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「なぜ裏切ったのか言いなさい」第4話
トーコは足を引きずるように階段を上って、三階へ。そして廊下を歩き、一つの教室の前で止まった。ここは五年前、二年二組の教室だった。
扉を開ける。明るい教室。午前中の陽光が射し込んでいる。
「あら、霧江先生、どうしたの?」
相馬が教卓の上に座って待っていた。
「そこはお尻を乗せる場所じゃないわよ」
「いいじゃん。もう誰も使わないし」
「誰もって事はないでしょう」
「ううん。誰も使わない」
相馬
「なぜ裏切ったのか言いなさい」第1話
砲撃の爆発音が響く。石畳にコンクリートの破片が降り注ぐ。
既に駅や市庁舎の建物は崩れ落ち、市内のあちこちから煙が上がり、広場の巨大な噴水は側面にできたひび割れから水を噴き出している。
レグニルンスクの小都市は、戦争で破壊されつくされていた。
防衛側の軍隊は最後の撤退戦に移行した。
前進してくる敵軍と銃撃戦を繰り広げながら、負傷者を後送し、余った物資を後送し、対空装備を後送し、正規兵部