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「クリエイターはコーチングを学ぶべき?」デザイナー・コピーライター・経営者に聞いてみた

「コーチングの学びは、仕事にどう活きる?」

「プロコーチを目指してない人が、コーチングを学ぶ意味はある?」

このような疑問にお答えするため、コーチングを学んだ後コーチ以外の職種で活躍される方をお呼びし、コーチングを学んだ感想をざっくばらんにお話いただく企画をスタートします!

初回となる今回は「クリエイター編」。

  • デザイナー兼コーチの柿迫さん

  • デザイナー→コーチ→経営者というキャリアをもつこばかなさん

  • コピーライター/クリエイティブディレクターとして活躍する小泉さん

クリエイターとしてご活躍される3人をお呼びし「クリエイターがコーチングを学ぶ意義」を伺いました。コーチングを受けようか迷っているクリエイターの方はぜひお読みください。

こばかな

デザイナーとして株式会社DeNAに入社後、株式会社THE GUILD、フリーランスを経て株式会社THE COACHを創業。3年間代表を勤めた後、グループ会社のSEVENRICH GROUPに転籍。キャリアとエグゼクティブを中心にコーチングの実績400人以上。国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)。開講以来、講師として150名以上のトレーニングを担当。Twitterやnoteでコーチングについて発信しており、SNS合計フォロワー数6万人以上(2021年3月時点)。

小泉 和信

1989年生まれ。東北大学大学院を卒業後、2014年に博報堂に入社。コピーライター/クリエイティブディレクターとして様々な企業のマーケティングを担当し、Cannes  Lions、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSなど国内外の広告クリエイティブ賞を受賞。知人のつながりで2022年からTHE COACHのブランディングを手伝うように。THE COACH ICPでは基礎コース、応用ABコースを修了。

柿迫 航

1987年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、Webデザイナーとして制作会社に入社。その後アートディレクターとしていくつかのベンチャー企業を経験した後、UI/UXデザイナーとしてGoodpatchに入社。マネジメントを行った時にはじめてコーチングと出会う。香川県小豆島に移住後、自身の生き方を見つめ直す折にTHE COACH ICPに入学。基礎〜プロコース修了後、CACP取得。現在はTHE COACHのクリエイティブを担当しながら、ライフコーチ/ライフチューナーとしても活動。瞑想家でもある。


テーマ1. コーチングを学ぼうと思った理由は?

こばかな:私がコーチングを学びはじめた理由は、「質問力」を磨きたかったからです。UI / UXデザインを行う会社にいたころ、毎週のようにユーザーインタビューを行っていたのですが、漠然と「もう少し質問が上手くなりたい」と思うようになって。それで「質問力」などと検索するなかでコーチングを知り、コーチングスクールに通いはじめました。

学ぶなかでコーチング自体が面白くなってきて、副業コーチ→フリーランスデザイナー兼コーチ→コーチング事業を行う会社「THE COACH」の立ち上げと、密にコーチングに関わるようになりました。いまはTHE COACHを後任に引き継いで別の新規事業の立ち上げを行っているのですが、コーチングを学んだ経験はずっと活きています。

小泉:僕は、友人がコーチになったことがきっかけでした。大学院を卒業してからずっと博報堂という会社でコピーライターをしているのですが、あるとき、同期の友人が会社をやめてコーチとして活動しはじめたんです。それで試しにと友人のコーチングを受けたときの衝撃が、自分のなかで大きくて。「コーチング最高です!」といろんな人に勧めまくっていたんですよ。

そこから縁あって、いまはTHE COACHのブランディングのお手伝いをしていて、せっかくなら自分でもコーチングを学んでみたいなと思い、THE COACH ICPに通いはじめました。

柿迫:私は「内省を深めたい」と思い、コーチングを学び始めました

本格的に学ぶ以前から、会社のマネージャー研修などでコーチングの概念には触れていたのですが、そのときは「1on1で使えるスキル」くらいの認識でした。ただ、自分がやろうと思っていた事業が頓挫してしまったとき、あらためて「いま自分は何がしたいんだろう?」と考えたら「自分に向き合いたい」という気持ちが湧いてきて。自分の内側に潜る機会として、コーチングを学んでみようと思ったんです。

テーマ2. コーチングを学んで、変わったことは?

こばかな:コーチングで学んだことで、「質問が上手くなりたい」という最初の学ぶ動機は達成されて、それまでは気づかなかった表情や声色の変化にアンテナが立ち「あ、これ多分思ってないけど、言ってくれてるな」というように、心の機微を感じられるようになりました。相手の反応にあわせて質問の仕方を変えてみたり、深ぼってみたりという工夫もでき、より多くの気づきが得られるようになったと思います。

あと、人生において普遍的なものを学べたこと、考えられたことがすごくラッキーだったなとも感じていて。コーチングを入り口にして、自分の生き方や人の在り方といったところに深く入っていったことで、「自己の器」が育った感覚があります。

小泉:自己の器か…それに関連して言うと、僕はコーチングを学んでから「自分のなかで呪いがとけちゃったな」という感覚がすごくありますね。長く広告代理店で働いてきたからか「お客さんのニーズに答えてなんぼ」「広告賞を獲ってなんぼ」という価値観を持っていたんです。みんなに評価されなきゃ、どんな要望にも答えなきゃと、自分で自分に呪いをかけていたなと。40歳、50歳までこれを続けていくのかという疑問はあったのですが、見て見ぬ振りをしていました。

ただコーチングを学んだことで、自己との対話がものすごく進んだ。自分と向き合わなくちゃいけなくなって、キャリアや働き方について悩む時間が増えた。呪いが“とけちゃった”と言ったのは、それが理由で。本当に、めちゃくちゃ悩んだんですよ。

でも、自分のなかの疑問を見て見ぬ振りをしたまま走り続けていたら、将来的にもっと辛かっただろうなと思ってもいて。なので、いまコーチングを受けて呪いを解くことができて良かったなと。お客さんや賞といった外的なものでなく、自分のなかのエゴに気づけるようになった。それで、新しいことを学んだり、いろんなことに挑戦したり、自分主体でそういった何かを始めるきっかけになりました。

柿迫:素敵ですね。僕はコーチングを学んだことで、仕事がめっちゃ楽しくなりました。仕事を楽しむための要素って、ちゃんと評価される会社制度とか思い通りに動くツールとか、外部的な要因もあるけれど、一番大事なのってやっぱり内側なんだなと実感しました。

コーチングスクールに通って内省を続けるなかで、本来の自分に気付いたり、ビジョンを見つけたりしたことで、仕事に向けられる心の質量・エネルギーが増したように思います。今までの120%以上働けるような、楽しめるような、そんなパワフルな動力源が自分のなかに見つかったような気がする。コーチングを学ぶ前の自分とは、次元が変わるような変化が起こったと感じています。

テーマ3. コーチングをどのようにクリエイティブ活動に活かしている?

こばかな:私はコーチングを学んでからは経営にまわったので、デザインの仕事はほとんどやっていません。ただ、事業開発や会社経営は、広義のクリエイティブ活動クリエイティブだと感じているので、その観点から話すと、コーチングがクリエイティブに最も活きるポイントは「意思の部分」だと思っています。

会社の代表や経営層は「この会社をどうしていきたいか」「何のために事業を行うのか」という答えのない問いに答えを出していく必要があります。答えを持っていないと、会社の向かう先が不明瞭になり、メンバーも混乱するためです。わかりやすいところで言えば、会社のミッションやバリューなどですね。

ただ、その問いの答えは、根拠や前例なんてほとんどないもの。自分がどうしたいか?という意思に向き合って言語化していくしかない、アート・クリエイティブ的な領域だなと思います。そしてコーチングが活きるポイントでもあり、実際私自身、コーチングで学んだ内省の技術にかなり助けられました。

自分が何を作りたいか、どうしたいかを考える必要があるクリエイターが扱う領域と、コーチングが扱う領域は密接な関係にあり、良い相互作用が働くと実感しています。

小泉:こばかなさんの話に少し関連するのですが、僕はコピーライターという仕事をしているので、会社のビジョンやミッションに携わる機会があって。ただ、ビジョンやミッションって言葉止まりになるケースも往々にあるんですよね。それっぽい言葉をつけたものの、そこに体温を持っている人がいないというか、メンバーのモチベーションにつながっていないみたいな。

自分ももしかしたらそういった言葉を作っていたかもしれません。でも、コーチングを学んでからは「この言葉は、本当にみんなが動くことばだろうか」という視点を持てるようになった。人の内側にまで深く目を向けて、言葉を考える意識がついたように思います。

柿迫:僕のクリエイティブ活動は、コーチングにかなり助けられたと感じています。とくに変わったと思うのが「フィードバックの受け取り方」です。

クリエイターによくあるのが、アウトプットと自分がイコール関係になっているケース。自分の存在とクリエイティブが密接に結びついているイメージです。

その場合、何が起こるかというと、アウトプットへの評価とかフィードバックを受けたときに、自分が攻撃された・自分が損なわれたと感じて落ち込んでしまうんです。それで、クリエイターに復帰できなくなる人もたくさん見てきました。

ただ、僕はクリエイティブの質は、過去にフィードバックをもらった数、白紙に戻した数と比例して磨かれていくと思っていて。なので、フィードバックをストレスなく受け取る姿勢は、クリエイターにとってかなり重要なものだと考えています。

僕はコーチングを学び「なぜフィードバックで傷つくのか」が分かったことで、徐々にフィードバックを好意的に受け止められるようになりました。その影響で、フィードバックを受け止められる量と改善する速度があがったと思いますね。

テーマ4. クリエイターがコーチングを学ぶ意義とは?

こばかな:私の場合はデザイナーだったのでデザイナーの視点でお答えすると、クリエイターがコーチングを学ぶ意義は2つあると思っていて。ひとつは、デザイナーの役割でもある「課題解決」という側面。多くのクリエイターは自社がクライアントが向き合っている課題を解決するのが目的となると思うのですが、コーチングのスキルやマインドは、課題を特定するためのヒアリングや思考の手段として使えます。

もうひとつは、その課題解決につながる「自分の強み・特性」の理解にもつながるかなと。自分のアウトプットの強みや特性を把握することで、アウトプットの質が1段階も2段階もあがると思います。
今日、この座談会のなかで、コーチングを学んだ前後で「クリエイティブへの姿勢が変わった」という話が全員からでてきたことが面白いなと感じていて。コーチングを学ぶことでクリエイティブに変化が起こるという仮設が立っているので、最近行き詰まっているな
という方は、コーチングという手段を取ってみるのもいいかもしれません。

小泉:こばかなさんが言った「自分の強み・特性」の理解という話に通じることで、最近思っているのは、「好きなことを見つけた人は強い」ということ。自分のなかに、火がつくものを持っている人は、もうそれだけで生きていけるという感覚があるんですよね。その能力の良し悪しは関係なく。

クリエイターのなかにも、自分がやりたいことが見つからなくて、誰かからの要望がないと動けないという人が結構いると思うんです。自分の色を出したいけどどうしたらいいか分からない、自分のポジションが見つからないと感じてモヤモヤし続ける人も多いと感じています。

そのなかで必要になるのって、自分との内省であり、対話だと思うので、コーチングはクリエイターにとっての道標になりえるんじゃないかなと。クリエイターとして長く生き続けるために必要な軸を探すツールとしてコーチングを学ぶのはすごくおすすめです。

柿迫:わかりますね。また、今日を通じて自己との対話、内省に役立つという話を続けてきたのですが、クリエイティブの質を決めるのって多くの場合、チームの関係性だと思っていて。クリエイターがコーチングを学ぶ意義はそこにもあると思います。

僕の前職であるGoodpatchのバリューの説明に「偉大なプロダクトは、偉大なチームから生まれる」という言葉があるのですが、本当にその通りだなと。

多くのすぐれたクリエイティブは、関係性が強いチームから生まれている。そして、コーチングはチームと良好な関係性を結ぶためにも使える。自己との対話の先に、他者との対話があるから。

どんな状況でも、どんな人とでも、自分が起点となって最高のクリエイティブを生み出せるチームが作れるようになる。それはもう至高のクリエイターの姿だと思うんです。

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