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KIRIKAWA NOTE #02 「入り口が全て」

カフェブーム最前線から独立店経営まで。20年に及ぶ豊富な飲食店運営経験から導き出された飲食店経営の醍醐味やチームビルディングのモットー。TGPの飲食部門トップが実体験をもとに綴る飲食店あるある満載コラム。

「入り口が全て」

これは以前僕が在籍していた会社の偉大な先輩方が残してくれた名言の一つ。

成功体験にはみんな、それぞれ理由があって、結局のところはそのほとんどが後付けだと思うけれども、どれだけチームが一体となってひとつのことにこだわれるか。これこそが良い店の条件だと思う。

入り口(第一印象)がなぜ大事なのか?

まず、最近の飲食店は減点方式だ。ホームページや雑誌、看板等におもいっきり美味しそうな料理やオープン当時の綺麗な店内写真を掲載し、これでもかと言わんばかりのこだわりをつらつらと書き綴っている。あたかもお店の細部の細部までこだわりを詰め込んだ最高級料亭のように。そう、自分たちでハードルを高くあげているのだ。それをみてきたお客様は当然の如く、入店前から期待値MAX!!お店の前情報はある程度インプットしてあって、後は実際に入って食事してみて答え合わせ、あれやこれやと減点されていく。それが現代の飲食店の実情だ。

だからこそ入り口の時点でいかに高得点をキープするか、ということがとても大切なのだ。序盤をしくじってしまうと、よっぽどのリカバリーショットがないと終盤で大逆転は難しい。たとえ出された料理がどれも同じクオリティだったとしても、序盤から高得点をキープしているタイミングで出てくるのと、すでに40点になったタイミングで出てくるのとでは、きっと味の感じ方が違ってくる。シェフ達のせっかくの努力が台無しになりかねないのだ。

では、視点を変えて、もし自分がお客で入り口に立った時、一番悲しくなることはなんだろう?それは、誰も気づいてくれないこと。入ったけど、し〜ん。いや、忙しいのわかるけどね。でも悲しい。

次に悲しいこと、なんかイライラした口調で案内されること。嫌なら案内するなよって思っちゃうけどね。まあ悲しい。

この対策には、どっちも日頃からの訓練が必要です。まず入り口のお客様に気づくことは、スタッフ全員でサポートし合えますよね。【5秒に1回入り口を見る】というルールを全員が守ればなんとかなる。一方、いつも笑顔で丁寧にご案内、は、当たり前のことなんだけど、ドピークのほぼ満席状態で本当に丁寧に接客できてますか?と聞かれると、、、。

そのために心に刻んでいるのが、これは誰が言ったかは不明だが、接客業において神の領域ともいえる合言葉。【ピンチの時こそ笑顔】、【バタバタの時こそ丁寧】。大げさに例えるなら、今にも墜落しそうな機内でも、お客様に不安を与えないように笑顔で丁寧に接客するよう訓練されている客室乗務員のように。

「レストランマンなめんなよ!」。僕はずっとそう思いながら働いていた。本当は店が回らなくてチビりそうだけど、痩せ我慢してあくまでスマートに笑顔でこんにちは。客室乗務員に負けじとも劣らない、全ての接客業の見本のようであり続けたいから。

そして、2回目以降(常連様含め)のお客様には「この前と同じ席が良いですか?」とか「お久しぶりです」や「髪の毛切りましたね」とかちゃんと知ってますよ〜、ちゃんと見てますよ〜、をしっかりアピール。最初に言わなきゃダメです。減点される前に高得点を取らなきゃ出す料理もサービスも最高の状態にならないから。

髪を切って帰ってきたうちの奥さんに、翌朝「髪の毛切ったの?良いじゃん」とどや顔で言ったら「昨日帰って来た時に言うもんじゃないの?遅っ!」だって…

そう、家でも「入り口が全て」。


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桐川ヒロユキ
1979年大阪生まれ。十代の頃から料理人を志し、20歳の時に上京。国内外に60店舗を経営する大手外食チェーンに入社。2003年に23歳の若さで西麻布の店舗の店長に就任。右肩下がりだった店舗を復活させたり、月商約1億円150名のスタッフを抱える店舗を回すなど経験を積む。26歳の時に満を辞して独立、渋谷区本町にイタリアンレストランを数店展開。しかしその後、体を壊し全て閉店。実践で培った対応力とマネジメント能力をかわれ、2019年、株式会社THINK GREEN PRODUCEにフード&ビバレッジ事業部の執行役員として参画。趣味はサーフィン。プライベートでは2児の父親。

photo Daisuke Ito (SIGNO)

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「1杯のコーヒーから街づくりを考える」コンテンツ・プロデュース・カンパニー。レストランやベイカリー、ホテルなどの運営から、商業施設開発、不動産コンサル、広告、PRまで。幅広い業務領域を行き来するTGPメンバーによるクリエイティブな視点やアイデア、カルチャーマインドを発信します。
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