見出し画像

MusicVideo演出の分析-「Malware」MVを通して-

1.自分の脳内を全分析・言語化したい。そして見てくれた人と共有

制作過程を余すことなく共有したいと思い普段あまり書かない文字と向き合いました。
どうやって手を動かしているのか、何を考えているのか、どういう時間の使い方をしているのか、なぜその結論に至ったのか、ルーツは?参考文献は?
これらをアウトプットし目に触れた人に共有するというのが、みんなの心を開くことになるかな。と思ったからです。創作とは孤独であり、自分を曝け出すようで恥ずかしい。批判されるかもしれないと不安になる。そう思うのは自分だけじゃなく、他の人にも多いのではないかと思う。悩みや考えることを自分からオープンにすることで、クリエイティブが発展したり、より接しやすくなったり、会話のタネになれば良いなと思う。
何でもない話というのも苦手で、話すなら本音でというのがいつものスタンスなのですが、とは言え、そんなに口が上手いわけでもなく、うまく思いも伝えられん…
ということで、ここに今回のMV制作を通して考えていることを記すことにしました。

ここ2、3年の間、自分で手を動かして制作することから遠ざかっていて(作ることはあっても片手間だったり100%とは程遠い精神状態で作っていたり…)、それは会社での役割が変わったというのもあるし、やっぱり自信がないからというのもあるし、ほとほと疲れてしまったというのもある。

いつでも100%で作れることなんてなく、今でも思い悩むことは多いのですが、「Malware」のアイデアは最高だと思い一念発起して作ったMVです。
これなら多くのことを話せると思いました。

また、なんだかんだでクリエイティブ業界に入って5年ぐらいあらゆるところで色んな経験をさせてもらい、その経験則からもアウトプット出来たと思います。この体験で得てきたものを言語化せねば!!と思っていたところでもあり、自分にとっての備忘録にもなっています。なので、割と体系的なことも書いていると思いますが参考程度に見てもらえると嬉しいです。

↓↓↓まずはMVを見てくれたら最高だと思う。
https://youtu.be/3B0f1FhvfKo

2.制作のきっかけ

画像1

Frasco「Malware」のMusicVideo(以降MV)を作ろう!
と思ったのは、Twitter投稿を決めたその時ではなく、実はVJ素材を制作した時(2019年の11月ぐらいかな)にその構想はすでにありました。なぜならVJ素材の時点で面白いものだと思っていて、このままYoutubeにアップしようかと思っていたくらいでした。

VJ素材というのは、ライブの際に主にアーティストの背後に映像投影などをしてライブを彩る役割をする映像素材で、僕はそれら映像を演出するVJ(Visual Jockey)としてFrascoで活動しています。
そもそもVJ素材というのは、「ライブを盛り上げる!」をミッションとしているので(人それぞれコンセプトはあるにせよ)、映像だけで語ることはないし、アーティストを飾ることを目的とした画作りになっています。
もちろん例にもれず今回のMalwareのVJ素材もあくまで装飾的な映像の作りになっていたのですが、とはいえ、個性がないと面白くないのがやはり創作物というもので、「Frascoのwebサイトがぶっ壊れる」演出をして、それがなかなかいい感じにイキっていたので(自分でこんなこと言うのも恐れ多いですが…)作品としてちゃんと発表したいと考えていました。

Frascoのslackチャンネル(グループチャット)で現状のVJ素材をメンバーに見てもらったのですが、改めて見ると「ライブ映え」を狙った「豪快」な作りになっていてMVとしての「繊細なクオリティ」というのは皆無なものでした。

3.VJ素材とMusicVideoの違い

画像2

VJ素材をそのままMVには出来ないのかというともちろんそんなルールはなく、その人がそれで良ければそのまま出せば良い。ただ今回ひたすらに唱えている「VJ素材」は「素材」であり完成品ではないのです。いわば、MVを完成品とするのであれば、VJ素材は調理前の野菜であり、MVは完成した料理です。
ではVJはその素材で本番のライブを行っているのか?というと、VJ素材はライブ中のVJを通して調理されアウトプットされる。ライブ感を肌で感じて、その感覚を映像に反映させる。それがVJとしての役割です。
現行の内容は、
①オブジェクトが大きい
②動きが分かりやすい
③色使いが派手
④ループ表現

という演出に寄っていました。やっぱり「映え」重視。

以上のことだけでも(深く話せばもっと色々あるけど)、「Vj素材」と「MV」は全く違うし、やっぱり作り直す必要がありました。

4.MusicVideoたらしめるということ

画像3

VJはライブの盛り上げ装飾と前述しましたが、MVはというと作品としての完成形と思っています。PV(Promotion Video)という言い方もしていた時もあったけれども、こと音楽に関してはここ最近、直接的にはプロモーション言わなくなってきていると思う。ファン獲得プロセスを考えると、プロモーションと銘打って売り込むというのは前時代的、売り込まれたファンは引いてしまうよなという心理はあります。なのでプロモーションをかけるというよりは、アーティストの作品性や世界観を高め、それを提供するに尽きると思う。いかに素晴らしいアーティストなのか、作品なのか、まずはそこをしっかり突き詰める。元来変わってないこととは思いますが、曲を作るアーティストは表現の手段としてMVがあるわけでそれは作品として成立させなくてはいけません。
前述したVJ的表現を抑えつつ、作品たらしめる要素を盛り込みます。
その要素とは、
①ストーリー
②斜め上を行く「Wow」なアイデア
③細部にこだわる繊細な表現

この3要素は個人的にいつも大切にしている観点でして、
これらを達成する、アーティストとしての作品性というものを100%出せるように制作したMVなのでした。

5.[PRについて]既存の曲を掘り返し、再リリースする

懸念点として思っていたのは、すでにリリースされている曲ということです。当時もちろんPRはしたし、現在進めているプロジェクトもいくつもあり、それに割って入ることに意味を持たせないとみている人は文脈分からなくなるなと。
MVとしての作品性は作る前からイケる!と思っていたのですが、ただ作って公開だけだと、「作りました!」→「公開!」以上。と、何も盛り上がりがない。いわゆる「点」でしかなく、繋がりもない…
最大化させるのは難しいと思いました。

そこで、このリリースも企画化しないとな!となり、「30日後にMVになるVJ素材」を始めるわけです。
実は、Frascoメンバーには深い相談はせずに、割と勝手に始めた企画です(笑)
「30日後にMVになるVJ素材」はお気づきの通り、「100日後に死ぬワニ」のパロディなのですが、日数をかけて認知してもらい、その日付になるとどうなるのかが最初に分かる構造になっています。
「結末が分かっていながらも、いや、分かっているからこそ楽しめるコンテンツ」
です。
突然の例ですが…!「古畑任三郎」とかも本来であれば最後のお楽しみである「誰が犯人か」という部分が最初に分かる仕組みで、なぜ殺してしまったのか、犯人との心理戦、古畑任三郎の推理、犯人が分かっているからこそ表現できる演出があり、ラストまで視聴者のモチベーションは右肩上がりし続ける方法です。
(探すと、この方法をとっているコンテンツは割とあるんじゃないかなと…)
改めてですが、このプロモーション方法は現代において非常に強いなと感じました。
・お金をかけられない
・強いアイデアもない
・協力者も多くない
・プロモーションのためにわざわざ時間もかけられない
というネガティブな側面を、「完成物を宣言」し、「プロセスを公開」し続けることで、
・金をかけず、
・おもろいアイデアも出す必要もなく、
・一人で、
・制作時間そのものがPR時間になる
「弾いてみた」とか「ゲーム実況」とかやっている様そのものがPRになり、コンテンツになる時代ってすごく今に即したやり方でもはや正攻法ですね。ありがたいことに、プロセスを見せているだけでフォロワー数はかなり伸びました(発信者としてはまだまだ少ないですが…)。もし、これがMVを公開しただけだったら、そんなに増えることもなかっただろうなと思います。


6.企画「30日後にMVになるVJ素材」による制作作業そのものの変化

思考と作業とインプット、アウトプット。30日という時間を如何に使うかが非常に重要というのを改めて感じました。

今までももちろんスケジュールを組んで取り組んでいたんですが、スケジュールを組む時の項目やそもそもスケジュール、時間の使い方を考え直したいと思いました。というのは、この30日の間で実現した、しないに関わらず、数回新しいアイデアが降りてきました。
アイデアというのはクリエイティブをするに当たってコンテンツ、作品の根元になると思うし、だからこそ思い悩むし、簡単には出てこない。なのに、アイデアが今まで以上に出てきたのです。

今回の制作に対しての具体的な環境変化は、
・Twitterでプロジェクト化
・毎日更新
・そもそもVJ素材で方向性は決まっている
・30日間という制作期間
・既存曲
・コロナ禍の引きこもり生活
・散歩の時間が増えた
・仕事の時間が減った

全て関係していて、
要するに、
「圧倒的に家での時間が増えた」
「VJ素材であれ一度作ったことがある」
「30日間とかむっちゃ時間ある」
「仕事の時間が減ったおかげで、思考する時間が増えた」

ということが言えます。

7.時間の使い方

すでに素材はあって、30日間での完成というのは、時間的な余裕というのはかなりあります。しかも、お客さんがいるわけでもないので最悪完成が後ろ倒ししても誰かに迷惑かけることもないし、心の余裕も普段の仕事に比べ圧倒的にありました。
仕事はあるので(とはいえコロナ影響で週3勤務だし、更に働きかた改革で残業NG。3月までほぼ毎日終電帰宅だったのに、19時終了になった!!)、仕事後に2、3時間作業していました。集中が続けば、4、5時間続けていた時もありましたが、心の余裕があったので、作業より思考に時間を費やすことができたのはかなり大きいです。
コロナのおかげで飲みに誘われることもないし、ZOOM飲みしながらでも作業はできるので予定外で時間を削られることはほぼありませんでした。
今後も思考そのものに多く時間を費やせるスケジュールを作りたいなと思います。

8.アイデアを降臨させる条件

心の余裕というのが如何に重要なのかを痛感したプロジェクトになりました。ある程度のプレッシャー、ストレスというのは必要と言いますが、今までが重すぎたなと…。重すぎたというか物事を考えすぎる傾向にあって、ホントに自分のネガティブな部分なのですが(スピードを求められる現代においてはマイナスな側面が多いと感じる…)、過去に数度押し潰された経験もあり、実制作から遠ざかっていたというのもあります。なので、久々に本気でゴリゴリに向き合うことが出来た。プレッシャーというより「こだわりすぎること」を楽しむことができました。

自分の時間を得ることが出来たのも大きいです。毎日終電帰宅だったのが、19時で終了になり、自由時間が増えた。英語の勉強も継続できるぐらいに出来る様になったし、本もたくさん読めるようになった。私は働き方改革最高!!と言っている人間の1人です。
こうなると作業だけでなく、マジでただの散歩時間も増えた。近所の公園にiPadを持ってブラブラと散歩するのです。たまにコンビニで缶チューハイを買って飲みながら、新しいアイデアを思考する。たまに、ヒントはないかとkindleで本を買っては読み漁り、考え方を変えたりしてメモする。

散歩は良い!!

オススメするのは、iPadもスマホも一切持たないこと。確かに調べ物は出来なくなるんだけど、ペンとノートだけを持って、深夜の公園を歩いて、考えながらメモを進める。スマホに邪魔されずに自分の頭の中だけで考えるから集中して思考を深められる。仕事の企画アイデアもいくつかこれで進められた。
今までは仕事といって作業することでやった気になっていたなぁ。残業することが仕事じゃないんだなぁと。

思い返してみると、みなスマホの中に答えがあると思い込んでいるのではないか。僕も「温故知新」という考え方は一つの指針にはしていて、「未来は過去にある」と藤原ヒロシ大先生が雑誌のインタビューで答えていたのを未だに覚えている。困ったときは過去の似た事例を探して来て今の時代用に翻訳し、応用する。
ただ最近思うのは、この考え方は間違ってはいないのですが、なんか仕事している気になっているパターンも多いと思うのです。噛み砕き切れていないというか、過去をそのまま持って来ただけじゃない?って言う。今の時代に対する考察が甘く、当てはめ方が間違っていたり、考える要素が足りなかったり、切り口が違ったり...
抽象的な話になってしまったけれども、最近はかなり気をつけています。
自分自身で具体的な仮説を立てることがすごく大事だと思います。

9.各演出について

再掲すると、演出の指針として3点あり、
①ストーリー
②斜め上をいく「Wow!」なアイデア
③細部にこだわる繊細な表現

指針は人それぞれと思いますが、作品性という観点からいうとMVに限らずアウトプットするものとしては上記3つを最重要視しています。

上記3つをそれぞれ説明します。

10.〈①ストーリー〉

0:00から3:10までの全体の展開、各シーンとして細分化したときの展開を考える、所謂マクロとミクロの視点で捉え、それが「一繋ぎとしてストーリーに落とし込む」ということ。
千差万別のMVを見て思いますが、
どんなMVを思い返して見ても、良作と言われるものはどれを見てもおそらく展開があると思います。セオリーとしては「起承転結」「序破急」と言いますが、要するに何の脈絡もない作品は見てもらう作品にはならないと言うこと。
視聴者の心理曲線をいかに具体的に想像出来るかとも言い換えることが出来、
今回のMVについて抽象的に言い表すと、
「気づきを与える→理解させる→理解の延長線を裏切る→理解得る結末」
という風に心を動かしたいと思いました。(最初はね…!!)
新海誠監督の「天気の子」が丁度物語の構成プロットのネタバレをしていて、https://twitter.com/shinkaimakoto/status/1265554723358334978?s=20
基本的には、この物語の抑揚に沿って視聴者の感情曲線が形成されていきます。この図を見たときは非常に参考になりまして、すごく細部まで想像出来ていて「あぁさすがだなぁ…」と。

マーケティングやPRプランを考える際にもこの感情曲線は使われていて、いわゆるカスタマージャーニーとも言いますが、
https://jp.marketo.com/content/how-to-make-customer-journey.html
どんなコンテンツ、仕事でも、人にモノを提供するということは「他人の気持ちを考えること」だと思います。
「アーティストだから自分の好きなものを作るんだ!」と信念を持って取り組むのならもちろんそれもいいと思いますが、少なくとも今の自分は他人に評価をされなくては成り立たないので、「どうしたら人の気持ちを揺さぶれるか」というのを最重要視して制作しています。

11.〈②斜め上を行く「Wow!」なアイデア〉

1.「個人の創造性を曝け出す」という主観的な部分
2.「視聴者の感情を揺さぶる」という他者へのアプローチ

の2方向に対し、共有出来るアイデアを考えます。
そして、「斜め上をいく『Wow!』なアイデア」とはいったい何?ということなのですが、これが一番コアな部分だし、自分の考えが一番強いところです。

今まで達成できたかどうかはさておき、自分がクリエイティブに携わるようになってから一番大切にしている指針です。

実はいつも「(作品を見た人の)瞳孔を大きくしたい」と心の中で唱えている。。
身体的な反応こそが本音だと思っています。
正直なところ言葉というのはあまり信用しておらず、
言葉でいうと、「すごい!」「面白い!」「えっ!」と言ったリアクションが返ってくるとすごく嬉しいのですが、悲しいことに心で思っていることを口に出しているとは限りませんよね。。

人によっては「高いクオリティ」「自分が満足できるもの」「人に喜んでもらうもの」「社会貢献できるもの」…
など様々な指針があるが、僕は「本当に人に感動してもらえた」「心を揺さ振ることが出来た」というのが自分の真の喜びでして、それが「斜め上をいく『Wow!』なアイデア」になります。

「斜め上を行く『Wow!!』なアイデア」とはどういうことか。

例えば、下記のように作品をカテゴライズしたとします。
【現実世界の写実】
ヒューマンドラマで感動の場面を演出する
【非現実世界の構築】
ディズニーのようなファンタジーでお客様に夢を魅せる

この2つの「現実」「非現実」でも「感動」は与えられるが、更にその上の心の揺さぶりがあると思っていてそれが僕が1番目指している『感動に近い驚き』という感情です。

具体的にいうと、「現実に起きるありえない世界」とでも言いますでしょうか。
・犬が喋る
・柔らかいコンクリート
・人ぐらい大きいアリ
とか…ムチャクチャな例に見えますが、「ハリーポッターの世界なら…」「ディズニーの世界なら…」だとそのありえない世界が前提なので普通に起こり得ることになるのです。
これらが自分の生きる世界で起きたらどうでしょうか。
感情としては「驚き」と思います。
ただ、「恐怖」も感じると思います。都市伝説、心霊現象も同じカテゴライズは出来ると思います。
このポジティブにもネガティブにも感情が振れるという所も面白いです。

「現実に起きるありえない世界」が「驚きに近い感動」になるのか。
それは、その人にも起こり得る現象と錯覚させることが出来るからです。更に、あり得ないことが起きるというのは人間にとって危険なことなのです。それに対する対応策がないから。だから、注意を向けざるをえない。でも、それは起こりえないのです。
貞子はテレビから出てこない。怯える必要はないのに「もしテレビから貞子が出て来たら…」と自分ごとに置き換えてしまう。。恐怖が刺激になり、知らぬ間に頭から離れない興味に変わる。
ホラーを例にしましたが、「現実に起きるありえない世界」とより抽象化してもこの感情の揺れ動きを辿れると思っていて、今回はそれが「malwareに侵された世界」というコンセプトを元に表現しました。

「現実に起きるありえない世界」をより分解します。
「現実に起きる」→「見慣れた日常」
ここで言う「見慣れた日常」とは、アーティストのwebページであり、LINEのトーク画面、Macのデスクトップだったり、windowsのエラーメッセージのことです。
現代人なら一度は見たことのある景色。

これらが…「ありえない世界」になる。

「ありえない世界」→「日常には起こりえない現象」
と言い換えられ、
具体的にはアーティストページのアー写は生きているように動かないし、Macのデスクトップがビートに乗る訳ないし、エラーメッセージがソリティア表現になる訳はない。

「現実に起きるありえない世界」→「見慣れた日常に違和感を与える」

「見慣れた日常に違和感を与える」ことが「驚きに近い感動」に通ずる。
と言うのが僕が大切にしている考え方です。

(※一番力を入れたところですが、具体と抽象、知識と哲学が混ざってしまい非常に難解な文章になってしまった。うまく言語化出来たかは分からない。。またアップデートされていくだろうな。。)

13.〈③細部にこだわる繊細な表現〉

「神は細部に宿る」とは言ったもので、最終的なクオリティはいかに細部にこだわれるかだと思います。視聴者はその細部のこだわりには絶対に気づかないのだけれど出来るだけ細部にまでこだわるべきと思います。無論、視聴者に気づいてもらうためにこだわっているわけではないのですが、そのこだわりが視聴者の「無意識の感動」や「身体に訴えかける効果」を生み出すと思います。

こだわることが出来ないこともあると思います。時間の制約だったり予算の問題だったり、他者とのコミュニケーションの結果、こだわらずに行くというのもあると思います。

このような外的要因は難しいかもしれませんが、ある種「まぁこれでいいや」「こんなもんだろう」というのはやめる。やめましょうと言うよりそうなることはあり得ないことです。最も大事なのは与件に対してコミット出来ているか。コンセプトに沿っているか。これらがゴールの達成には一番重要です。与件とコンセプトはクリアする作品にする、そうすれば一旦のゴールは達成出来るはずです。それをクリア出来るまでは細部までこだわりましょう。

14.各シーンについて

ここからは各シーンについて解説します。

15.シーン1[0:00〜0:48]

・りんなとのやりとり
・PCへのズーム
・タイトルスクロール

りんな
→どうやってMVに登場させるのが一番面白いか考えたが、りんな登場を最優先させるのはMVのコンセプトとは違うので後回しになってしまった…結局、冒頭のLINEやりとりからスタートさせるにしたがどうかなー??!と言う感じで自分的にはハマってはいない…ただ、りんなが曲紹介する形でMVがスタートするのは面白かったかも。ちなみにLINEのやりとりは途中までは本当のやりとりを採用させてもらいました。

PCへのズーム
→そもそも、峰さんの作ったmalwareダウンロードページのLPを使っています。「DANGER DONOT OPEN」が点滅しているだけだったので、より動きを入れて飽きさせないように→①だんだん近づいていく②回転させるとVJ素材から進化させました。

タイトルスクロール
→VJ素材からそのまま引用。
そして、PC内と現実を行き来するというのを一つ軸にしていたので、「画面上での展開(クロース)→引いてリピートされたPC(俯瞰)」にし、ギャップを作りました。

16.シーン2[0:49〜1:23]

・FrascoのwebサイトのProfileページ

トップにアー写があり、説明文というwebページの構成。この基本構造を崩したかった(「斜め上を行く『Wow!!』なアイデア」の部分です)。基本的に画は静止、説明文がMalwareに侵され歌詞に変換されていく。最後は行も崩れ、弾けて散る。スクロールしていくとメンバーの紹介が出てくるがどんどんと侵されていき歌詞に変わっていく。どのメンバーも同タイミングでテキストが変換されることでテンポ感・同期感を得る。

でここに小さなストーリーを挿入しました。
せっかくなので「メンバー間の関係性」も表現したいと思い、①シンヤさんのアー写が転げ落ちる(多動の人/スベッたことをおいしいと思う人w)→②ナギーさんが即座に反応。滝で消火作業(先回り出来る人。ピンチを救う人)→③大江さん燃え移って逃げる、ナズさんびっくりする→④自分は知らぬ間に燃え移る→⑤りんなはビームかっ!っていうぐらいの放水で消火活動
短い尺でここがベストというところでやめておきました。

説明しないと気づかないところですが、「細部にこだわる」ですね。

17.シーン3[1:24〜1:53]

・Macデスクトップオマージュ

ここはVJ素材の時から使っていたアイデアだったのですが、「①ビートに乗る②横スライド③奥行きが出る・複製」で時間軸での展開を入れ発展させました。

「既存のものでいじりたいランキング第一位」(個人的な趣味)であるMacのデスクトップ。夢が叶いました。アイコンもオマージュで自作。テンポにあった動き。宇宙人の襲来?というストーリーも入れました。また、シーンごとのトンマナも変えた方がギャップが生まれるだろうと思い「マジックマッシュルーム」的な色使いにしました。

参考動画
https://youtu.be/2YllipGl2Is

今まで見たぶっ飛びMVの中でもトップテンに入るこの動画。これぐらいやりたかったかもしれない。。今思うと、もっとぶっ飛んでて良かったかも…
正解はわかりません。。


18.シーン4[1:54〜2:40]

・強制終了からの再起動ページ
・PCの浮遊空間
・PCの画面の中の画面の中の画面の中の画面の中の…
・ソリティアのクリア画面

・強制終了からの再起動ページ
→PCを触っていて「うわぁ〜!!」となってしまう瞬間第一位「フリーズ」。ただのフリーズは静止画にしかならず演出としては採用難しく、ブルースクリーンも…迷った。。VJ素材ではブルースクリーンを使ってたけど、動画向けではないかなという判断(逆に使ってても面白いとは思うけどw)。で、他の選択肢を探したとこ「再起動画面」を採用。採用理由としては、あの画面が出て、カウントされている時の焦りと落ち込みの感情を思い起こさせるのは効果的と思いました。

・PCの浮遊空間
→シームレスなシーンのトランジション・Malwareに侵されたPCの墓場というポイント。PCの墓場…インパクトを考えるともっと多くて良かったかもな…ムクドリの群れみたいにして、一塊で一つの生き物みたいに動けば、インパクトあったな…残念ながらその時は思いつきませんでした。制作なんてそんなことの繰り返しです。

・PCの画面の中の画面の中の画面の中の画面の中の…
→これは日常で発見した現象。モニターの中にモニターが映ると、さらに中にあるモニターにモニターが映って…という「なんか面白い」もの。これも演出の中に入れたいと以前から思っていました。
また、これは「ループ」の表現にもなり、テンポ感も生まれるという意図で作りました。

・ソリティアのクリア画面
→VJ素材の段階でwebページが重なるという表現をしていましたが、さらに発展させようと練りました。そこで思いついたのが、「ソリティアのクリア画面」。windows xpあたりだったかな、ソリティアとかマインスイーパにハマっていたのは。ソリティアをクリアした時の爽快感を表現してくれたあのクリア画面はかなりインパクトありましたよね??あれをAftereffects上で出来ないかと試行錯誤したところ、「Particular」というプラグインで出来ました。さすがAe最強プラグイン「Particular」。作っている時に楽しすぎてハマりました。これらはまた別の応用方法も考えられると思う。また、「マインスイーパ」も思い出しちゃったのでこれのルールを生かした「なんか」(MVに限らず)を作ってみたい。


19.おまけ[2:40〜3:00]

・フリーズ
・実はYoutubeサイトの中での話だったというストーリー
・画面から飛び出てくるソリティア

曲が終わったかと思いきや映像のみ続くパターン。映画のエンドロール後のおまけ映像みたいな役割になれば良いなと思いました。

・フリーズ
→PCイライラシリーズ第一位「Wi-Fi接続不良によるフリーズ」。おそらくこれを演出と最初に思う人は早々いないでしょう。

・画面から飛び出てくるソリティア
→そして、画面から出て来るソリティアのアイデアはシンヤさんからいただきました。「フリーズ」も「画面から飛び出て来る」も既存のモノをいかにいじるかという部分を体現しました。

20.終わりに

実は書き足りないことがまだまだあるのですが、一旦ここで締め括らせていただきたいと思います。今後体系的なことだったり、考察というのを随時言語化出来る様にしていきます。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?