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抗不安薬の研究の難しさ

1.恐怖と不安の違い

突然ですが、みなさん恐怖と不安の違いって分かりますか?

例えば、あなたがアマゾンのジャングルの中に探検しに行ったとしましょう。

ジャングルにはたくさんの危険な虫が潜んでいます。
猛毒を持っている虫が、あなたを襲うかもしれません。

これに対して抱く感情は恐怖なのでしょうか、それとも不安なのでしょうか?


実は心理学的には、恐怖と不安は明確に区別されています。

恐れを抱く明確な対象が存在すれば、それは恐怖と定義され、明確な対象が存在しなければ、それは不安と定義されます。

すなわち、冒頭の例は「猛毒を持つ虫」という明確な対象が存在するため恐怖になります。

一方、「将来への不安」とかよく言いますよね。「将来」という漠然としているモノには不安を用いるのです。

「将来への恐怖」とはあまり言わないですよね(笑)
言うとしたら、その将来が割と「確定的な将来」となっていて明確な対象と化しているときだと思います。


なんでこんなことを話したのかというと、心理学的にでしかこれらを判別する方法がないからです。

つまり、動物では恐怖と不安を区別することは未だにできないのです。

マウスに、

「今君が抱いているのは恐怖?それとも不安?」

と尋ねても答えてくれません。
なぜならしゃべれないから(笑)


動物では、どちらも不快刺激に対する応答と言われています。

つまり、実験で不快刺激を与えて、恐怖や不安を示す行動を示したマウスに抗不安薬を与えてどれだけその行動を抑えるかを見る場合、仮に抑えてとしてもそれは果たして不安を抑えたのか、それとも恐怖を抑えたのかはわからないというわけです。

はたまた恐怖と不安には違いがないのかもしれません。
これらがわかるのはまだまだ先の話でしょう。


2.抗不安薬開発のジレンマ

これは言うまでもないと思いますが、抗不安薬は脳に作用する薬ですよね。
不安という感情は脳で発生しますからね。

難しい話になってくるので大雑把にしゃべりますが、抗不安薬は脳のある神経を活性化させることで抗不安作用を示します。

しかし、その神経を活性化させると鎮静作用も示してしまう場合があるのです。
鎮静とは活動が静まることをいいます。「活発に動く」の逆ですね。


つまりどういうことかと言うと、うつ病が原因で学校にいけない子供がいたとしましょう。

うつを抑制するために抗うつ薬(抗不安薬)を飲みます。

これでうつが治り学校に行ける!かと思いきや今度は鎮静がかかって動けなくなるわけですね。
結局学校にいけないのです(笑)


まあ一般的には抗不安薬は低用量では抗不安作用、高用量で鎮静作用が発揮されるので、ちゃんと服用量を守れば実際にはそんなことはないのですが(笑)

ともかく、抗不安薬を作る際にはこういう点も気にしなければいけないと言ことです。



今日は抗不安薬の研究の内情に、非常に表面的にですが触れていきました。

非常に難しいところではありますが、こういったところがまた脳の研究の面白いところでもありますよね、はい。笑


最近忙しくて投稿頻度が落ちていますが、なんとか頑張っていこうと思います!

それでは、ggy


僕の研究を応援して頂ければ幸いです!