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ファンとの距離感にもイノベーションが必要~対談 with 石原夏子さん #3~

THECOO株式会社 代表の平良真人と、ファンビジネス や ファンコミュニティ に関わる方々との対談シリーズ。

前回は、ファンは大きく分けると、コンテンツ好きと人好きに分けられる。更に、人好きなファンにも3パターン存在すると言うお話しを伺いました。
#2 はこちら

今回も、「 偏愛ストラテジー 〜ファンの心に火をつける6つのスイッチ〜 」著者 石原夏子さんと、「これからのファンとの距離感」について深掘りしていきます。

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石原夏子(いしはらなつこ)
株式会社電通
クリエーティブ・ディレクター / コミュニケーション・デザイナー
1999年 電通入社。
ストラテジック・プランナーを経て、
現在ではキャンペーンの戦略立案およびディレクションを担当。
著書:偏愛ストラテジー 〜ファンの心に火をつける6つのスイッチ〜

これからのコアファン化のキーワードは対等?

平良真人( 以下、平良 ):
ここまで話してきて、やはりエンターテインメントにおいて、コアファンは必要だと思っているのですが、石原さんはどう考えますか?

石原夏子氏( 以下、石原氏 ):
活動を長く続ける為にもやはり必要だと思います。薄いファンは逃げやすいファンだと思うので、毎回毎回取っていくカロリーを考えると、リピーターの方が一般的にはカロリーがかからないかなと。

平良:
その上で、ファンを今よりもっとコアファン化するにはどうしたら良いと思いますか?

石原氏:
ビジネスに巻き込むというのは新しい気がします。今後は、貢献する、参加する、株主化するみたいなことが増えるかもしれないですよね。眉村ちあきさんが株式会社を作った例もありますし。
与える母性だけじゃなくて、対等、ビジネスパートナーになるような。クラウドファンディングも、お金を出してやったぜ!では無くて、対等な関係で、作り手を応援しているし、作り手からもありがとうと言われる。お金の結びつきではあるものの、対等になった感覚というのは、また違った感度が上がる瞬間な気がします。

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平良:
対等ってすごく面白いなと思ったんですけど、仮にマネージャーになったら対等ですよね!?そしたらコアファン度は上がるんですかね?

石原氏:
わー難しいですね。どうなんだろう…。
送り手と受け手の対等と、送り手側に入っちゃうのはまた違う気がしますけどね。送り手側に入ってしまった方が対等が難しいのかなと。送り手側にピッタリつくか、上に立つかになってしまう気がして。受け手側にいる方が距離が維持しやすいのかなと思いますね。

平良:
以前、マネージャーさんにお話しを伺ったことがあって、その時に、自分が1番のファンであると言っていた方がいたんですよね。無条件に認めるし、1番の批判者でもあると言っていたのですが、その感覚がよくわからなくて。近くにいたらどうなっちゃうのかなと。

石原氏:
ドラマ「 科捜研の女 」の公式SNSはファンが運営すると発表された時に、”ファン道の上がりじゃん。” みたいな声もあったりして。バンギャもある種、中の人になったら上がりみたいな所はあるじゃないですか。その時に、コアファンから卒業してしまうのか、それともコアファンのままやるのか、中の人になった時にどうなるんでしょうね。

平良:
なんでこれを気にしているかと言うと、fanicon ってどこまでを目指せば良いのかなって思って。みんなにとっての幸せってどこなんだろうって。

石原氏:
難しいですね。ファンと一緒に作る株式会社みたいなことと、社員であるってことと、経営陣であるってことも違いますもんね。

平良:
会社と同じと考えると、スタートアップでよく言われる ” 経営者と同じように考えよう ” みたいなことですよね。実際に僕とか本気で思っていたりはするんですけど。だからってなりたいんですかね… なりたい? THECOOの経営者に。

赤塚:
なりたくないですね。笑

石原氏:
責任もあるからかしら? 好きな欅坂の中の人にはなりたい?

赤塚:
そう言われると、なりたいとは思わないかもしれないです。坂道グループが社員を募集していたとして、応募はしないですね。

石原氏:
仕事にはしたくないってことだよね。

平良:
僕はレディオヘッドからプロデュースしてって言われたら、めちゃくちゃやりたいですけど、自信は無いですね。

石原氏:
わかります!わかります!それによってファンという立場が消えてしまうのが怖いですよね。関わってしまった上に、好きじゃなくなってしまったらどうしようみたいなのもありますよね。

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赤塚:
プロデュースやって下さいって打診されたら、やりたいって思うことはあると思うんですけど、自ら応募する人は、自分の能力を認められたい人って感じがします。プロデューサー力を認められたいと思っている人。

平良:
そうかもしれないですね。
転職時に内定をもらったレコードレーベルで、好きなアーティストを担当出来ることになって、めちゃくちゃテンションが上がったんですよ。でも、仮に自分が好きじゃないアーティスト担当した時のことを想定したら恐怖を感じて。ということは、僕はプロデューサーは向いていないんだなって思って、レコードレーベルではなくインターネットの会社に転職しました。
商社時代に売っていた鉄は感情移入しなくても売れたんですけど。笑

石原氏:
確かに。鉄のファンはなかなか無いですもんね。
プロデューサーになれるということは、どんな子供でも愛せるってことなのかもですね。

平良:
この質問も同じくマネージャーさん何人かにしたんです。そしたら、2パターンあって。好きじゃ無いと売れないよ!という人と、なんでも売れますよ!という人。
もうね、謎が謎をまた呼んでしまうという…笑

石原氏:
謎ですよね。笑
中の人って、偏愛とは違うビジネスだから、給料とか仕事内容とか別軸が入ってきますよね。

平良:
なんとなく、コアファンの最上級は中の人では無いという感じはしますね。

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石原氏:
そうですね。一方で、自分の持っていることで貢献できると嬉しいという思いは、コアファンにはあるんですよね。それこそ、絵が上手な人は絵を書いてあげたいとか、お金に余裕があれば寄付がしたいとか。応援という意味で、自分が持っている力や時間を使いたいとファンは思っているとは思います。

平良:
そう考えると、送り手と受け手間での対等というのはすごくキーワードな気がしますね。

石原氏:
今時ぽいですよね。無意識に対等にもなっていたりする気がします。

平良:
対等ではあるけど、距離はあって、一緒ではない。

新しい距離感

石原氏:
眉村ちあきさんが面白くて、『空き時間に代々木公園で遊ぶから、来たい人来る?』と投げかけたそうなんです。それはアーティスト活動じゃなく、純粋に個人として公園で遊びたいからで、ハンカチ落としとかバトミントンをしたらしいです。でもこれは遊びだから全員には声かけないこともあるよ、わかっているよね、というスタンスだそうです

平良:
分けているってことですよね。株式会社の社長として、個人のプライベート活動をしていると。

石原氏:
プライベートのそのアクションさえもキャラクターにしていることが新しいなと思いますよね。根っからのエンターテイナーなんだなと思いました。

平良:
めちゃくちゃ面白いですね!会いたくなりました!!

石原氏:
会いたくなりますよね!1回ライブ行ってみようと思ってます。

平良:
先日、たまたま、眉村ちあきさんの話しを聞いて、見に行きたいと思ってました。

石原氏:
チャレンジングな人ですよね。とてもクリエイティブでビジネスマンだなと。フラットな所とか、やり方が今時ですよね。

平良:
もしかしたら、ファンとの新しい距離感なのかもしれないですよね。

石原氏:
線引きをしっかりして、それについてこられる人しかついて来なくて良いってことなのかもしれないですよね。そこで、握手をしないと文句を言う人はファンじゃなくて良いと。

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平良:
ファンもその新しい感度についていく自分が好きなのかもしれないですよね。これだけ色々な形態のアウトプットの場がある時代だからこそ、ファンとの関係性もイノベーションを起こしていく必要がありそうですね。

石原氏:
経営者とかもそうですよね。ベンチャーとか特に。

平良:
うちの会社はどちらかというとうウェットな会社だから、そこに合わない人は採用しないですし、それがカルチャーなんで、無理強いはしていないからなという。笑

石原氏:
それはありますよね。受け止めるかどうかは自由だけど、面白いですよね。ファンってテーマが広いですね。

平良:
本当に広いですね。語源がfanaticだから、僕はどうしてもそこから離れられなくて。熱狂している状態、コアに熱狂している状態ってなんだ!?みたいな。笑

石原氏:
狂ったみたいな所はあるのかもしれないけれど、devotionのように身を捧げるまででも無いし…。ただのloveでも無い。

平良:
偏愛って言葉は良い言葉ですよね。狂った愛情では無くて、偏っているだけ。

石原氏:
投資の先が偏っている。フォーカスしているって感じですよね。

平良:
いや〜、定義が難しいですね。


アイコンとファンが「対等」であると、ファンがより自分ごと化しやすくなって、コアなファンになりやすい事がわかりました。
SNSなど沢山の情報ツールがある現代だからこそ、ファンとの距離感をうまく形成していく必要性があり、それを見出せれば、ファンがアイコンの活動においても大きな力となるのだなと感じました。

編集・構成 /  赤塚えり

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