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自分のやりたいこと① - 大学生編

僕がいつもボランティアで活動しているNPOのメンバーに大学生がいる。
話を聞くと、これから就職活動が本格的に始まるそうだ。
僕がアドバイスをしようと、その大学生に自分の将来やりたいことを聞く。
わからないらしい。そして僕も対応に困る。

大学4年生の僕はどうだったか、同じように自分のやりたいことなんて明確に見つかっていなかった。きっと社会人になればやりたいことが見つかるだろうと思っていた。
しかし来月から社会人5年目になるがまだ明確に見つかっていない。
自分のやりたいことなんてどこにもないじゃないかとさえ思う。

就職活動の時に自分の周りがやりたいことを見つけてよく熱く語っていた。

「いいなー、やりたいこと見つけることができて。」と僕は言っていたが、

僕はひねくれているので、心の奥でそんな簡単にやりたいことなんて見つかるのか?と思った。

大学生の僕は僕も働けばきっと何か見つかるだろう。そう思っていた。
しかし今、まだやりたいことが明確に見つかっていない。
ただ、僕はその時々でベターな選択を繰り返してきただけだった。

僕は私立大学の理系学部に入った。応用化学科という白衣を着て実験室で試験管を振る学科だった。理系は基本的に修士号を取るため大学院に行く。僕は大学院では違う大学院に行きたいと考えていた。

入試科目に英語があったので留学をして英語を鍛えることにした。
大学を休学してフィリピン、カナダに留学をした。
留学生活の中で途上国の勢いや北米のグローバル企業などを実際に見て肌で感じてビジネスに興味を持った。

結局、大学院に行かずに就職活動をすることにした。
大学生のやりたいことはすぐにコロコロ変わる。卒業した後になって気づくのだが、その後の人生に大きな影響を与える意思決定を簡単にしてたりする。

就職活動ではやりたいことも特に明確ではなかった。ただ有名な企業に行きたいという気持ちだけあった。親もそれを望んでいた。エントリーする企業も一貫性がなく商社、金融、メーカーなど、とりあえず上場企業を受けた。

有名な企業で規模の大きい仕事をできたらいいと漠然と考えていた。
就職活動をやっていく中で、通信業界の専攻がスムーズに進んで、どうやら僕とフィットしていることがわかった。結局、今の会社から内定をもらうことができた。もともと第一志望ですごく行きたい企業ではなかった。しかし選考がスムーズに進んで内定がもらえて、自分も意識するようになり気づくと企業のことを好きになっていた。(恋愛もこれと似たようなことがあると思う)

そして就職活動を終えた。

数か月後、内定者懇親会があった。東京の豪華なホテルのホールを貸し切って行われた。内定者とそこで初めて会った。採用面接では自分と面接官だけだったし、大学でも自分と同じ会社は自分しかなかった。初めて自分以外の内定者と会い、想像以上の人数にびっくりした。すごい人数だった。

懇親会ではテーブルごとで話をした。自分より偏差値の高い大学の人が多くいた。自分の唯一の武器だった英語も役立たずで、他の人も留学をしていた人ばかりだった。偏差値も高くて英語もできる。自分はこの中でやっていけるのだろうか?と不安になった。

他の内定者に希望の配属先を聞くとみんな口をそろえて、マーケティング、法人営業、国際営業、と言っていた。たぶんどこの会社も同じだと思う。とりあえずキラキラしてそうな部署。自分も国際営業に希望していたが、彼らの話を聞いて、そんな中でやっていける自信をなくした。

今振り返ってみると学歴はあまり関係ない。ただ当時の自分は学歴=仕事ができると思っていた。

懇親会の翌日、滋賀に戻りすぐに大学の図書館に行った。

テスト期間ではないので図書館はガラガラ、人がいても机で寝てる人だった。

図書館に来た理由は、自分のやりたいことを見つけるためだった。

数か月後に僕と人事の面談が予定されていた。内容は希望部署のヒアリングだった。僕は国際営業を希望するつもりだったが、懇親会でやっていける自信をなくしたので改めてどこを希望するか考えることにした。

うちの会社ってどういう特徴があるのだろうか?と久しぶりに就活ノートを読み返した。最終面接に向けて準備をしていたときの新聞のスクラップが貼ってあった。それ以外にも昔の新聞を集めて調べると、うちの会社はM&Aや資金調達が多いということがわかった。

(今思うと、新聞に載るような内容は規模がデカい案件なので、M&Aや資金調達に決まっている。もしくは莫大な投資の新規事業なもの。)

M&Aや資金調達はこの会社の強みでこの部署にいけるとおもしろいに違いないと思った。しかし、M&Aが実際にどのようなことをするかよくわかっていなかった。ただ企業買収ということしかわからなかった。

僕は他の同期がやっていないようなことを探していただけだった。
財務にいくぞ。と簡単に決めた。

決めたのはいいが、僕は理系で商学部や経営学部でもなかった。人事に希望を出しても実際に配属される可能性は低いと思った。何かアピールできるものが必要だった。配属希望ヒアリング面談までに取れる会計資格がないか探した。
簿記検定は残念ながら間に合いそうにない。そして見つけたのがBaticという英文会計だった。これは非常に簡単で2週間くらい勉強すれば取れる資格だった。
すぐに僕は申し込んで勉強して資格を取った。

そして迎えた配属希望ヒアリング面談。

僕は財務希望です。資格はあります。英文会計の資格です。
とひたすら人事にアピールした。M&Aなんか最初から新卒はできないし、財務自体あまり人取ってないので希望通りいくかわからないよ。と言われた。

希望が叶うかわからず不安な日々が続いたが、
結局、新卒配属は財務配属になった。ラッキーだった。

ギリギリ滑り込みセーフ。

振り返ると、大学生の僕は他の同期に劣等感を感じて、他の人と違うことがしたかっただけだった。それがその時の僕のやりたいことだった。


つづく


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