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『薫大将と匂の宮』~歴史ミステリの誘い~

Hello world,はーぼです。

歴史ミステリには大きく分けると2つの種類があると思います。

ひとつは歴史そのものの謎や大胆な仮説を独自の解釈で解き明かすものです。
例えば、邪馬台国はどこにあったか?明智光秀が本能寺の変を起こした理由はなにか?源義経は平泉で討ち取られず海を渡ってジンギスカンになったのでは?などといったものです。

もうひとつは、歴史上の有名・無名・架空の人物を主人公に過去の時代を舞台に起きる事件の謎を解くといった、舞台を現代ではなく過去に設定したミステリです。

このうち、後者の歴史上の有名・無名・架空の人物を主人公にした歴史ミステリは、日本では一体いつから書かれるようになったのでしょうか。
(捕物帳を除く)

特に調べたわけではないのですが、1950年(昭和25年)に書かれた『薫大将と匂の宮』著:岡田 鯱彦は比較的、最初の作品ではないかと思っています。(同じ年に坂口安吾が『明治開化 安吾捕物帖』を書いています)

この『薫大将と匂の宮』はちょっと特異な歴史ミステリです。

探偵役を務めるのは紫式部。そのライバル的存在が清少納言。という設定も斬新ですが、舞台設定がさらにすごく、源氏物語の「宇治十帖」の話のもとになった世界が物語の舞台となっています。

つまり、歴史上の平安時代が舞台というよりも、「宇治十帖」に出てくる薫君や匂宮といった人たちがさも実在の人物のように出てくるという趣向なんですね。(なんかちょっとややこしいですが)

ボクはこのミステリーを文庫本で学生時代に読んだのですが、驚くほど内容を覚えていません(清少納言が最後は悲惨な目にあっていたという部分だけは覚えてますが)。

記憶にないということは、本格ミステリとしてみた場合、さほど強烈な読後感を持たなかったということでしょう。

とはいえ、平安時代を舞台に紫式部を名探偵にして推理小説を書くという野心的試みは、その後の多くの歴史ミステリへの道を開いた作品といえると思います。

また機会があれば再読してみたいのですが、なぜか電子書籍化されてないんですよね。

ではでは。最後までお読みいただきありがとうございます。

See you next time,はーぼでした。

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