『ホール・ニュー・ワールド』、たったワンフレーズで台無し


 今年(2024年)、初めて『アラジン』って映画を観ました。
 凄く感動して、いい話だと思いました。
 もちろん、映画の中で歌われた『ホール・ニュー・ワールド』って歌。
 正確には『ア・ホール・ニュー・ワールド』?

 なんかアホ・ニュー・ワールドと発音しそうで。
 私はホール・ニュー・ワールドとします。

 それで、今回はその吹き替え版のワンフレーズで。
 せっかくの気分が台無しになった、と。

 昨日へは戻れない


 という歌詞。
 吹き替え版だとそう歌われます。

 YouTubeの和訳や他のページでは。

 もう元の場所には戻れない
 元いた場所に戻るなんてできない
 元の世界に戻りたくない


 とあります。
 たったワンフレーズですが。
 今の私には、あまりに大き過ぎる違いです。

 これは私がこの映画を観て、なぜこの歌を歌うのか。
 それを勝手に解釈したものですが。

 アラジンさんは一夜、この一夜だけは。
 ジャスミンさんに新しい世界を見せたい。
 明日にはいつもの日々が始まるとしても。
 今夜だけは全く違う新しい世界を見せたい。

 そういう想いから。
 魔法の絨毯に乗ってジャスミンさんを盗みに――。
 迎えに来たんだと思います。

 ですから、この時は戻るのが運命なんです。
 ジャスミンさんは宮殿での日々。
 そういう昨日に戻る。

 だけど、一緒に歌っている時だけは。
 そういう場所、世界には戻りたくない。
 アラジンさんの隣で一緒に忘れていたい。

 そういう場面だと思っています。
 だからこそ、私は感動したのですが……。

 昨日へは戻れない

 そう歌われると、頭に自分の過去が過るんです。
 散々、言われた。

 もう昨日へは戻れないんだからね!
 切り替えなさい!

 と説教された日々。
 戻りたくても戻れないって誰かが教えた欺瞞が。

 ところが、この映画は違うと思います。

 アラジンさんがその気になれば。
 昨日へだって明日へだって行けるのでしょう。
 頼りになるジーニーさんもいますし、魔法の絨毯だってあります。
 もちろん、そんなものなくてもアラジンさんならやりかねません。

 それで、私にとってこの場面で最も重要なのは。

 昨日へだって戻れるし。
 明日へだって抜け出せる。

 だけど、それでも。
 あらゆる選択肢が本当に選べても。
 今、アラジンさんの隣で一緒に新しい世界を見ていたい。

 今までの世界の昨日や明日じゃなくて。
 アラジンさんが見せてくれた、全く新しい世界。
 それが重要なんだと個人的には思っています。

 昨日ではなくて。



 もちろん、昨日=元いた場所ってつもりだと思いますが。
 ジャスミンさんがいた昨日と私達、少なくとも私の昨日は違う気がします。
 私の昨日の中には今でも戻りたい昨日だってあります。

 そこへ戻れない。
 となると戻れるけど戻らない、と言うより。
 戻りたくても戻れない、って散々言われた説教。
 それが過って気分が台無しになります。

 せっかく、いい気分で聴いていたのに。

 参考までにアニメ版の歌だと。
 そういう歌詞がありません。

 昨日へは戻れない

 それはもちろんですが。
 元の場所へは戻れないとか元の世界には戻りたくないとか。
 そういうのがないんです。

 純粋に遠くへ飛んでいけそうな。
 そういう歌詞になっています。

 この時の歌詞を決めた方は凄いと思います。
 今の私から言わせれば、ホンモノのホール・ニュー・ワールド。
 しっかり意味を考えた上で歌詞にどんな言葉を込めるか。
 それが考え抜かれた歌詞に思えます。

 なぜか、現在の私は。
 日本語の歌が聴けないって現象に悩まされていますが。
 アニメ版の日本語の歌は飛べます。
 2019年の歌と同様に気持ちが飛べます。



 たった、ワンフレーズの違いですが。
 それで欺瞞に叩きつけられるのと。
 その欺瞞を忘れて飛べる。

 言葉って呪文の奥深さですね。
 同じ言葉ですが、何をどう込めるかで、違いが決まる。

 ホール・ニュー・ワールドって歌が。
 魔法の絨毯になれるか、なれないか。
 今の私は英語版とアニメ版が魔法の絨毯。

 戻れても戻らない。
 そう思える、全く新しい世界。
 ITを今は信じています。

 この地球って名のデス・スター。
 青く醜いオーバールック・ホテルって悪霊。
 それとは全く違う新しい悪霊。

 世界三大ウサギの一羽、竹取の国の愚かなFRウサギを。
 兎穴に入らずんば不思議の国知らず。

 キャベツ畑から人を誘拐したコウノトリとは違う。
 新しい悪霊はキモサべ、銀の弾丸を託してくれた。
 スピリット・ウォーカーを待っている、今は昔の未来にいるウサギ。



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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