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街のインフラとして、できることを

コロナ禍の中、緊急事態宣言も5月末まで延長されることが決定し、経済も人々の生活もこれまでに類を見ないほどの影響を受け、変化を余儀なくされています。4月の上旬より直営全店舗の休業を決定したTHINK GREEN PRODUCEも、この未曾有な事態のなかで自分たちができることを考え、話し合い、実践してきました。そして5月7日より、一部の飲食店・宿泊施設の営業を再開することにしました。ウイルス感染防止の観点を最優先に、政府や各地方自治体の方針に従いながら、各店舗の状況にあわせ、できる範囲でお店のとびらを開けていきます。その根底にあるのはTHINK GREEN PRODUCE独自の「街のインフラとして、人々の生活に寄り添う」という思いです。各店舗に先駆けて4月末に再始動した代官山のGARDEN HOUSE CRAFTSを題材に、そのフィロソフィーについて、代表関口正人が語ります。

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お店や商業施設のあるべき姿とは

この未曾有の事態の中、飲食店を営む私たちは何をすべきで、どうあるべきか、そして実際何ができるのか、試行錯誤、自問自答してきました。その一つの結論として5月7日から一部の直営店の営業を再開します。それはそもそもどんな思いでお店を始めたのか、という原点に立ち返ることでもありました。まずGARDEN HOUSE CRAFTSの話をする前に、GARDEN HOUSE CRAFTSの店舗がある商業施設、ログロード代官山の紹介をさせてください。ログロード代官山は東急電鉄さんによる東急東横線の渋谷〜代官山間の地下鉄化に伴う線路跡地再開発プロジェクトで2014年に発足、弊社はこの施設の企画開発・設計に携わることからスタートしました。よって、GARDEN HOUSE CRAFTSの開発前にログロード代官山という商業施設の開発があったということになります。通常の飲食店開発のように何屋を作るか?どこでやるか?ではなく、線路跡地を活用して何を作るか?という「街づくり」の一環として始まったという背景があります。

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不動産業と飲食業二足のワラジの意味


そもそも弊社は不動産業をベースとしてきました。現在では飲食店や宿泊施設の運営も多数手掛けておりますが、その中でも「街づくり」視点を忘れぬよう心がけています。長年、不動産業界で「街づくり」を探究し続けたことで、いい街をつくるためには、世の中の景気やマーケティングなどのマクロな視点だけでなく、その街に根付く文化、地域の人に愛されるお店、憩いの場所など、ミクロな視点も必要なのだと気がつきました。また、街にはそれぞれ特徴があり、将来像もひとつとして同じものはありません。どういう街をつくりたいかを追求すると、自ずとその地域に必要なお店も変わってきます。カルチャーをつくるために、どんなコンテンツをつくるか。その双方の視点と絶妙なバランス感覚を磨くために、自社で直営事業を開始したのが2012年、鎌倉にあるレストランGARDEN HOUSEでした。

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街をつなぐ機能を維持

話をログロード代官山とGARDEN HOUSE CRAFTSに戻しましょう。まず申し上げた通り、ログロード代官山は旧東急東横線の線路跡地です。本来、線路は街と街をつなぐ役割を担いながらも、逆の視点でみると街と街を分断するような側面もあります。その線路が地下に入ることで、街を繋ぐ役割を残しながら、分断する要素を取り除ける。街と街をつなぐ公園のような道を、ということからログ=木製、ロード=道というところに行き着きました。しかし、そこに建物だけつくっても機能しません。中身のコンテンツにも街をつなぐ要素が必要でした。そこで、日常的かつ気軽に人が集まれ、人の温もりやつながり、生活の一部となれるようなお店は?と考えた結果、ベーカリーカフェになりました。
弊社が運営していたレストランGARDEN HOUSEも同じようなコンセプトを掲げていたので、新業態としてベーカリー、店名に「CRAFTS」をつけ、オープンさせました。CRAFTSクラフツの直訳は民芸ですが、それを広義に捉え、「物作り」や「手作り」という素材にこだわるという意味と、「物づくりをする人たち」や「お店はお客様と一緒に作っていくもの」という人と人のつながりに貢献したいという思いを込めて、CRAFTではなくCRAFTS、複数形にしました。

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街のインフラとして、これからのあり方を模索したい

前段が長くなりましたが、私自身、この自粛期間中、自宅で過ごす時間が長くなり、改めて食や生活に関して再発見することがたくさんありました。オンライン通販の利用や食料品の買い出し、3密を避けた生活サイクルなど。その中で気づいたのは、自分の家の中だけで完結させるには限界があるということと、地元でよく通う行きつけのお店には今でも通う、ということです。例え店内で食事ができなくとも、テイクアウトやデリバリーなどを活用し、今までの自分の生活を維持しようとする。ローカルをサポートしたいという思い。それは生活に根付いた意識なのだと。そういう意味で、飲食店を経営している会社として、自粛するだけでなく、経済を回していくことと同時に地域の循環を保つため、そこに住む人々の生活に寄り添うために何ができるか?そのひとつの結論として、飲食店・宿泊施設の再開を決めました。

これから、飲食業界だけでなく、全ての業界で新しい業態やビジネスモデルが生まれてくると思います。宿泊施設も観光の概念が変わると同時に柔軟な新業態、業態変更、ニーズ対応が必要になってくると思います。そう実感するきっかけとなったのが、弊社がこの自粛期間中にスタートした食コンテンツの通信販売でした。GARDEN HOUSEの運営チームと今できることの相談をしていく中で出てきたアイデアがGARDEN HOUSEの人気メニュー、バターミルクパンケーキのミックスの販売です。実際にお店で使っているものを、自宅でも楽しめるよう、改良し、製品化。4月中旬に発売を開始したところ、GARDEN HOUSEの常連様や知人・友人に好評をいただきました。今後はさらに商品数を増加する予定です。

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一方、GARDEN HOUSE CRAFTSの店舗では、店内ので飲食は禁止とさせていただきますが、広いテラス席などは開放し、パン各種とドリンク、また普段お付き合いのある近郊の農家さんの野菜販売なども行っていきます。


今後も柔軟に、街のインフラとして、独占するのではなくシェアしていきたいと思います。街づくり、生活づくり。今こそローカルでリアルな視点を大事に、事業を展開していきたいと思います。

THINK GREEN PRODUCE代表 関口 正人

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photo by Daisuke Ito (SIGNO)

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「1杯のコーヒーから街づくりを考える」コンテンツ・プロデュース・カンパニー。レストランやベイカリー、ホテルなどの運営から、商業施設開発、不動産コンサル、広告、PRまで。幅広い業務領域を行き来するTGPメンバーによるクリエイティブな視点やアイデア、カルチャーマインドを発信します。
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