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【UXデザインの現場から#2】UXデザインを理解する

「UXデザイン」を「UX」、「デザイン」に分解しそれぞれを可視化します。この結果を結合することで、「UXデザイン」を可視化してみます。

UXとは

UXとは、User eXperience(利用者体験)の頭文字のをつなげた言葉です。利用者側から見ると、プロダクトを通してどんな体験を得ることができたかを表し、提供側から見ると、プロダクト通してどんな体験を届けたいかを表します。後者がが明確(可視化)だと、前者のは素晴らしい成果を残せます。反対に、後者が明確でない(可視化されてない)と、前者の結果はとても気まずいものになります。これがUXです。

よいUX、悪いUX

UXの良し悪しは利用者が判断します。使ってみたプロダクトが良かったか・悪かったかというシンプルなものです。使ってみて良かったプロダクトはまた使いたいと思ったり、共有したいと思ったりします。よいUXのプロダクトは使い続けられて、拡散する可能がとても高く、悪いUXのプロダクトはひっそりと幕を下ろすのが運命です。

UXをデザインする

UXの概略を解説したところで、よく見聞きする「UXデザイン」という言葉に移ります。文字通り、UX(利用者体験)をデザイン(設計)するという意味です。専門的なアプリケーションを使って画面や紙面などのパーツを作ったり、全体をデザイン(構成)していくことではありません。

「プロダクトを通して利用者に●●●な体験を届ける」ことを達成することで、「届けられる体験をよりよくする」状況・環境つくりを目的にします。

そのために、どんな仕掛けが必要か?を、検討・分析・考察し、実行します。UXデザインとは仮説を元にプロダクトを実行し、そこから得られるフィードバック元に、仮説を再構築しプロダクトを実行し、そこから得られるフィードバックを…というサイクルを繰り返します。

UXデザインの「デザイン」を可視化する

レイヤーもう一段下げます。デザイン(設計)するということについて解説します。デザインとはとても便利な言葉です。画面や紙面のパーツを作ったり、全体を構成することもデザインと呼ばれます。「UXデザイン」の「デザイン」は広義では同じようにデザイン(構成)として解釈もできますが、前者はテクニック、フィジカルの要素が強く、後者は思考、メンタルの要素が強くなります。

下記の数式を見てください。

A.5x8

B.10x4

C.(2+2)x(1+3+6)

D.1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1

E.2x³√5

いずれも答えは「40」です。つまり「40」と伝えるための方法、「40」を伝えるデザインです。
同じことを伝えるのに、その表現の仕方は様々です。

A.、B.、これは考えなくても反射的にすぐわかります。では、C.以降はいかがでしょうか。
C.は少し立ち止まる必要があり、D.は根気よく付き合う必要があり、E.は数学が多少なりとも好きでないと「40」に辿り着くことができません。
デザインでは、原則的に初見で理解させる構成が求められます。つまりA.またはB.が求められます。そして、A.とB.とではどちらが早く「40」に辿り着けそうでしょうか?8x5、4x10のどちらの方がよいのでしょうか?こんなことを考えてつくります。余談ですが、個人的な印象では、A.5x8を処理するのがベストだと思います。

よいデザイン、悪いデザイン

デザインを可視化すると、よいデザインと悪いデザインが分かってきました。
デザインは伝えたいことを、伝え方を通して設計する、発信者・受信者の間で使う共通言語です。
伝えたいことの分解の仕方は、何通りもあります。この分解をいかにシンプル且つわかりやすいものにするか。これがよいデザインと悪いデザインの別れ道です。

「40」を伝えるのに

5x8 は、よいデザインです。

1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1 は、悪いデザインです。

2x³√5 は、偏った層に向けてのプロダクトであれば、良いデザインかもしれません。

よいUXデザイン、悪いUXデザイン

最後に、レイヤーを一つ戻り、前述したUX、デザインそれぞれの仮説を合体させます。

よいUXデザイン

プロダクトを通して得られる「体験」が、分かりやすく・シンプルな「よいデザイン」且つ、利用者にとって「よい体験」を提供するツールであること。

悪いUXデザイン

プロダクトを通して得られる「体験」が、分かりにくく・複雑な「悪いデザイン」且つ、利用者にとって「悪い体験」を提供するツールであること。

気をつけないといけないこと

「この商品は●●●な便利な機能が詰まっている。きっとすごいことになるぞ!」

これはUXではありません。

「この商品はお客様の●●●な課題を解決する機能があり、お客様をハッピーできる(仮説の作成と検証)」

これがUXです。

UXの主人公は「利用者」です。一方で、UXデザインを考える主人公は「提供者」です。UXを作る際、主人公が行ったり来たりするパラレルワールドになります。気がつくと「提供者」側の目線だけで進んでしまいがちなります。

まとめ

UX、UXデザインという言葉を掘り下げてみました。では、よいUXを実現するために何をするのか?これに関してはさまざま手法があります。機会をみて一つずつ解説していければと思います。

私の仕事についての記事では、手法に関しての概要にも触れています。よろしければ御覧ください。

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