恩田さん

【お笑い裏方論】GERA放送局編「ハガキ職人がラジオ制作に関わる仕組みを作りたい」

「東京で考え中」で芸人さんの取材を重ねるにつれて、いわゆる裏方の仕事にも気になるようになりました。そこで、お笑いに関わる仕事をする方々にインタビューする新企画を始動。

最初に注目したのは、10分で聞ける新感覚お笑いラジオで話題のGERA放送局さん。ラランドさんを始め、若手芸人さんのラジオ音声を公式You Tubeで公開しています。今回はGERA放送局を運営する株式会社ファンコミュニケーションズ恩田さんを取材してきました。

目標はAbemaTVのラジオ版

立川:GERA放送局さんはファンコミュニケーションズさんの新規事業として始まったとは知らなかったです。

恩田:結構Twitterとかでお声掛けいただいてるんですよ。これが例えばYouTubeみたいなアプリだったら、また違った感じになってたでしょうね。ラジオをまた信じていきたいなと思いました。

立川:そもそもどうやって始まったんですか?

恩田:会社として新規事業を立ち上げるというのは2018年10月に始まりました。僕は2019年1月に新規事業開発部に異動してからいわゆるうまくいきそうな事業をやってたんですが、結局うまくいかなかったんです。

それなら自分が好きで深堀りしていけそうなものをやりたいということで、ビジネス的には音声プラットフォームみたいな、radikoとかポッドキャストみたいなものを作りたいと思いました。その入り口としてお笑いラジオを立ち上げて、ゆくゆくはAbemaTVのラジオ版みたいな規模まで大きくできればいいなと思っています。

立川:AbemaTVみたいにということは、お笑いに限らず他のジャンルも考えてますか?

恩田:いろんなジャンルを手広くやるとコンテンツとして薄まっちゃうので、そこは後々ですね。シンプルに僕がお笑いラジオが好きなので優先的にやってるというのもあるんですけど、手広くするのは2、3年後だと思います。

立川:ラジオに出演する芸人さんは基本は若手芸人が中心ですか?

恩田:そうですね。他の地上波のラジオ出られてるのでNGの方もいますし、あとはラジオとしてまだ提供されてないところにニーズを広げたいというのもあります。ぶっちゃけアルコ&ピースさんとかにも出てほしいんですけど、周りの方々からアルコ&ピースの話を聞きたいという思いもあるので、そんな風にいろいろな方から先輩の芸人さんの話を聞いたりしてますね。

立川:Radiotalkみたいではなく、こちらが打診した人を話し手にする感じですよね。

恩田:そうですね。いろいろ素人さんのラジオを聞いていくとなかなか面白くできないよねって話があるので、現状は芸人さんにお願いして出ていただくという方針を取ってます。
今悩んでるのは、芸人さんだけだと話が弾まないときもあるんですよね普段はそんなに喋らないような芸人さんもいるじゃないですか。

立川:ちょっと話はズレますけど、コント村っていうゾフィー上田さん、ハナコ秋山さん、かが屋加賀さん、ザ・マミィ林田さんでやってるコントユニットがあるんですよ。この4人のラジオはまだやってないのでアリだと思います。全国的にツアーを展開したいと話してて、こないだネタパレにも出てました。こういった正規のコンビやトリオでなく、ユニットや括りで出すパターンもいいかと思います。

恩田:それ熱いですね。あと、ラランドのラジオでコーナーやるんですけど、メールも120通とか来てて、選別できなくない?どうしようってなってます。ラジオファンってすごい熱量高い人が多いなと毎回感動しますね。第7世代ラジオって振り切っていった方がいいかなとも思うんですけど、どうですかね?

立川:ありだとは思いますね。多分この5年くらいは第8にはいかないと思います。まあ第6が広すぎたんですけど(笑)

恩田:他にもどこまで放送作家さんとか名ハガキ職人さんを巻き込めるかというところも考えてます。僕からするとエレファントかさ増しさんとかマジでヒーローなんですよね。そういう人たちが逆にラジオで喋る方がいいのか、それとも裏方なのか。ちょっと悩んでます。

※かさ増しさんに参加していただいた座談会記事はこちら

現在アプリ『GERA』を開発中

坂本:アプリはいつ頃リリースされるんですか?

恩田:3月末か4月初旬にできる予定です。芸人さんの帯のラジオを100本くらい作って配信していこうと思ってます。アプリ名は「GERA」になる予定です。

坂本:楽しみですね。開発期間はどれくらいですか?

恩田:3ヶ月くらいですかね。結構突貫でやってもらうので、音声を聴けるアプリと動画CMを見たら芸人さんにお金が入る仕組みのミニマムなものにしてリリースをしようと思ってます。

立川:収録などの実働部隊は何人ですか?

恩田:2人ですね。僕ともう1人。10分ラジオなので、作家さんを入れるのはまだ悩んでます。関係者が増えると固定費がかかってくる。それよりも芸人さんにギャラをお支払いした方がいいと思うので、どこまで増やしていくかが悩みどころですね。

坂本:新規事業を立ち上げるノウハウみたいなのはあったんですか?

恩田:まったくないですね。めちゃくちゃ手探りでやってます。

坂本:じゃあ今は2人で相談しながらやってると。

恩田:そうですね。とりあえずラジオリスナーに喜ばれることをしようっていう軸だけでやってます。結構ブレちゃうこともあるんですけどね。リスナーもなかなかひねくれてるじゃないですか(笑)今のところちょっと優しめなので、受け入れられてると思いつつ。

立川:もう1人の方もお笑いラジオ好きなんですか?

恩田:違いますね。新卒インターンの子が手伝ってくれてます。その子が優秀なので、助かってます(笑)
あとは他の部署に上智のお笑いサークル出身の子がいて、ラジオ収録はその子とやってます。一人で事務所を回ったり、収録以外のこともやってるんですけど、ラジオだから我慢できるってくらいですね。ラジオ以外の仕事だったらこんなに否定されるような仕事やらないですよ(笑)

坂本:結構否定されることが多いんですか?

恩田:内部で「本当にそうなの?」とか「ちょっとわかんない」と言われるので、そういう意見を参考にしたり、しなかったりする仕事ですね(笑)

立川:リスナーとそれ以外の人ってラジオに対する予備知識が結構違いますよね。「美容室で流れてるやつでしょ?」というテンションだったり。radikoすら知らない人も全然いますよね。

恩田:そうですね。でもradikoは300万人くらいユーザーがいるそうなので、ビジネス的にもチャンスだなと思います。

立川:アプリができた後もYouTubeチャンネルは継続するんですか?

恩田:YouTubeチャンネルはAbemaTVさんみたいに気になる部分だけもしくは1話だけとか、全編はアプリで聞いてもらうみたいな感じですね。アプリができるまでにいろんなラジオ好きな方と会って、アプリができたときに一気に収録ができるような感じににやりたいです。

坂本:ちなみに芸人さんにギャラはどれくらいお支払いしてるんですか?

恩田:時給換算するとかなり高いと思います。地上波のラジオのギャラよりも高く払ってますよ。出たい方がいたらぜひって感じですね。DM待ってます!


ハガキ職人とラジオを作る世界に

坂本:恩田さんは新卒からずっとこちらの会社に在籍してるんですか?

恩田:はい。新規事業をやりたくて入社したんですけど、最初の4年は営業でした。最近会社の目指すべきところが「プロシューマーハピネス」というものに変わったんですよ。簡単に言うと消費者は単なる消費をするだけでなく、生産者側にかかわることに価値や喜びを感じるようになる、そこを我々は手助けしようという感じなんです。

消費者が生産者側に関わりを持つというのは、ラジオで言うとハガキ職人じゃね?と思うようになりました。それってうちの会社とマッチしてますよねと言ったら事業案が通ったので、多分間違ってないと思います。

今後はハガキ職人をどんどん手助けしていく、もしくはハガキ職人さんがラジオ制作に関わっていく仕組みにしていきたいんですよ。ブースの中にハガキ職人さんもいて、ギャラをお支払いするみたいなのもちょっとチャレンジしたいなと。

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立川:制作だけでいると盲目というか、本当にこれでいいのかってたまにブレるときもあるんですよね。1番近いコアなファンがハガキ職人だとしたら、彼らが制作に関わるのもいいかもしれません。

恩田:どんな風になるかはわからないですけど、そういう世界がくるんじゃないかと思います。

坂本:営業時代もお笑いに関わることを扱っていたんですか?

恩田:いや、全然ですね。ネットの広告の営業で、シンプルにラジオのリスナーでした。メールは送ってないんですよ。リスナーでいたいっていう思いもあるんですよね。

立川:わかりますよ。送ったら送ったで「なんで読まねえんだよ」って目線で聴いちゃって純粋に楽しめなくなるというか(笑)ライブもよく行くんですか?

恩田:最近行けてないですね。オードリーの武道館以来行ってないです。

立川:芸人で武道館埋めるってすごいですよね。

恩田:あれは衝撃的でした。やっぱりラジオすごいなって思ったんですよね。一緒に行った兄貴が隣で泣いてましたし、それくらい感動したんだと思います。芸人さんとラジオというところで、それこそNetflixとかYouTubeとか外資系企業が強いところに一矢報えないかなという思いもあります。

坂本:では最後に直近で考えてる番組や企画があれば教えてください。

恩田:吉本のしょうへいさんというラジオが大好きな芸人さんともう2人くらい入れて、3人で話してもらおうと今考えてます。ラランドさんのおかげでチャンネル登録者数も1700くらい(※取材時の数 2020年1月27日現在は2050人)増えたんですけど、とはいえまだまだアルピーANN時代のリスナーたちに届いてるかというとそうでもないんですよね。なのでその辺のリスナーさんに刺さるような話をしていきたいです。

扱うのは芸人さんだけじゃないという点では(東京で考え中と)結構一緒で、裏方も含めてラジオ番組ですよってやりたいですねハガキ職人とかリスナーが番組のエンドロールに乗るような世界観にしたいです。


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