、ウィルス対策が十分にされていることは求められるはずです。

我々Think Labだと、誰も話さない前提の空間なので飛沫リスクが低いのですが、以下のような施策を徹底しています。

 ①手指アルコール消毒液の設置
 ②ウイルス除菌99.99%おしぼり配布
 ③次亜塩素酸 空間除菌脱臭機の設置
 ④利用済みブースの都度アルコール除菌
 ⑤マスク着用の徹底
(⑥COVID-19のウィルス抑制効果が認められた光触媒を内装に吹き付ける
:2020年5月末実施予定)

これらが、充足している場所である、ということが前提条件になってしまう、ということが少なくとも向こう1.5年ほどは続くのかもしれません。会社側が社員に使ってよい3rd Placeに関するガイドラインを持つことが求められるのではないでしょうか。


まとめです。
所有から利用に移すべきこと、つまり3rd Place利用の観点で大事な点は、

・「稼働率が低いこと」に加えて、「非日常を体験できること」
・具体例は、「合宿」「ハイタッチ系な劇場」「ロータッチ系の市中の山居」
・Think Labはその中でも足りていない3個目を作っていきます。
・社員が使ってよい3rd Placeに関して、ウィルス対策度合いのガイドラインが必要

という話をしました。

「ゆとりとゆらぎのある「自分」でいられる環境」

が強く求められると思うので、個人でもカフェで自腹切っている社員のパフォーマンス向上のためにもぜひ、ぜひThink Labを覗いてみてください。

2.2.4 対応方針:ソフト面の考え方(近日公開!)

3. あとがき(近日公開!)


最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともThinkLabから皆様へ価値ある情報提供を行ってまいりますのでよろしくお願いいたします。

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Think Labのご紹介

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一人で深く考えるためのソロワーキングスペース。
独自の開発によって生まれた空間で、最高の集中をご体験ください。
・自社オフィスだと集中できない、話しかけられすぎる
・一人の時間を満喫したい
という方にオススメです。詳しくはwebを参照ください。
現在、期間限定でアプリ内から
実際にThinkLabで流れている自然音を家で聴くことができます。
在宅勤務の手助けになれば幸いです。