読書感想文 『1000%の建築 つづき』
自分のなかでもう一度、建築への興味波が来ている。
前回の興味波が来たときに、複数の建築家をSNSでフォローし始めたが、発信頻度や活動の広さから、谷尻誠さんのことがずーっと気にはなっていた。
Youtube で氏主催の THINK の様子がアップされているが、小橋賢児さんの回が素晴らしく、グッと興味波に引き寄せられた。
脇道にそれますが、この動画は本当に良くて、小橋さんの悲観するわけでも楽観するわけでもなく、清々しく過去を語り今を生きている感じに勇気をもらえます。
もとい、以前からこの本の存在は知っていたが、改めて購入してみた。
自分の中での谷尻さんのイメージは、不可能性から可能性を見出したり、逆境を楽しんでいる、といった感じで、今し方、本を通してそういう姿勢を体験したかったんだろうなぁと自己分析している。
1時間で集中して読み終わったが、パワーワードが多すぎて困った。
なので、自分のアンテナに強く引っかかった部分に絞って、気づきと感想を記したいと思う。
使い方を間違える才能
子どもの頃、釣り竿を凧あげリールとして使っていたことを記していた。
確かに自分の子どももコップを帽子にしてみたり、メガネにしたり、いろいろ遊んでいる。
”間違える”と表現しているのは、想定されている使い方ではない、と解釈すると、想定を超えた使い方ができる才能、ともいえる。
想定を超える、というのは、不可能を乗り越えるときに役立つのではないか。
不可能、というのは "今の知識・常識" で不可能なのであって、常識をナナメから見ることで可能が見えてくるかもしれない、と勇気付けられる。
空気が「読めない」ことは残念なことですが、「読まない」ってのは自分の意志です。
たぶん、だけど空気を読めない人と、読まない人の区別は、大体の人はできるんじゃないかな。
だったら所謂、「読めない」人に見られるんじゃないか、という自意識はそこまで必要じゃないんじゃないか、と僕は思う。
谷尻さんが言いたかったのは、本気で相手のためになると思ったことがあれば、それをちゃんと伝える、ということだった。
これは、それぞれの生き方、の問題になってくるので、正解があるものではない。
リビング以外のことを考えることがリビングを考えること
これは自分の言葉にしたいぐらいいい言葉だなぁ。
生きていく中でいろんな場面で使えると思う。パクって実践しよう。
もはや、あらゆる設計活動すべての革新を突いているとさえ思える。
仕事以外のことを考えることが仕事を考えること。
自分以外のことを考えることが自分を考えること。
深い。
建築をやっている人って、やっぱり理系の技術者でありながら、同時に詩人だと思うんです。
これは対談の章で糸井重里さんが発していた言葉。
うん、僕が建築家に惹かれた理由をまっすぐ言語化していて、頭パッカーンとやられた。
僕は、建築そのものに惹かれるというよりは、どうやってその建築が成り立っているのか、というその意味に惹かれる。
顧客や使う人の意図、まわりの環境・歴史を汲み取って、それを現実的に成り立つ建築物として具体化する。
具体的なものから、言葉として抽象化し、最後に創造物として具体化する。
MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO の原田さんに惹かれる理由も詩人らしいそれだ。
建築物はアートや音楽とは違って、物理的に圧倒的に無視できない存在となる。
それに対して責任をもって、意味を吹き込んでいく姿が尊いなぁとつくづく感じる。
建築、作ってみたいなぁ。
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