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サポーターの「言葉」をまとめてみるとおもしろい解釈ができる


京都サンガで勤務していたとき、
(特に2014~2016年あたり)

サポーター400人
対面でインタビューをしたことがありました。

インタビューをして、
文章にまとめて

毎日休まず800日ぐらい、
メルマガで配信し続けました。

いろんなことがありました。

楽しくおしゃべりができたと思えば、
めちゃくちゃ怒られたり
(なんで勝てへんねん!とか)

悔しくて泣いたりもしたのですが、
まぁいい思い出。

で、メルマガの原稿が残っていたので、
KH Coderというツールを使って、

サポーターが使っている言葉を
多い順に並べてみました。

1.選手(2,242)
2.サポーター(2,005)
3.試合(1,247)
4.応援(1,243)

5.ファン(1,112)
6.思い(910)
7.サッカー(793)
8.一緒(725)
9.クラブ(714)

※10位以下省略、カッコ内は使用数
(「サンガ」「京都」は対象外としました)


■サポーターの言葉を注意深く見てみると、

「クラブ」という言葉より、
「選手」「サポーター」「試合」「応援」が先

に並んでいることがわかります。

これはどういうことを示唆
しているのでしょうか?


400人と接して、

アウェイゲームでは一緒に
声を出して飛び跳ねて応援するなど、

サポーターとは割と身近にいて

意見だけじゃなくて「感情」も共有
した(と自負している)僕が考えたのは、

サポーター文化

という独自の文化圏が
形成されているのでは?

という勝手な推察。


すごくコアで、
そんなに大きな文化圏ではないけど、

精神的な結束が強くて
(ときにケンカもあるけど)

サポーター文化

という枠組みで展開される
サポーター同士のコミュニケーションが

彼らにとって大切な「価値


■ちなみにサンガの理念はこちら。

サンガに関係する全ての人々と夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する。京都サンガF.C.は、地域に根ざしたプロサッカークラブとして、常に全力を出しきること、最後まで諦めない強い心で戦い抜くことで、 応援いただいている人々と感動を共有し、夢や希望を与え続け、地域の誇りとなるチームを目指します。また、サッカーを通じて地域貢献活動を積極的に行うことで、青少年の健全な育成に寄与するとともに、サンガの活動が仲間意識の拡大や 楽しく健全なコミュニティーの形成につながり、地域との連携・連帯を深めることで地元経済・社会の活性化に貢献します。

お気づきの通り、

「サポーター」

という言葉は皆無。

昨日紹介した
イングランドサッカークラブの

Charter

とは似て非なるもの、
ですね。

クラブからの「メッセージ」に
「サポーター」という言葉がない
(クラブがサポーターを向いていない)

という事実。

これが

サポーター文化

の形成につながった(そして強化した)
と思ったりもしています。

(※あくまでも個人的で勝手な解釈)


たとえていうなら、

自分たちに関心をもってくれない
親に対して、

ちょっとすねてしまった
子どもたちが

親から距離を置いて
友だちと好きなように遊んでいる

といった感じでしょうか?


クラブに忠誠
を誓っていないわけではないけど、

あまり近づき過ぎない。

一方クラブも

サポーターとは一定の距離を保ち、
どこかよそよそしさもあったり、します。


■5年前

の話なので
ちょっとデータとしては古いのですが、

サンプル数的には
十分(400)であり、

サポーターと直に接してくみ取った
彼らの言葉にウソ偽りはなく、

サポーターがクラブより、
サポーター文化」に関心を寄せているという

一定の解釈はできそうです。
(肌感でもそんな感じ)

そしてそれは、

クラブのサポーターに対する
「寄り添い方」が影響しているということ。


■クラブの成績次第では、

「サポーターをやめる」

という気持ちが出てきそうなものです。

一生懸命応援して、
それなりにお金と時間を使って、

それなのに報われない辛さ。


「人は一貫性をとりたがる」

のは心理学でよくいわれる
原理ですが、

どこどこのサポーターをする
という宣言(周りにも、自分に対しても)

をして、
知らず知らずのうちに

一貫した行動をとる
(サポーターをやめない)心理的圧力

がかかっているのかも。


類似した社会的条件が
類似的な反応をもたらす

「社会的証明」

という心理学の原則
があるそうですが、

サポーターがもっとも強く影響されるのは
自分に似たサポーターの行動であり、

自分で決めた「サポーターを務める」
ということが間違いではなかった

周囲のサポーターを見て
納得する(よう言い聞かせる)ことが

無意識レベルで
行われているのかも。

その繰り返しによって
強固な

サポーター文化

という文化圏が
(クラブとはちょっと距離を置いて)

形成されていく
と分析しています。


■そんな背景を読み取っていくと、

サポーターと
どう向き合っていった方が建設的か

を考えるきっかけになりそう。


クラブの一番のウリである試合。

スタジアムが満員になって、
声援やチャントが地鳴りのように響き、

選手の背中をおして
勝利をつかむ。

絵にかいたような理想的な
「関係性」は、

クラブにとって無視できない財産。

スタジアムにお客さんがたくさん入って、
雰囲気がすごくよければ、

スポンサーセールスもやりやすそう。


サポーター文化は、

すばらしい文化であり、
今後も独自に育まれていくべきだと思います。

そして少しずつでいいので、
クラブが協働して

その文化圏を拡大していくことができれば、

サポーターの苦労も報われるのでは?
と思ったりもしています。

サポーター文化を起点として、
ファンが増えていくことは、

彼らにとって誇りであり、
自尊心をかきたてるものでしょう。

そのためにはクラブがよりそって、
手伝う姿勢をみせることが必要不可欠。

サポーター文化は

その特異性がときに、
心理的抵抗を周囲に与えるもの。

そしてそんな「誤解」をとけるのは
クラブだけ、だと思われます。


■クラブは

サポーターをどんな存在と定義して
どのように接するのか。

それは

クラブ理念をみれば
一目瞭然です。

孤立しがちで
いつもがんばってくれているサポーターを

大事に想い、助けてあげて
一緒にクラブを発展させていく。

理想的なクラブのあり方だなぁと
しみじみ、あらためて思った次第。

なんかまとまらないけど
今日はこれぐらいにしておきます。


今日も最後まで
読んでくれてありがとうございました!

それではまた明日。
おつかれっした!




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