見出し画像

[遠くの記録]20190224-25-岩手・盛岡、花巻

20190225
花巻での仕事から今帰ってきた。岩手には秋田に住んでいた頃に雫石へスキーに行ったことがあるだけだったし、昔すぎてどうやって行ったのかはおろかスキー場ですべった記憶もない。だからほとんど初めてみたいなものだけど、盛岡も花巻ものどかでいいところだなと思った。

画像1

遅れないようにと前日入りした盛岡は着いたらもう18時だった。いわゆる観光スポットの桜も公園も赤レンガも見られなかったけど、夜の町歩きもそれはそれで楽しかった。

JRや鉄道が発達した大きな都市や都会は駅前に繁華街があり、完全なる地方では駅から離れた場所にイオンを中心とした繁華街(というかすべてが専門店街内にある)があることが多い。盛岡はその中間の町のようで、駅前には県外からの観光客が必ず通るのでそれなりのにぎわいがあり、さらに車メインの県内の住人は鉄道を必要としなくてもいい少し離れた場所にある繁華街に行くみたいだった(むしろ駐車場を作れるスペースが必要)。駅から15分ほど歩くとアーケードが両側に分かれた一番の大通りがあり、一度だけ行った秋田の大通りと雰囲気が似ていた。

地方に行くとだいたい全国展開ではない地の百貨店があるのでだいたい寄る。仙台の藤崎のように盛岡には川徳があった。フェラガモとマドモアゼルノンノンが1階の一番いい場所を占めていたけど、地方百貨店のマドモアゼルノンノンとパパスの異様な強さは何度見ても不思議。
この地域の男子文化は少し独特で、個人の中古レコード屋が今もちゃんとした機能していたこと(2〜3軒見かけた。ブックオフが1軒もなかったこととも関係があると思う)、扱う洋服はアメカジだけどかかる音楽はほぼヒップホップの路面の洋服屋が多いことがそれを形づくっている気がした。女子文化はていねいな暮らし系と北欧系の雑貨屋、老舗喫茶店とおしゃれカフェが目立つ感じ。宮澤賢治の生誕地であり民藝・工芸に強い光原社があると思えば、なんとなくそちら寄りになるのもわからないでもない。

画像2

ということをたっぷり考えてから、夜は盛岡だし盛岡冷麺かなと思ってホテルから近い有名なお店で食べた。

画像5

翌日のモーニングはつけずに買っておいた地のパンや牛乳やジュースを食べた。いつまでも昭和なパッケージであってほしい。

画像3

盛岡から東北本線で40分ほど電車に乗り花巻へ行った。古い町並みの中に新しい人が建てたカフェやゲストハウスがぽつぽつと混ざり込んで、新旧の空気が一緒にやってくる町。こちらもやっぱり駅前から10分ほど歩いた所に中心の商店街があった。中心といっても静かだなあと思いつつ有名なマルカンデパートの大食堂に行ったら、平日で大食堂以外の2〜5階が閉まっているとは思えないくらいの大賑わいで驚いてしまった(行列ができていた)。まだ湯沢に協働社があった1980年代初頭の駅前商店街っぽくて、雰囲気も規模もそこそこ近かったんじゃないかと想像した。少し知っている喜久盛酒造の「きくざかり」の大きな看板があったり、帰り道のバルにタクドラの瓶が置いてあったりして、さすが岩手のお酒と感心して帰ってきた。

仕事が終わって盛岡に戻る車窓をずっと眺めていた。東京と圧倒的に違うのは、木々の様子と建物とのバランスだと思う。あの寒い地方独特の感じが小さい頃からずっと好きなのでいくら見ても飽きない。東京は広葉樹が多くてフォルムが丸いけど、東北は針葉樹が多くて矢印のように尖った形でまっすぐ立っている。田んぼの間の建物がある区画を木が四角く囲むように立っていて、どことなく箱庭感があるところが好きなのかもしれない。すごく暖かい日だったのに夕方には天気が悪くなり、北上山地のほうの空が明らかに雪が降っているであろう雪雲が立ち込めていた。ああいう暗さも好きな光景だ。

画像4

乗り換えまでの1時間半ほどに宮澤賢治記念館でもある光原社に行った。民芸品を見て、あらゆる建物を見て、可否館でコーヒーをいっぱいだけ飲んで、くるみクッキーを買った。
写真OKなのが中庭だけだったけど、どこから見てもかわいくて、別の場所にある北のホテルにも泊まりたくなった。可否館で頼んだ深煎珈琲は苦すぎずほんのり甘く、こっくりとしているのにくどくない味で、個人的に今までで一番おいしいと思った。京都のフランソアやソワレにいそうな女性の店員さんが煎れてくれたけど、あれは何が違うんだろうか。その店員さんはサーブした後は和やかに常連さんの相手をしていた。
お冷やを入れてあるグラスがすごく綺麗で、店に売っていたら買って帰ろうと思ったのに今は取り扱いをしていないと言われた。倉敷ガラスの小谷栄次さんのものだと教えてくれた。

普段行かないところはどこを見ても新鮮。田舎も都会も町それぞれにいいところがあって、いろんな人が住んでいて、ごはんを食べに入ったらいろんな話をしている。方言がある地方ならさらにいい。と言っても私には東京も自分の育ってこなかった地域の言葉という意味では方言だから、都会で聞く言葉も同じくらい楽しいのだけど。自分で見て聞いて歩くことはこれからも少しずつやっていこうと思う。

20190225
小谷栄次さんのグラスが欲しくなったのでいろいろ調べた。工芸系は今まで全然興味がなく、秋田だと曲げわっぱや樺細工、あとこけしやチャグチャグ馬こみたいな置物系、滋賀だと信楽焼、みたく家に生活物としてあるものくらいしか知らなかった。それ以外をほとんど知らないからもう少し知ったほうがいいのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?