見出し画像

【感想】UI GRAPHICS 成功事例と思想から学ぶ、これからのインターフェイスデザインとUX

初見の感想です。私自身に関連度と興味が強い箇所をピックしています。

デザイナーはマテリアルデザインのマナーに則ることにより、プロジェクトごとにトーンマナーや文字サイズ、グリッド設計などに、過度なリソースを費やす必要がなくなる。

その分、扱うデザイナーの資質が試される。とても残酷。

Googleが発表したマテリアルデザインは、紙や物理のルールを骨格に、既存のデザインにおいてセンスとして説明されていたものを、エンジニアリングしたものである。

前述同様、センスが可視化された功績は大きいが、その代償は甚大だ。また、可視化できたと云うことは、デザインと経済はとても密接であることを証明している。

日本の伝統芸能における守破離のように。まずはマテリアルデザインのルールをしっかりと守り、勘所がつかめてきたところでルールの破り方を覚え、マテリアルデザインの根底をそのままに制約から離れることを目指す

デザイナーであれば当然の行為。デザインはとても保守的だが、ひとつマイナスをしたら前衛的な立ち位置をキープしなければならない。

動きの連動という情報のみで「それが自分である」という感覚、つまり自己帰属感を確認できた。
(中略)
動きに遅延を入れると、たとえば500ミリ秒程度であっても、数秒で発見できた自分のカーソルの発見が急激に難しくなる。さらに遅延を入れていくと、もはや発見は無理に等しいほど難しくなり、自分で操作しているかもわからない感覚、勝手に動いている感覚になる。

なぜ視覚的な情報(カーソル)に自己帰属感が生まれるのかを証明。この自己帰属感をデバイスの中で設計する能力が2020年代のデザイナーのデフォルトである。

グラフィックデザイナーは、ウェブ上の本文テキストの巨大さに驚く。
(中略)
行の高さはさらに調整が必要である。
(中略)
iPhoneよりも、人はiPadを若干遠くに持つ。

本文のテキストサイズを能動的に考えることが難しいが、解決のヒントはマテリアルデザインが提示している。

ウェブデザインは工学だ。
(中略)
ウェブサイトをデザインすることと雑誌をデザインすることには差がある。その差は必要とされるデザインの差である。

設計する行為は同一だが、実装する方法が異なる。ウェブデザインは塊の戦略(サッカー的なもの)で設計する。グラフィックデザインは個人戦(陸上競技)で設計する。自ずと単品で見た場合の完成度はグラフィックデザインの方が高い。そしてウェブデザインは単品での完成度を求めていない。仮にウェブデザインで単品の完成度をグラフィックデザイン並みに仕上げた場合、それは使い勝手において必ず破綻する。

途中挟み込まれるテキストと最終章のUI GRAPHICS ARCHIVEは、巷に出回っているUXDの専門書を要約したかのような優れた文献が複数寄稿されている。これらを要件定義として、掲載されてる事例集を読むとより深くデザインに没入できる。


この記事が参加している募集

読書感想文

よろしければサポートお願いします!おいしいコーヒー探しにいきます☕