inter FM897が死んだ日...
『これをinter FMから聴きたくないというのが最初の感想でした』
ラジオを好きな人はたくさんいると思います。新しい音楽に出会える、好きなDJがいる、お気に入りのアーティストや芸人の番組を聴ける等々、色んな理由でラジオを好きですよね。何のラジオ局が好きですか?TBS? ニッポン放送?J-WAVE? NACK5?...
私は良質な・かっこいい音楽がたくさん流れるinter FMが好きです。しかし、11月1日以降の改編に伴い、聞く時間が減りそうです。何があったのか、そしてこの悲しい思いを雑に書きたいと思います。
そもそもinterFMとは何だ?
inter FMを知らない方のために一応説明します。
1995年に阪神淡路大震災の際に、在日の外国語圏の人々に地震情報が行き届かなかった反省から、有事の際に外国語放送を行うことを条件に周波数が割り当てられて、1996年に誕生したラジオ局です。現在の周波数は89.7ですが、開局当初から2015年までの周波数は76.1でした。
inter FMの特徴
「The Real Music Station」(本物の、音楽専門局)のキャッチフレーズのもと、洋楽を中心に、さまざまなジャンルからバラエティーにとんだ音楽を選曲。その選曲は、DJ本人、もしくは番組のチームが一丸となって担当し、それぞれ特徴のある音楽番組を早朝から深夜まで放送しています。(ホームページより)
他のラジオ局に比べて、お喋りよりも音楽の比重が高いのです。平日の真っ昼間にオルタナティブロックが流れるのはinter FMくらいでした...
ターゲット層
これは偏見になるのですが、良質な音楽を聴きたい、喋りより音楽をかけろ、AM化したFM局なんて聞いてられない...と思っているような人たちが好んで聴いていると思います。
経営状況
inter FMは、ニフコ及びジャパンタイムズが経営母体として1996年に開局しました。当初のキャッチコピーは「Tokyo's No.1 Music Station」で、音楽中心の放送局としてスタートしましたが、聴取率は万年最下位であり、バブル崩壊後の不況時に開局したこともあり、売り上げが伸びませんでした。
↓ 開局当初の様子。放送は全部英語だったようです。タモリ倶楽部で取り上げられていました。
↓ 開局当初の番組表 (Twitterより)
その後、不況の影響が続き経営が好転しないので、ニフコ及びジャパンタイムズは経営から撤退し、2009年にテレビ東京の完全子会社になりました。
↓ テレビ東京時代のinter FM
その後、テレビ東京はテレビ放送事業に特化するために経営から撤退し、2013年に木下グループの完全子会社となりました。『文化の創造』の一環として、良質な音楽を提供していくために経営に参画することにしたみたいです。
↓ 2014年の番組表
今は亡き番組がたくさん... Dave Fromm Showだけ生き残ってます。
JFN(ジャパンエフエムネットワーク)の完全子会社化へ
今年の3月にinter FMの看板番組と言って過言ではない、「Ready Steady George!!」(以下:RSG)が突如として終了しました。本当に事件であり、本当に悲しかったです。平日の真っ昼間にパンクやオルタナティブロックが流れるのはこの番組・inter FMだけでしたし、ここで知ったバンドもたくさんいます。何よりジョージとシャウラの掛け合いが本当に良かったんですよね。
4月以降、RSGの枠であった13時から16時までノンストップで音楽が流れる編成になったのです。先程、経営状況で説明しましたが、中々好転していかない状況で少しでも経費を削減しようとした結果、帯番組のRSGが終わることになったのかもしれません。
そして、9月1日にJFN(ジャパンエフエムネットワーク)による完全子会社化が突如として発表されたのです。
この時は、そもそもJFNがどのようなものか分からなかったので、コトの重大さに気づきませんでした。今では、分かります...
JFN(ジャパンエフエムネットワーク)とは?
ラジオ番組の制作会社で、Tokyo FMを中心に全国38のFM局が加盟して、Tokyo FMの入居する半蔵門のスタジオで制作された番組が全国で放送されていますが、東京・埼玉・神奈川などでは放送されていなかったのです。
興味ない方もいらっしゃると思いますが、一応説明すると、Tokyo FM制作の番組をAラインと呼び、JFN制作の番組をBラインと呼びます。Aラインの有名な番組は、School of Lock!やジョージがDJを務める全農 Countdown Japanなどがあります。Bラインは11月1日からinter FMで流れる番組です。地方のFM局でこのBラインが放送されています。ちなみに、Tokyo FMではJFNの番組は流れていません。
inter FMのリスナーからしたら、関わることない存在でしたが...
inter FMのJFN化
今回のinter FM完全子会社化により、Bラインの番組が放送されることによって東京エリアでも聴取可能になりました。つまりは、第二Tokyo Fmみたいになってしまったのです。
今のところ、平日の13時から17時までと日曜の8時から10時半までBラインの番組が放送されることになりました。
↓ 月曜日から木曜日
↓ 金曜日
↓ 日曜日
これらがinter FMから流れてくる違和感。本当に地方のラジオ局って感じですよね。
radikoの有料会員増加から考えるラジオの多様性
コロナ禍の影響で在宅勤務が増えたこともあり、radikoのユーザー数が増加しています。
『月間ユニークユーザー数は2018年に700万人だったのが、2020年3月には在宅勤務の影響もあり880万人にまで増加。日本国内でエリア制限なく全国のラジオを聴ける月額350円の「radiko プレミアム会員」も、2016年8月時点で約30万人だったのが、2020年3月には70万人に到達した』
とりわけ注目したいのが、有料会員の増加です。エリア制限なく全国のラジオ局を聴ける有料会員は、地方などの似たような番組が放送されているエリアの人々には素晴らしい機能だと思います。独立局はそのような人たちにとって魅力的ですし、inter FMのように音楽の比重が高い番組の需要もあったと思います。CMが少なく、1曲が完全に流れるラジオ局は希少です。radikoを通して全国にinter FMのファンを作ることも可能なはずです。inter FMからBラインが放送されることは、日本のラジオ局における多様性がひとつ無くなったと考えます。
まとめ
11月2日の13時30分から平日のBライン放送が始まったのですが、違和感がすごかったです。これをinter FMから聴きたくなったというのが、まず最初の感想でした。これを聞くのだったら、J-WAVEを聴いた方がいいのではとも思いました。Twitterで #interFM897 で検索すると、私と同じような考え方を持った人がたくさんいましたし、多くの人が悲しんでましたし、怒っていました。そして、17時からのDave Fromm Showを聴いて安心した方も多いと思います。
タイトルの 「inter FMが死んだ日」と過激なものにしましたが、inter FM独自の番組が全て無くなった訳ではありません。朝のGPSや夕方のDFSや土曜のハワイの番組等々多く残っています。しかし、平日の昼間のタイムラインを見ると死んだと言っても過言ではないでしょう。キャッチフレーズの「The Real Music Station」を掲げるのはふさわしいのか、疑問に思います。看板DJだったジョージがinter FMから去ったということも象徴的な出来事でした。外国語放送という特殊な放送局ということもあり、経営状況が中々安定せず、経営母体や番組編成が変わってきました。今回の変化、JFNによる完全子会社化は今まで以上の衝撃があると思いますし、今後inter FM独自の番組がさらに減っていくのではないかという危惧があります。本当にただ悲しいです。1番悔しいのは、inter FMの社員ではないのかなと思ったりしますが...
いろいろと書きましたが、リスナーはinter FMにお金を払って聴いてる訳ではありませんし、株主でもありませんから、ごちゃごちゃ騒いでも何も変わらないのです。ただ、受け入れるしかないのです。嫌なら聴かない。これに尽きます。
[おまけ] ラジオ難民は何を聴けばいいのか
在宅ワークなどでinter FMを聴いていた人も多いと思います。今回の変化によって平日の午後、ラジオ難民になる方がいますね。そのような人は何を聴いたらいいのかを考えたいと思います。
① AFN(American Forces NetWork、米軍放送網)
日本では存在しないことになっているラジオ局です。関東ではAM 810で聴くことができます。日本いるアメリカ軍人とその家族向けの放送局なのですが、放送している内容は、基本的に音楽が流れています。最新のアメリカのヒット曲や往年の名曲がランダムで流れてます。Top40とアダルトコンテンポラリーのミックスっていう感じですかね。毎時0分から3分間、ニュースが放送されます。生の英語なので、英語学習している方にはぴったりかと思いますし、少しでも海外の雰囲気を味わいたい方にはぴったりです。ちなみに、関東以外では青森県・山口県・長崎県・沖縄県で聴くことが出来て、ネットでも聴取可能です。
② インターネットラジオ
このアプリを使って世界各国のラジオを聞くことができます。有料版もありますが、無料で使うことができます。日本のコミュニティFMから世界各国のラジオ局があります。ジャンルも多岐に渡り、オルタナティブ・メタル・ラテン・Top40・アダルトコンテンポラリー・ジャズ・カントリー・ヒップホップなどなどたくさんあります。
数が多すぎて選べないとなってしまいますが、個人的なオススメはNASAが運営しているThird Rock Radioです。オルタナティブロックのラジオ局になります。
【引用】
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