アメリカでのR&B/ヒップホップの状況が、やはりちょっと気がかりだ!
どうも。
今週も音楽ネタです。
ひとつはちょっと前から気になってたことなんですけど、ここ最近、ちょっとガタガタッ!と来たなと思ったので、やろうかなと思った話です。
それはR&B/ヒップホップのアメリカでの陰りっぷり
これが少し前からすごく気になってます。
僕、実はこの懸念に対しては2022年には既に言及してまして
2022年の9月に「以前ほど売れなくなってKpopやレゲトンに押されはじめている」という話を書きました。この当時は、もうエモ・ラップのブームが完全に終わってて、「アメリカでしか当たらないスター」が目立ちはじめた時期だったんですよね。
それが一年後、どうなったかというと
僕が書いたこのツイートが2023年11月。この時点でアメリカのヒップホップのセールスは前年比で27%ダウン。一番良かった2018年と比べて62%も下がってた、という話でした。
去年はヒップホップのセールスが下がったと至るところで言われてはいまして
2023年はですね、ビルボードHot100、つまり総合シングルチャートにおいて過去23年ではじめてヒップホップの曲が1位をとらなかったんですよ!これも驚きでしたけどね。
で、この状況を踏まえて、今年はアメリカの業界、もう少しR&B/ヒップホップ、力入れてくるかと思ったんですよ。で、実際、入れてたんですよ。
このセールス不振に関して「大物リリースが少なめだったからだ」と主張する人は実際にいたし、今年は、というか去年の終わりの方からドレイク、ニッキー・ミナージュとあって、21 Savage、カニエ、メトロ・ブーミン&フューチャー、ビヨンセと大物リリース続きましたからね。そこに加えて、春先にはケンドリック・ラマーとドレイクによるビーフもあった。このビーフに関しては、僕はこれ、「商業的なてこ入れのだめ押しだろう」くらいに見てました。正直、こんなことするよりはケンドリックにガザ地区のことをどう思っているのか、気持ちをラップで表して欲しかったんですけどね。
これだけやってりゃ、普通、チャートはヒップホップで独占されていてもおかしくなかった・・・はずだったんです
が!
これを受けた後、現状がどうなっているか、語ってみますね。
SpotifyUSAの最新のデイリー・チャート、8月20日付で、上位50曲の中で、R&B/Hip Hopに該当する曲、何曲あるか知ってます?答えはですね
たったの5曲です!!
ちょっとねえ。これですね、今、ポスト・マローンのカントリー・アルバムからの曲が10曲入ってるから、そういう特別な環境ゆえにちょっと減ってるところもあるんですけど、仮にこういう、チャート独占する強いアルバムがない週でも、最近のR&B/ヒップホップ、50曲中、10曲切ってる状態が、もう2ヶ月くらい続いてたんですよ。
これもちょっと前から気がついていて、「やべーじゃん」と思ってたんですね。
そしたら、もう一つ驚くことに気がつきまして。それは
最新のビルボードのアルバム・チャートでR&B/Hip Hopがトップ10に1枚もない!
これが僕は衝撃でしたね。上に書かれた「23年で初めてヒップホップによる1位の曲がなかった」より、こっちの方が驚きましたね。
だって、ほんの数年前まで、ビルボードのアルバム・チャートのトップ10って言ったら、ヒップホップだけで半分くらい埋まるのが当たり前でしたからね。それが0枚ですよ、今。
しかも、今週だけが異例の事態じゃなかったんですよね。調べたら、6月の3週目のチャートですでに1回これが起こってて、7月はエミネムのアルバムが出たりした関係でそれはなくなってましたけど、それでもトップ10で0枚の週が何週か出てる状態で。
で、それを裏付けるのがですね
この一月ほど、ヒットしそうな作品だったらリリースされてたのに、これがことごとくトップ10入りを逃していたんです!
まず
2018年に一世を風靡しましたね、「This Is America」のチャイルディッシュ・ガンビーノ。元々彼は俳優、脚本家ドナルド・グローヴァーでもあるから音楽そこまで力入れているかといえば元からわからないところはあったとはいえ、それでも音楽ファンの評価と期待は高かったんですよね。
その彼がアルバム出しまして、これが16位に終わりまして、4週と持たずに200位圏外に去ってます。
ただ、僕としては最大の衝撃は
アイス・スパイスなんですよね〜。
だって彼女、去年ですよ。
こんなでかいヒットが2曲も、しかも1曲はバービー絡みだったんですよ。業界としては当然、「今年最大の一押し」で考えておかしくないポジションなわけじゃないですか。
それが
このデビュー・アルバム、蓋を開けたら初登場18位。しかもこれも、もう200位圏外です。
これは衝撃でしたね。こんなにわかりやすくスターな感じだったのに、まさかの大外し。通常だったら今頃、アルバムずっとトップ10入って、シングルだってトップ争いかなんかしてましたよ。これがこんなに大きくコケるとは。
そしたら、これが連鎖反応になりまして
ビリー・アイリッシュがアルバム・デビュー前にデュエットしたことでも有名なカリード。この動画、2018年ですけど、この時はビリーが駆け出しでカリード、スーパースターですよ。チャートに2、3年入るビッグヒットをアルバムで持ってて、この翌年に出たセカンド・アルバム、1位になってます。
なのに先々週出たばかりの最新作、43位ですよ!いくら5年ブランクがあったからって、若いアーティストが1位から43位ですよ!
そして、これは今週のチャートなんですけど、去年、BTSのジョングクのソロ・シングルの「Seven」、これのフィーチャリング・ラッパーだったLatto。彼女、この前にはグラミーの新人賞にもノミネートされてて、期待値高かったはずなのに、それでも初登場15位。アイス・スパイスとどっこいどっこいで終わってます。
さらに
さらに、3年前にシングル「Rapstar」のヒットでアルバムがアメリカで1位、イギリスで3位だったポロGの新作、アメリカで28位、イギリスで100位圏外です。
・・これはねえ〜。どうしたんでしょうね。ここまで、ちょっと前まで売れっ子、もしくはネクストブレーカー筆頭みたいな人たちがここまで立て続けにセールス、コケるというのは。
それで今となっては、ポスト・マローンがカントリーに、転向って言っちゃっていいんじゃないかな。そして今年、ちょっとこの先も新作、見えないですからね。
今、期待できるのといえば、どちらかというと
インドのHanumakindだったり、アイルランドのジョーダン・アドゥテンデ、ナイジェリアのアシャケといった、国外のR&B/Hip Hopに積極的に門戸開いていい時期なのではないかと思うんですよね。実際に、ストリーミングがそれを証明してます。上の2つはアメリカでもトップ50入ってるんだし、アシャケもアルバムで200位に入ってますからね。こういう、国外からの血を入れてシーンを活性化させる努力とかをそろそろやった方がいいと思うんですけどね。
そうしないとこれ、来年もキツイ気がするんですよね。トラップ人気をあまりに引っ張りすぎて飽きられたのがこれ、落ち込みの原因の一つだと思っていますけど、それに代わるビートの台頭も遅れてますしね。それが見えれば、一気に巻き返すことも可能だと思うんですけど、そうでもない限りは状況は難しいと思います。