そろそろR&Bに再定義が必要だと思う
どうも。
これ、ちょっと前から貯めてた話なんですけど、今回行くことにします。
先日、とあることを知って驚いたんですね。ビルボードにR&Bアルバム・チャートというのが、あるのですが、それの10月のある週のチャートで上位4枚がこれらの作品で独占されたと聞いて驚いたんですね。
1位から4位がフランク・オーシャンとSZAだけで埋まりました。
えっ!
それって、一番新しいものでも2022年末のリリースなんですけど!
いちばん古いものだと2012年リリースです。このほかにもウィーケンドの「Starboy」、 これも2016年のリリースですけど、新作アルバムが入るものとして、全く機能していないんです!
これ見て、愕然としましたね。R&Bって言ったら、ひところは世界のヒットチャートにおける花形の人気ジャンルですよ。それが、こんなにも新作が売れない、たまにある少ないヒットだけを頼りにするジャンルになるなんて。90sとか00sを覚えている身からしたら衝撃ですよ。
確かにここ数年、グラミーのR&Bのノミネート見ても「誰、それ?」と思うことは多かったんですよね。何年か一度、たま〜に話題になる程度で。去年のヴィクトリア・モネとかジャズミン・サリヴァンとかジュネ・アイコとかいますけど、彼女たちにしたって大きなシングル・ヒットを出すわけではない、どちらかというとジャンル愛好家に好まれる渋いタイプですよね。
なんか、フランク・オーシャン、ビヨンセ、SZA、ウィーケンド、いくら白人だからっってアリアナ・グランデも多分含まれているとは思うんですけど、こういう人たちが出ない限りは盛り上がらないジャンルになってしまっている気がします。
こうなってしまっている最大の要因は、アメリカの業界があまりにもヒップホップ偏重になりすぎてしまっているからだと思うんですよね。力がこちらに注がれすぎ。そうすることによって、黒人社会の中で育まれ、圧倒的な実力があるはずのヴォーカルやダンス、楽器生演奏などのカルチャーがおざなりにされてしまっている。僕はすごく、それを思うんですよね。
で、その結果、何が生じたかというと
ぼくが4年前に書いたこのコラムの通りですね。もし、アメリカで黒人のR&Bシンガーが強い状況が続いていたとしたら、Kポップは今のようには絶対成功していなかった。KポップとはR&Bの代替ジャンルとしてアメリカで補完される形で流行った。これが僕の前からの持論です。
今だってまさに
今、BLACKPINKのうちの3人のソロ、グローバルな規模ですごく売れてますよね。彼女たち見てると、90年代にTLCとかデスチャとかアリーヤがやってたことを今やってる感じがしますもん。音楽が、ってだけじゃなくて、ティーンとかそれ以下の年齢の女の子たちにとってのロールモデル的な役割としてですね。
こういうことをやらなくなったんですよね、アメリカのR&Bって。ここまで女性の話ばかりしてますけど、男性なんてもっといないというか。ここもまあ、Kポップのボーイバンドに取られてますよね。
あとKポップだけじゃなくて
あと、Kポップだけじゃないですよ。南アフリカとかナイジェリアのアフロビーツ。この勢いも否定できるものではないですよね。これなんかは、アフリカのものと思わずに普通にR&Bとして聞いてる人も多いはずですよ。パッと見で「アフリカ黒人だ」と見かけで判断する人もそうはいないと思うし。
だから思うんですけど
R&Bチャート、韓国人とアフリカ人にも開放すれば?
そう思わずにはいられないんですよ。
なんか、ヒップホップにしてもそうなんですけど、アメリカのR&Bの業界、自国の黒人を保護しようとしすぎなんですよね。そんなことやったところで音楽のグローバル化は止まらないんだし、他の国で発展したR&Bの方がアメリカのそれを上回る可能性だって十分にある時代です。それを認めてからこそもっと発展するものだと思うんですけどね。
もっといえば、これだってそうですよ。
このテディ・スウィムズにしても、アメリカの白人ですけど、やってること、古典的なソウル・ミュージック以外の何物でもないわけで。
だいたいですね
2010年前後の時代に、この辺りが出た時に彼らをR&Bとしてしっかりつかんでおくべきだったんですよ。間違いなくソウル・ミュージックなわけだし、ジャンル越えてみんな大物でしょ?この辺りをジャンルの顔にできなかったことに、今現在のアメリカのR&B業界の致命的な失敗があると僕は思ってます。80sのあたりからのアメリカのR&B流儀にあまりにこだわりすぎて、自らイメージを狭めすぎてしまった印象は否めません。
もっとも、その「アメリカのギョーカイが愛でてきたR&B」が聴かれてないわけじゃないとも思ってます。こういう形で。
このテイト・マクレーなんて、ミレニアムR&B以外の何物でもないんですから。今って若い女の女がポップ・ロックの方に流れていってるから、昔ながらのダンス・ポップにこだわる彼女って需要もあると思うんですよね。
先週アルバムが出たばかりですけど、FLO、良かったですね。それこそ「Kポップにやること取られた」印象のあったガールズ・グループの印象だったんですけど、Kポップがどうしても出せない、ちょっとブルージーでソウルフルなアレンジとか、ハーモニー、個々のヴォーカルのうまさ。これは決して代替の利かない黒人っぽさがあって、「ああ、これはKポップに対しての黒人側からの良いアンサーだな」と思ってすごく我が意を得たりな感じでした。で、彼女たちにしてもイギリスなんですよね。ほんと、アメリカ、何やってんだ、あんたのとこからこういうの育ってないとおかしいだろ、て感じなんですけどね。
こういう風にして、構造チェンジを図っていかないものかと思うんですけどね。