九龍漫画へ向けて vol.6「そもそもなんで九龍なのか?」

九龍城を舞台にした漫画を描こうと思った理由を今更ながら書いておこう。

私は今まで行った中で忘れられない場所として「川崎ウェアハウス」というゲームセンターがある。そこの内装のモチーフはまさにかつての九龍城塞であり、私はそこの世界観にすごく惹かれた。

何本も盗電用の配線が天井を這う、薄暗くいろんな匂いの立ち込める通路。床には注射器やガラスの破片がところどころ落ちていて、その上を歩くとジャリと音がする。通りに面した格子窓から、不規則に閃くテレビの光が漏れている。その通路を、深めのフードを被った青年が歩いている。

そんな光景が目に浮かんだ。呪術的なテイストで想像したのを覚えている。

あと、あそこの裏社会感、アンダーグラウンド感に魅かれたのだと思う。隠されたものは覗きたくなる。窓やドアが開いていると覗きたくなる。覗いた先になにがあるのかはまだわからないけれど、それを今自分の中に探しているところだ。

あと私は中華系の家のベランダが好きだ。細い鉄柵が狭い間隔で建てられている、それが何軒もワァーっと連なっているともうワクワクしてしまう。

そういうかすかな好きを追いたくて、今回は九龍を舞台にすることに決めた。


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