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【インサイト探索の意味を体験する】 観光戦略(マイクロツーリズム)のインサイト 3

今回は前号に引き続き、星野リゾートの考えたインサイトと比較しながら、残りの2つのキーインサイトの意味、活用について解説します。

〈星野リゾートが考えるマイクロツーリズムのインサイト〉
・「安心して過ごせる」~遠距離旅行のコロナ感染拡大の不安がない
・地元の魅力を再発見できる
・保養で温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻せる

〈SNSから見つけたインサイト〉
・近場ならではののんびり・贅沢
・美味しい食事が旅行気分にしてくれる
・密でないところでリラックス
・地元観光力再発見の楽しみ

残りの2つは、「近場ならではののんびり・贅沢」と「美味しい食事が旅行気分にしてくれる」です。

近場ならではののんびり・贅沢」のインサイト

このキーインサイトは次のようなインサイト(キーインサイト候補)を引き連れています。

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中心となるのは「近場でのドライブ旅行」です。
近場なので短時間の運転で済み、乗り継ぎなど移動のストレスがない。ある程度土地勘のある地ということもあるかもしれません。
そうすると、着いたところで時間の余裕が生まれます。そこで出来る新しい提案はないでしょうか?

反対に車のない人にとっては「電車で行けるところに限られる」という不満があります。ミレニアル世代は車を持たない人も増え、電車やバスなど公共交通機関との連携や、そもそもが近隣のマイクロツーリズムですから逆に観光地からのお迎えツアーなどもあっても良いかもしれません

ストレス社会から抜け出して」には、コロナ禍で受けたストレスを解消する意味もあるのでしょう、普段行かない少し高い旅館にという欲求が見られます。
「都心に遊びに行く代わり」、「帰省する代わりの家族旅行」などもともと別で消費する予定の代替行為と見ると「ふだんより高額の旅館」の意味が理解できます。

美味しい食事が旅行気分にしてくれる」のインサイト

食事については、上記の〈星野リゾートが考えるマイクロツーリズムのインサイト〉3番目の、保養で温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻せるに「料理を楽しみ」という言葉があります。そしてそれは「料理の楽しみは、温泉や自然散策などの保養とともに活力を取り戻すためのもの」という文脈で読みとることができます。
(星野リゾートの「マイクロツーリズム」「ご近所旅行のススメ」より)

一方、SNSから読み取ったインサイトは以下になります。

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このインサイトには、マイクロツーリズム(「近場 旅行」で検索)ならではの特長が現れています。それは、マイクツーリズムは「旅行気分」が不足しがちで、旅行気分を盛りあげる必要があるということです。コロナ禍での旅行は友人、知人とかではなく家族旅行が主体、それも近隣のマイクロツーリズムではいかに家の日常と切り離すかが課題。「食事」もそれに一役買う必要がありそうです。

インサイト群の最初の「休日に主婦業だけは勘弁」は、家から近い所の旅行で特に浮上する意識でしょう。
また、3番目の「豪華な料理を食べて旦那さんと旅行気分」「バイキングで家族旅行気分」には「旅行気分」の大切さが直接的に現れています。

部屋食がクローズアップされています。他人との接触機会は避けたいという建前の部屋食欲求、豪華で贅沢な旅行気分の象徴としての部屋食という本音の欲求が見られます。
しかし一方で、家族の旅行気分を創ってくれるバイキングの魅力も捨てられていません。当然ながら、密を避けたい気持ちとバイキングの折り合いの工夫が求められます。
部屋食とバイキングの合体という大胆なアイデアが生まれて来ませんか?
いい合体が出来ると、コロナ後、ポストコロナのニュースタンダードに育つかもしれません。

おいしいご当地ごはんを食べたい」は近隣の旅行者としては意外なニーズでもあり、言われてみれば納得できる感じもします。これは、キーインサイト「地元の観光力再発見の楽しみ」とのつながりもある大事にしたいインサイトです。

次号はマイクロツーリズムのインサイトのまとめとして、インサイトの全体像、インサイトとはアイデア発想法なのだという視点から紹介します。
(金、富樫)



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