鬱が水商売を始めるにあたって

社会からはぐれた女の子の行き先の一つとして水商売がある。これに関しては前の記事で書いた。そこで今回は必要なものを具体的に示していこうかと思う。


まず最初、体入という期間がある。体験入店、というもので、お店に慣れてもらうことが目的だ。期間は長くて1ヶ月ほど、大抵は2週間くらいで、その間は時給がいい。
ここの時給は普段の時給と比べて良いことがほとんどだ。だからここで辞めてしまう人も多い。それを繰り返すことを、体入荒らしという。一見堅実に思える方法だろう。時給はいいし、その期間頑張ればそれに見合っただけの給料が入る。おまけに新人なので呼べだののプレッシャーがない。
だがひとつ、伝えなくてはならないことがある。

同じ界隈で体入荒らしをするのはやめろ

ということだ。
なぜなら水商売の横の繋がりは想像よりもはるかに広い。別のグループだからいいだろう、と思っていて同じ場所(特に横浜や八王子などと言った超大都市ではないところ)でやっていると、100%バレる。
これはなぜかというと、キャバクラに来る客は一店舗に絞っている、という人間はせいぜい半分くらいだ。もう半分は他のグループの店舗にも足を運ぶ。なので必然的にバレる。そうしてまたこちらの店に来たときに、「あの子、○○グループにいるよ」と言われるのだ。
言われるだけならまだマシだが、話には大抵尾鰭が付くので「ここの店の客を引っ張っているらしい」とかまで言われかねない。
なので店が合わなかった、条件が合わなかったなどの理由がなければ、体入を何度も繰り返すのはやめたほうが堅実だ。


そして実際この店で働こうとなったときに必要なものを書いていく。身分証やらは確実として、

消耗品と思える値段のドレス、靴、バッグ

これが必要になる。
ドレスは店で貸し出してくれるところも多いが、種類が少なかったりサイズが合わない、デザインが好みではないなどがあるので大体1900〜2900円程度のものを買えばいい。どうせ汚れるし、(店のランクにもよるが)体臭に気を使わない客もいるせいで洗う頻度が増え、脆くなる。それならドレスは消耗品と割り切って、激安通販かメルカリで買えばいいと思う。
ただしストレッチ素材のドレスの方が楽なので、それを選ぶべきだ。なぜなら同伴で飯をたらふく食わされたりすると、座っているだけで苦しくなる。個人的におすすめなのは、下っ腹のところにフリルがついていて下はタイトスカート、となっているデザインのものだ。

靴も同じように消耗品として考えた方がいい。ヒールのところや爪先が剥がれてきてしまうので高いものを買う必要はない。半年持てばいい方くらいに考えておくべき。
あと個人的に必須だと思ったのは中敷だ。ストッキングや裸足で履いていると、どうしても臭いが気になる。それで靴の消耗が早くなるのはもったいないので、消臭作用のある中敷やスプレーを装備しておくのがいい。

バッグ、これに関しては店によってこれは良くてこれはダメというのがあるから一概には言えない。私の働いている店舗は基本的なTPOを弁えているものなら大丈夫なので、サンキューマートとかで買った小さくてシンプルなショルダーバッグを使っている。GUやユニクロも(店舗で使えるなら)オススメだ。これも消耗品になってくるので、わざわざ高いものを使う必要はない。
もしそういったラフな感じのがダメな店なら、パーティ用のポーチなどを使うのがいいと思う。個人的にはショルダーが移動の時に楽なのでいいと思う。あくまで個人的な感想だが。大丈夫、安いのを使っていても、バレない。


そして最後に、私たちに一番必要になってくるものがある。

無理して働きすぎないこと

極論、この精神だけ持っておけばまだ何とかなる感がある。この日出勤が足りないから出てほしい、と頼まれても断る勇気を持つことだ。
実際、出勤をしまくれば時給分は出るし顔も覚えてもらえるようになる。だがそれでただでさえ脆い精神が完全に壊れてしまったら元も子もない。そもそも、社会でフルタイム労働ができないことが前提の私たちである。そんな人間が週7出勤をしたら、確実に壊れるに決まっている。しかも相手が機械ならまだしも、人間で、機嫌を取らなくてはならない「お客様」なのである。精神の磨耗は半端ない。
実際私は断れずに働き続けて離人を起こしている。それなら初めから嘘でも昼間も働いている設定を作っておけばいいのだ。そうすれば、昼間の仕事が忙しいという理由をつけて出勤日数を減らすことが可能になる。ただし、精神を病んでいることを店に伝える場合は生活のために〜とか、奨学金が〜とかの理由付けが必要になってくるので注意した方がいい。何で病んでるのに昼間も働くんだよ…と思われたら嫌なので。

余談にはなるが、昼間働いていることにするメリットは、早い時間からの同伴を断ることができる。○○時が定時なの〜と言えばそれ以前から会うことをしなくて済む。しかし昼間働いていることにするデメリットは、土日に誘われやすくなるのでほどほどに使うべき。


私たちは社会に迎合できないながらも、なんとか世界にすがりついて生きている。実際私がそうだ。精神を病んだ水商売の女の子なんて何人も見ている。そして、この仕事を始めてから病んでしまった女の子も。
だからせめて、ほんの少しの先人として、これだけは伝えておきたかった。こうした方がまだ楽に立ち回れるよ、ということを伝えておきたかったのだ。
これを読んでああこうすればいいんだな、と思ってくれる女の子がひとりでもいたならば、それはとても嬉しいことだ。やっぱり水商売はおすすめしないけど。


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