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『トゥレップ ~「海獣の子供」を探して~』の伝えたい事。

五十嵐大介原作のアニメーション映画『海獣の子供』を制作しているSTUDIO 4℃が手掛ける初の実写映画『トゥレップ ~「海獣の子供」を探して~』を見てきた。

タイトルから『海獣の子供』のスピンオフかと思われる方も居るかも知れないが、単品でも興味深い作品になっている。

この「トゥレップ」と言う言葉は作中でも語られるがマーシャル語で「目的のある旅」「航海」を意味し、アイヌ語にも同語で「オオウバユリ」を表す言葉があるそうだ。オオウバユリはアイヌの主食で神様の贈り物、命を繋ぐものを意味するらしい。

失踪した双子の兄の行方を追う手掛かりとして彼が残したビデオを再生して物語が進むと言うドキュメンタリー仕立ての映画。
余談だが、失踪した兄を演じる森崎ウィン。どこかで見た事があると思ったら『レディ・プレイヤー1』トシロウ役の方だった。

ビデオの再生と言う体裁で五十嵐大介(海獣の子供の原作者)、中沢新一(人類学者)、佐治晴夫(理論物理学者)、二木あい(水中表現家)、長沼毅(生物学者)、名越康文(精神科医)、田島木綿子(獣医学博士)がそれぞれの立ち位置から人類と海洋、生物、世界、進化等について語り、マーシャル諸島の映像や現地の人が語る伝承等で構成された映像を主人公である妹が理解していくと言う短編小説のような映画でとても観易い。

しかし面子が面子なので内容は非常に濃い。

我々はどこから来て、どこへ向かって行くのか。

勿論、テーマについて本作で明確な回答は無い。
しかし観た人は何か感じ取る事が出来るはずだ。
人類が未来へ向かって進んで行くにあたって、大切なキーワードがいくつも散りばめられている映画だった。




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