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映画「紫」

工房の日常を克明に記録したドキュメンタリー映画「紫」

この映画は、川瀬美香監督が工房の近くに住まいを借り、そこから通いながら撮られたものです。通常、撮影というと、カメラマンさん、照明さん、音声さん、ディレクターさんなど沢山のスタッフが工房に来られて撮るという印象だったのだが、監督は1人で全て撮影されました。

監督から私達に指示はなく、時折質問が入る程度で、この映画のもう一人の主人公、染師の福田さんは、途中でそれが映像の撮影である、と気付くまで、写真を撮っているのだと思っていた位自然な形で撮影は進められ、そのスタイルのお蔭で、映画「紫」は毎日毎日くり返される、「染司よしおか」の日常そのものの姿を映し出しています。

そして、この映画の大半を撮っていたのは2011年の冬で、その3月には東北の震災があった、私達にとっても感慨深い年です。自然から恵みをうけながら染織できるのが私達の仕事であり、またその偉大さをあらためて知らされたのもこの年です。映画の中で、当代吉岡幸雄の話す中にも「(地球の中で)ありがたく暮させてもらっている精神性がないと駄目」という言葉があり、その意味が、この映画に詰まっております。


ドキュメンタリー映画「紫」

植物だけの色。途絶えかけた日本の心。
かつて日本の色には何処のものとも違う
独特なニュアンスがあった。
それは、この国の風土が育んだ植物染料だけが表現できた色。
化学染料に頼り、失われつつあった日本の色を取り戻そうと
闘う男がいる。 吉岡幸雄。
姿を消し始めた染織植物は、農家を探し、
説得し栽培するところから関わる。
単なる染め職人ではない。
無理だと言われても諦めない。
植物の染料は漢方とも紙一重。
美しいのもは身も心も癒す。 優しい頑固者。
これはその静かな闘いの記録である。
(映画『紫』公式サイトより)

※2012年10月5日 染司よしおか工房だよりを編集のうえ掲載

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