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プログラミングの時間を確保するための簡単なこと。 - TeamGeekを読んだ

メンターさんに推してもらったTeamGeekという本を読んだ。
チームづくりにおいて大事な要素だと言われる『HRT(謙虚・尊敬・信頼)』についての本で、これを実践するだけでコミュニケーションがスムーズになり、プログラミングの時間がたっぷり確保できるようになるという話。
新卒エンジニアにリーダブルコードとあわせて贈りたいくらい、エンジニアにおけるコミュニケーションの基本のキが詰まった厚くない本である。


HRT(謙虚・尊敬・信頼)はあらゆる社会的活動の基礎である

ほぼすべての社会問題はこの3つのいずれかが欠けているために生じていることがわかる。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか P.181

昔の航空事故では『機長と副操縦士・機関士の間の謙虚・尊敬・信頼の不足』から発生してたものが結構ある。その後、クルーリソースマネジメントが重視されるようになってからはぐっと減ってる印象がするが、どこの業界でもそういうことに起因する事故は起きてきたんじゃないと思う。

HRTを仕事で使い続ければ、少しの努力で大きな効果を得られる。社会的な衝突・官僚制・人間ドラマに時間をかけずに、好きなこと(ソフトウェアを届けること)に時間をかけるには、これが最高のやり方だと思う。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか P.182

確かに、今まで見てきた会社におけるドラマはHRTのどれかが欠けていた。HRTを実践するだけで心労がめちゃ増えるドラマが減るなら安いもんではなかろうか。

チームにおいて、謙虚と尊敬と信頼は三位一体である

本書の中で個人的に1番好きな挿絵が、天才プログラマの神話の最後の章の、『スーパーマンっぽい人が推定6歳くらいの女の子に「わからないな、君はどう思う?」と問いかける絵』である。

こんなかんじの挿絵。

この絵、なるほどかっこよくて、『スーパーマンっぽいいかにも能力がありそうな人』が『推定6歳くらいの女の子に意見を聞く』というのは、スーパーマンの謙虚さの表れでもあり、スーパーマンから女の子への信頼と尊敬の表れでもある。
推定6歳くらい女の子の外見でも、みくびらずに、信頼し、尊敬する。そもそも、それ自体が謙虚でないととできないことだ。謙虚・尊敬・信頼と3つあるように見えて、実は『1つを達成すれば、他もわりと達成できる』結構カンタンメソッドなのだ。これでソフトウェア開発に時間を使えるようになるなら、やらない理由がない。

ちなみに、この挿絵の左の文章なこんな感じ。HRTって3つあるように見えるが、ベン図でいうとかなり重なる部分が大きいやつなんだと思う。

間違いや能力不足を認めることは、長期的に立場を向上させるのである。そこにはHRTのすべてが含まれている。それは、謙虚を見せることである。それは、説明と責任を果たすことである。それは、他人の意見を信頼することである。そして、その正直さと強さによって、みんなが尊敬してくれる。ときには「わからない」と言うことが大切なのだ。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか P.26
きっとこういうベン図

200ページ足らずの厚くない本だけど、ぎゅぎゅっとエッセンスの詰まった明日から実践・改善していけることに溢れた本。新卒エンジニアに贈りたい一冊でもあるし、何年目エンジニアだとしても1度は読んで欲しい一冊である。

Team Geekというタイトルだが、チームづくりの話ばかりというわけでもなく、最後の方には『組織をうまく動かす』であったり『ユーザに使われるプロダクトを作るには』という話もある。特に5章の組織をうまく動かす話は、上手に活用すればかなり楽になれると思う。組織にお悩みの方も、ぜひ。

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