「共犯者」とともに価値を高め、ともに成功する
顧客のことを
「共犯者」
と表現する場合があります。
どういうことでしょうか?
「カスタマーサクセス」
という言葉の誕生にともなって
使われるようになりました。
日本語に直訳すると
「顧客の成功」
お客さんは何をもって
「成功」するのでしょうか?
スティーブジョブズ氏は、
カスタマーサクセスマネージャー(CSM)
という役職をつくりました。
顧客がアップル製品の価値を
最大限に引き出せるようサポートすること
がCSMの役目です。
■お客さん
にモノを売っては
「やれやれ、やっと終わった、、、」
きついノルマに苦しんでいた営業マンが
一か月の間、駆けずり回って、頭を下げて、
あれこれ手を尽くして
ようやく達成した目標数値は、
月末に計上処理されて
ほっと一安心、
つかの間の安堵感につつまれます。
翌月はまた
あらたな目標数値が課されて、
胸がきゅっと締め付けられるような
ストレスと緊張の一か月が再開。
そんな自転車操業にあけくれる
かつての僕は、
売ることが最優先事項であり
カスタマーサクセスなんて
「は?なにそれ?」
この概念を知らなかった
のんきな僕にとって
「売った瞬間」=「関係性の終わり」
が絶対的な価値観でした。
商品を自分の元から顧客へ
移転させてしまえば
顧客が商品を使おうが使わまいが
商品が不良であろうがなかろうが
ノルマ必達の御旗のもとに
「数字やってるからOKっしょ」
とどこ吹く風。
タチの悪い営業マンでした。
■昭和の中期から後期
にかけて、世の中には
数多くの「問題」が山積。
戦後のモノ不足を解消するために、
人々にできるだけ早く安く
モノを届けることができる個人や組織
に大きな富がもたらされました。
そして、
平成から令和にかけて
人々の生活は豊かさを通り越えて
モノがあふれかえって
何もかもがコモディティ化される。
ありとあらゆるものが手軽に
いつでもどこでも手に入るので
誰から買っても
どこから買っても一緒。
とりあえず作って商品棚に並べたら
なんとなく売れていた時代は
過去のものとなりました。
■モノが売りにくくなった今、
さまざまな工夫や研究
試行錯誤の積み重ねで
とある「理念」が浮上。
売った瞬間は
仕事の終わりでしたが
その終着ポイントは
少しうしろにずらされることになります。
売った後
つまり、顧客が買った後、
何が起きているのか
(買ったものをどのように使うか)
に注意が払われるようになりました。
顧客と長期にわたって継続する
関係を結ぶ。
売る側と買う側にダイナミックで
対等な関係が生まれました。
売る側は一日も欠かさず
顧客の成功を第一の目的に。
受動的に顧客をサポートするのではなく
積極的に顧客の成功を設計する。
自社のサービスを
顧客の立場に寄せて運用していきます。
カスタマーサクセス
という理念の誕生です。
■顧客と企業
を隔てていた壁は
デジタルの発達によって融解しました。
メーカーが作って売る。
顧客がそれを買う。
そんな固定化された役割は
コネクティビティの高まりによって瓦解。
顧客がサービスを買うかどうかではなく
顧客がサービスの利用を通じて
望む「結果」が得られるかどうかまでが重要
となりました。
パーソナライゼーションされた
趣味嗜好に基づいた情報提供
が行われているかどうか。
自分のために時間を使ってくれている
という感覚を顧客に持っていただけるかどうか。
自社製品と他社製品は
ぶっちゃけどっちを買っても一緒です。
むしろ顧客にとってプラスであれば
他社製品をオススメすることだってアリ。
「売る」から「一緒に」へ
顧客は、
企業の「共犯者」であり「共謀者」
ともに価値を高めていく
同士です。
■単発の「移転」ではなく
「長期の関係性」へ。
そんな認識の変化が不可欠です。
そのためには
顧客から信頼、共感、リスペクトを得て、
感性的価値な蓄積をうながすような
世界観をつくり
世界観にもとづいた
質の高い、粘着性の高い体験
を提供していかなければなりません。
顧客は、企業が発する360度展開の
言語的、非言語的メッセージを通じて
ブランド体験を知覚します。
それが顧客の成功
つまりカスタマーサクセスにつながるかどうか
その初期設定は
慎重にデザインされるべき。
あらたなビジネス開始にあたって
自戒を込めてまとめてみました。
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうございます。
それではまた明日。
おつかれっした!
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