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“海の食の未来を明るくする方法はまだあるはず” しほ / 京都女子大学 3年/ 京都チーム

THE BLUE CAMPに参加する学生たちを、それぞれがエントリー時に提出した自己紹介およびエッセイとともに紹介します。京都チームは、高校生1名、調理学校生1名、大学生5名(うち1名水産研究)の計7名です。

"海の食の未来を明るくする方法はまだあるはず"

今回紹介するのは 中上志穂(しほ) です。

彼女は中学生まで舞鶴で育ち、食卓には必ず魚があった環境で過ごしていました。しかし、あるきっかけからその当たり前の環境がどんどんと崩れていってしまっている海の現状を知っていくこととなり、今回未来を考えるためにキャンプに参加してくれたそうです。明るい彼女と話ししていると、どこか前向きな気持ちになることができます。悲観的な現実にも向き合わなければいけないこのキャンプでも、”まだできることがある”という彼女の前のめりな姿勢が、何かを変えてくれるのではないかと希望を抱かせてくれます。

応募時 自己紹介

NHKスペシャルの「2030 未来への分岐点」という番組を見て日本の食糧危機が目の前に迫っていることを知り、他人事ではいられないと思いました。それがきっかけとなり、食に関連する講演会に参加したり、農家さんから現場の声を聴いたり、書物を通して自分ができることは何かと考えるようになりました。

自らが生産の担い手となり、日本の食の未来を守りたいと強く思うようになり、無農薬栽培をされている農家さんのもとでボランティアを始めました。活動していく中で、生産者と消費者の距離を縮め、地域経済を活性化できれば日本の食の未来は明るくなるのではないかと思うようになりました。生産者と消費者をつなぐ橋渡し役になりたいと思って考えた末、農家さんと商品開発をするという決断に至りました。今もまだ模索しながら準備を進めているところです。

2回生の秋に訪れた岐阜県高野市で、りんご農家さんにお会いしたことが大きなきっかけとなりました。その方はりんごの生産だけでなく、加工、販売までされており、これが六次化産業というものなのかと思いました。小さな町なのに地域の住民が生き生きしているように見えたのは、地域内の経済がうまく回っており、生産者間、生産者と消費者間の縦と横のつながりができているからだと感じました。

しかし、実際そこまで手が回らないという農家さんの声を多く聞きました。食べることも作ることも大好きという私の長所を生かせる時かもしれないと思い、今も奮闘しているところです。

応募時 エッセイ 
「海と食の未来について思うこと、取り組みたいこと」

私は中学生になるまで舞鶴市という京都北部の海に面した町で育ちました。海を見ること、泳ぐことが大好きで、夏になると毎年、時間を忘れるくらい一日中海で遊んでいたのを覚えています。ほとんど毎日、母が魚料理を作ってくれていたこともあってか、魚が食べられることを当たり前のように感じていました。しかし、気が付けば食卓からほとんど魚が消えていました。海とともに生きてきたはずなのに、海の世界について何も知らなかったし、知ろうともしていませんでした。

そんな私にきっかけを与えてくれたのが、縁あってお会いした和歌山県田辺市のヒロメ研究家の方でした。ヒロメという海藻を知ったのはその時が初めてでしたが、こんなに美味しい海藻なのに、ほとんど知られていないということが驚きでした。食べられるのに様々な理由から市販されていない海藻や魚介類がたくさんあることを教えて頂きました。また「もち鰹」という紀南の名物にもなっている鰹を食べさせて頂き、名前通りのモチモチした食感と、その美味しさに感動しました。鰹は少し生臭くて口に少し味が残るような印象がありましたが、全くありませんでした。同じ魚でもしめ方によってこれほど味や食感が変わるのか、と衝撃を受けました。海の食の可能性を感じたとともに、もっともっと海について知りたいと思いました。

そんな時にこのTHE BLUE CAMPというプロジェクトがあることを教えて頂きました。この活動で海の食の未来を作る一員になりたいと思い、応募させて頂きました。漁獲量の減少、漁業者の担い手不足など、悲観的になりそうな問題ばかりが目立ちますが、海にはまだ私たちが知らない食がたくさん眠っているのかもしれないと思うと、海の食の未来を明るくする方法がまだあるのではないかと感じます。スーパーでは厳選された海産物のみが販売されていたり、その土地でとれた海産物よりも他の地域や世界から運ばれてきたものの方が多く店頭に並んでいたりすることに違和感があります。

しかし今、どんな選択をすれば持続可能な海に近づけるのか、正しい選択なのか、正直分からないというのが本音です。環境と食の問題は密接に関わっていますが、田辺の里海づくりを学ばせて頂き、環境保全の活動だけでなく、利用の大切さに気付きました。だからこそ、私の好きな料理の面から何かできることがないのか、皆さんと一緒に考えていきたいです。

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