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バルシューレの活用

ボールゲームの学習に入る前に、いくつかの運動系基礎スキルは小学校低学年までには身につけておきたいものである。捕る、止める、手でドリブル、足やスティックでのドリブル、投げる、蹴る、打つなどです。とくに、外遊びの経験の少ない子どもにとって「手でドリブル」「足やスティックでのドリブル」という動作は未知なる能力である。そのため、ボールゲームで複雑な状況が展開されるゲームでは、経験のない子どもには難しすぎて楽しい経験とはならない。ここでは、ボールゲームを楽しむためにとくに重要となる「ドリブル」について取り挙げてみよう。

基本的な考え方は「簡単な課題から難しい課題へ」である。 大人が行なっている難しいトレーニングを易しくしたものではなく、誰でも簡単に取り組めるものであることが大切です。まずは立った状態で連続的に床に弾ませることから課題設定がはじまる。そこから徐々に課題を一つずつ付加していく。動画では、ボールを操作しながらコーンや人にぶつからないようにするのが課題となっている。次のドリブルスラローム走では競争となり時間のプレッシャーという課題が追加される。フリー空間でドリブルができるだけではボールゲームの場面では通用しなくなる。プレイヤーは様々なプレッシャーの中でドリブルできるようになることが求められるからだ。次の、バランスボールを避けながら行うドリブルでは、自分の正面だけではなく、横や背後への意識を求められ課題がより複雑化している。これらは、ボールゲーム全般に共通している課題である。

次の動画は、小学生サッカークラブでバルシューレを体験してもらった時のものである。

ここではバルシューレの専門スポーツへの活用について触れてみよう。2ボールドリブル、ドリブルしながらフープ を転がすという動作では、同時性のプレッシャーと正確性のプレッシャーという学習課題が設定されている。この課題が専門スポーツにどのように役立つのかという視点を持つことが指導者に求められる。スポーツの入口としての機能から実際のスポーツとの関連性を理解し、将来のイメージをもつことが重要である。例えばこの動画では、小学生サッカーでよく見られる猫背の矯正になることや顔をあげることで周りの状況判断がしやすくなるというサッカーに必要な能力への拡がりを確認できる。このようなことから、小学生スポーツへのバルシューレの導入はボールゲームの基礎を学習するのに適した教材ではないかと考えらる。

ボールゲームにつながる運動系基礎スキルを身につけておくことは、自己肯定感をもつきっかけとなります。子どもたちが、自分の力を誇示するかのように走り回り楽しむ姿を目にします。楽しいという感情で体を動かすことが好きになる。やがて様々な運動から対人的な多様な動きが育まれ、状況判断が求められる複雑なボールゲームへと興味を示す。外遊びが減ってしまった今、その役割をバルシューレは担っているといってよいでしょう。

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