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インクルーシブなサービス立ち上げの裏側に迫る:【ALLな視点〜ソーシャルインクルージョンの解剖学〜】 Vol.1レポート

2021年10月24日(日)、『Play fashion! for ALL』(株式会社アダストリア)とTHEATRE for ALLが協働し、インクルーシブな取り組みを紹介するトークイベントシリーズの第1回を開催しました。
テーマは、「インクルーシブなサービス立ち上げの裏側」。福祉、企業の視点からインクルーシブなビジネスの立ち上げと実践を紐解いていきます。『Play fashion! for ALL』のプロジェクトリーダーの坂野世里奈さん、THEATRE for ALLの統括ディレクターの金森香、そしてゲストとしてGood Job!センター香芝 センター長の森下静香さんにお話を伺いました。

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「ALLな視点」について

昨今、SDGsやソーシャルインクルージョンへの取り組みが企業方針にも組み込まれることが当たり前になり、様々な企業や個人がプロジェクトを立ち上げ、実践しようとしています。
このイベントは、同じ志をもつプロジェクトの担い手同士でゆるやかに集まり、互いに後押しし、情報交換をしあうための場をつくりたいという想いで、30以上のブランドを展開する株式会社アダストリアの『Play fashion! for ALL』とタッグを組み、3回シリーズでお届けするオンラインイベントです。

坂野世里奈(株式会社アダストリア)
データアナリスト/博士(学術)/衣料管理士
1982年生。父の介護の経験からすべての人がファションを楽しめる社会を創りたい!という強い想いで新規事業に向けてPlay fashion! for ALLを立ち上げる。
大学卒業後アパレルでの販売、大学助手を経験後2子を出産。ファッション意識の数量化解析をテーマに博士取得。ITベンチャーを経て現在、株式会社アダストリアでデータアナリストとしても活動。
https://www.adastria.co.jp
『Play fashion! for ALL』とは
株式会社アダストリアのインクルーシブファッションプロジェクト。 インクルーシブファッションとは、障がいの有無、年齢、ジェンダーに関わらず、すべての方を孤立させず包摂することを目指すファッションのことを指す。誰もが「同じじゃない」という当たり前を、もっともっとファッションにも取り入れたい。すべての人が、ファッションをもっと楽しめる社会を創りたい。そんな想いからスタートしたプロジェクト。
https://playfashion-forall.jp/
森下 静香(Good Job!センター香芝 センター長)
Good Job!センター香芝センター長。たんぽぽの家にて、障害のある人の芸術文化活動の支援や調査研究、アーロプロジェクトの企画運営、医療や福祉などのケアの現場におけるアートの活動の調査を行う。2012年より、アート、デザイン、ビジネス、福祉の分野をこえて新しい仕事を提案するGood Job!プロジェクトに取り組む。Good Job!プロジェクトでは、2016年度グッドデザイン賞にて、金賞受賞。編著に『インクルーシブデザイン−社会の課題を解決する参加型デザイン』、『ソーシャルアート−障害のある人と社会を変える』(いずれも学芸出版刊)など。
http://goodjobcenter.com/
金森 香(THEATRE for ALL 統括ディレクター)
(株)precog 執行役員/広報・ブランディングディレクター
出版社リトルモアを経て、2001年ファッションブランド「シアタープロダクツ」を設立し、2017年まで取締役。2010年NPO法人DRIFTERS INTERNATIONALを設立し、芸術祭の企画運営・ファッションショー・出版企画などをプロデュースする。2019年日本財団主催「True Colors Festival – 超ダイバーシティ芸術祭 – 」のディレクターを担当。2020年にprecogに参画し、アクセシビリティや広報・PR、ブランディング事業等を担当。バリアフリーのオンライン劇場「THEATRE for ALL」統括ディレクター。

配信会場の株式会社アダストリア本社のヒカリエ27階「A CAFE」には、『Play fashion! for ALL』の坂野さんと司会の関(THEATRE for ALL 事務局)、そして、オンラインでTHEATRE for ALLの統括ディレクター金森が登壇し、それぞれのプロジェクトの成り立ちや現在について紹介しました。
また、今回の特別ゲストである、Good Job!センター香芝の森下さんにはオンラインで奈良からご登壇いただきました。障害のある人のアートやデザインをいかした商品づくりや販売など、インクルーシブなサービスに早くから取り組まれてきたGood Job!センター香芝さんの企業との共創事例や、今取り組んでいらっしゃる「エイブルアート・カンパニー」という企業に作品をデザイン利用してもらう仕組みや、「loTとFabと福祉」という福祉×現代技術の実験的な取り組みなどについてもお話いただきました。
終盤には、ご登壇いただいた3名でのトークセッションも行いました。

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インクルーシブなサービス立ち上げに必要な“人とのつながり”

トークセッションでは金森香がファシリテーターをつとめ、これから事業を始める人に向けたキーワードを紐解いていきます。

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Q 金森
「プロジェクトを進めるにあたり、インプットの方法や参考にしているものは?」

坂野さん
「私は企画書をまとめる段階から、あらゆる専門家や障がいを持つ方などに協力いただき、多くの人からインプットをさせていただきました。今でも生産からSNS運用まで、社内外のさまざまな意見を頼りながら、プロジェクトを進めています」

森下さん
「私たちは進めているプロジェクトに関しては、いろいろな分野の人たちとのネットワークから人やモノ、新しい取り組みなどの情報を得ることが多いです。その先はネットなどで調べることも多いです。また最近では、障害とアートという分野については、いろいろなセミナーなどが開催されていて、オンラインで学ぶ機会も多いです。」

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Q 参加者からの質問
「どのようにサービスの当事者へ、情報を届けてますか?」

森下さん
「たしかに地域と福祉、アートをかけ算する時って、単にWebサイトで募集しても届いてほしい人に告知が届かないんですよね。そこで“翻訳”をしてくれる人、つまりアートと地域、アートと福祉の両方の事情を理解している人の協力を仰ぐことが多いです。片方だけではなく、両方に精通している人がいることで、当事者へアプローチできることは多いです」

坂野さん
「私のプロジェクトの場合は、発売前のクラウドファンディングが効果的でした。実際の支援者はそこまで多くなかったものの、Facebookでのシェア数が多かったんです。『試着会に友人を招待したい』という声もあり、コミュニティが人づてに広がっていくのを感じました」


限定的なコミュニケーションを用いた交流会

その後、任意参加でのzoomの交流会に移動し、登壇者と参加者での交流の場を設けました。少人数に分けれたうちの1つの部屋では、聴覚を介さないチャットのみのコミュニケーションを体験する部屋を用意し、新鮮なコミュニケーションを楽しんでくださった方もいらっしゃいました。

ご視聴いただいた方からは、「企業の視点からのお話はあまり聞けないので勉強になりました!」という感想や、「みなさんが『人とのつながり』を挙げられていたのがとても興味深かったです。地道な取り組みの先に、より多くの人が楽しめるサービス・製品があるのだと感じました。」といった感想もいただきました。

アーカイブ映像はこちらからご覧いただけます!

次回の「ALLな視点〜ソーシャルインクルージョンの解剖学〜」の第2回目の開催は、冬頃を予定しています。
次回情報は以下のPlay fashion! for ALLとTHEATRE for ALLのSNSなどで発信いたしますので、お楽しみにお待ちください!

文(トークセッション部分):高木望


◆Play fashion! for ALL(公式サイト、SNS)
https://playfashion-forall.jp/

Instagram https://www.instagram.com/playfashionforall/
Twitter https://twitter.com/PFforALL
Facebook https://www.facebook.com/playfashionforALL/

◆Good Job!センター香芝
http://goodjobcenter.com/

・Good Job!プロジェクト
https://goodjobproject.com/

◆THEATRE for ALL
https://theatreforall.net/

・株式会社precog
https://precog-jp.net/


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