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薬草の旅 vol.3|月桃が育む石垣島の暮らし

こんにちは、りえです。今回は石垣島からお届けします◎

石垣島には、本州では見かけない独特の植物がいっぱい。
いろんなハーブに出会う中で、私が一番好きだったのが月桃(げっとう)でした。

その独特の華やかな香りと、ショウガ科らしいほんのりピリリとする後味。ムーチー(餅)などの郷土菓子にも欠かせない、沖縄を代表する味の一つではないでしょうか。

美容と健康のために愛用される月桃

月桃はショウガ科ハナミョウガ属の多年草。沖縄の方言では「サンニン」などと呼ばれています。熱帯から亜熱帯に分布し、南九州や沖縄以外にも、小笠原諸島などでも見かけます。

沖縄に自生する月桃は2種類あると言われ、沖縄原産のシマゲットウと、台湾のものと交配したタイリンゲットウがあります。タイリンゲットウの方が大きく早く成長し、油分も多いので、月桃農家さんの中ではタイリンゲットウを栽培する人も多くいます。
お茶にすると、シマゲットウとタイリンゲットウはやっぱり風味が違う。
ぜひ、現地に行かれた際は飲み比べしてみると面白いですよ◎

葉のもつ強い芳香を活かして、肉や魚、餅を包んで蒸したり、精油を抽出したりします。防虫、抗菌作用があるので、食べ物と一緒に使うのは非常に理にかなっていますね。
月桃には、抗酸化作用のあるポリフェノールが赤ワインの約34倍も含まれているとされ、アンチエイジング美容茶としても人気です。

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葉や茎は繊維がしっかりしているため、道具を作ることもできます。紙やヒモを作れたり、籠や座布団を編んだりもできます。皮膚の炎症を抑える効果や、保湿効果があるので化粧水としても人気です。

沖縄に根付く薬草の暮らし

沖縄では、なぜこんなに民間医療が発達し、色濃く残っているのか? この大小さまざまな島々から成る地形が、そういう状況を作ったのです。

小さな離島には、医師や大きな病院がなかなか常駐・常設できません。そこで、たまに海を渡って来た医師が、薬草の使い方や、いざという時にするべき対処を言い伝え、人々は生活の中で実践し、習得していきました。家族や町の大人たちから口伝えで教わった薬草の使い方を、子どもたちは世代を超えて学んでいきます。

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身近な植物は、手に入りやすく、いろんな無駄が省ける。「命草(ぬちぐすい)」の智慧から、学ぶことは多いです。

是非みなさんも、石垣島をはじめ、沖縄の文化に触れてみてくださいね。

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それから……石垣島の市場では、鮮やかなトロピカルフルーツにも出会えます。ちょうどこの時は、卵黄の味がすると人気のカニステルが! カスタードクリームみたいな味で、まったり甘くて美味しいです。

次回の薬草の旅は北海道です、どうぞお楽しみに!

※この記事は2014年のリサーチをリライトしています。

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新田 理恵 (Lyie Nitta)
TABEL株式会社の代表/薬草使。
管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。日本各地のローカルや海外の伝統ハーブの使い方をめぐり、伝統茶{tabel}(タベル)を立ち上げる。
薬草大学NORMや、オンラインコミュニティの薬草のある暮らしラボなども手掛ける。著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。

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