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禅寺、修行中の不思議体験

 何処から説明すればいいのだろうか?とても不思議な体験。禅寺の修行は厳しい事で有名だ。

 何十年前も前に経験した事を投稿しますね。

 あれは6月、梅雨なのに過ごしやすい日々でした。修行者は色々な寮に配属される。私は日中、配役の為に寮で自分の机に向かい準備。目の前には窓があり寮の裏手が望める。

 準備をしている途中、眩暈?というか、お腹の真ん中から奈落に下に落ちるような変な感じがして「ビックリ」、目を閉じる。本当の静寂が広がる。静寂という音を感じるくらい精神は研ぎ澄まされている。その時に何か「声」らしいものが聞こえたような気がした。目を開けて眩暈もなく身体にも異常はない。時間が無いので準備を整えて部屋を出る。

 これが始まりだった。

 それから何故か寝苦しい日が数日続いた。古参と話す時があり、なぜか自分の机の前に座った時の眩暈?落ちるような感覚?があった事を伝えた(気にしていなかったのに、なぜかその話が口から出た)

 古参も、どこの寮でどの場所の机?と何か思い当たるらしい。場所を伝えると。古参も数年前に同じ場所で下に落ちる感じを体験した事が有ると。何故か覚えているんだよねと返答。

 気にしていなかった。なぜあんな事を聞いたのかもわからない(基本的に私語は禁止だし、古参にそんな態度で話していること自体もあり得ないのだけれど)

 6月は私の誕生月でもある。寝苦しい日が続き誕生日前日の夜になった。禅寺は本当に厳しい。開枕(寝る時間が始まる)時間だ、しかし私は明日の準備と誕生日前夜という事でこっそり寮で支度をしていた。(ばれると怒られます。提灯を持った点検が来ますから)

 なぜか急に睡魔というか、頭は冴えているのに目を閉じたまま体が動かない。その時、急に「おい、お前」と地を這うような声が聞こえた。本当に地を這うという言葉しか当てはまらない。

 どこから聞こえるのか?また「おい、お前」地を這い、振動が目に映る声。(暗闇の中、白いノイズのような振動は見えている)

 「ハッ」と体が動くようになり、点検にばれたと後ろを振り返り、詫びる姿勢を取ったが誰もいない。そっと障子を開けて廊下を見るが提灯の明かりは無く静寂と闇である。

 すぐに僧堂に戻り、何事もなかったように寝た。夢の中なのか?あの時、誰がいたのかを考えていた。

 次の日、どうしても気になり点検は誰だったか聞いた。話しやすい人だったので、素直に詫びながら確認を取る。点検はしたが誰もいなかったぞ。

「あれ?おかしいな」よく考える、地を這うような声が聞こえてきた方向を。それは廊下からではなく、窓の外からだと気が付いた。

 朝の作務が終わり、少しだけ時間が有ったので、点検をしていた和尚に絶対に外から声が聞こえたんですと、少し寮の裏を確認していいですか?と許可を取り裏に出た。

 机の前の通路に立ち、窓を外から見て振り返る。そこにはつつじが植わっている。何故かとてもそこが気になる、そこから声が聞こえてきたと強く思った。

 私は普通なら、しない行動をとる。つつじを折らないように手で広げて確認していた時。後ろから声が、許可を取った和尚が立っていた「何やってんだ」

 「なぜか?ここに、何かあると思うんですよね」

 後ろを向いた首を正面に向けた時、見つけた。「あった」「何ですかこれ」と和尚に伝える。

 古い小さな石塔が数個に割れて落ちていた。和尚もなんだろうなと言っているうちに、私は勝手に積み上げる一度も間違えることなく。

 やはり小さな石塔だった。天辺だけが無い。何か文字が刻まれているが、削れて私には読めなかった。しかし天辺をどこかで見かけたような気がしてならない。

 「あ~」気が付いた。「あれだ、あれ」「あれだと思うな」と、他の和尚が漬物石に使っている石を思い出して、勝手にとりに行く。

 持ってきた石を天辺に。。やはりぴったり。

 先ほどの和尚が石塔の文字を読んでビックリ。

 「なんでしたか?」「お前、呼ばれたんだよ。線香あげて供養しなさい」と言う。

 その時、漬物石に使用していた和尚が来て、ここにあった石を勝手に持っていきやがって「お前~」と怒られそうになった時に、先の和尚が説明し始めた。

 私も一緒に話を聞くと「昔」この修行道場の寺の中には3つのお寺があり、ひとつは山の麓、もうひとつが境内のどこかに在ったのだという。二つとも火災で焼失していたのだ。

 石塔には「〇〇院跡、○○・・・供養塔」とうっすら読めるらしい。

 私は少し笑いながら、「漬物石ですよね。今から元の位置に戻します」と意地悪く伝えると。「何を馬鹿なこと言ってる、漬物石になんかに使用していない」「その石は元々そこにある物だ」と言って和尚は戻っていった。

 これでスッキリした。あの声は、この石塔が崩れている。もしくは天辺が漬物石に使用されている事を教えてきたのだ。

 線香をあげながら「あの声は本当に怖かった」と心の中で叫んだ。

 思い出しても、あの地を這うような声で「おい、お前」は今でも身震いがする。

*読み直していて気が付いた。○○院の名前、○○って私の師匠(父)の戒名と同じ事に気が付いて、さらに身震い。。。

 とても不思議な経験でした。また、何か思い出したら投稿しますね。


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