サッカーの構造と要素について Part.2~サッカーの原理原則・局面構造とは?~

前回の話

Part.1では「パスは本当に技術かどうか」について書かせていただきました。
その理由に至ったのは(前回でも述べましたが)、例えばアタッキングサードの時のパスはゴールを奪うためにチャレンジしていくのはいいことでしょう。しかし、ディフェンディングサードでのパスはチャレンジしすぎるとどうなるか??恐らくピンチになる場面が増えますよね・・・

つまり、パスは技術だけでなく精神的な要素も含むんじゃない?と考えました。

そういった理由で本当にパスはただの技術と区分していいのかと疑問に感じたのがだいたいの前回の内容です。たいしたことは書いていませんが、下記に前回の記事のリンクを貼っておきますので、見ていただけたら幸いですm(__)m

https://note.com/tetsuya0113/n/nd657cf359de4

前回は序論みたいな感じです。今回からサッカーはどういうスポーツなのか自分なりの解釈を述べていきます。何回にわたって書くかはわかりませんが、最後までお付き合いいただけたらと思いますm(__)m

原理原則ってなに?

まずはタイトルにもありますが、「サッカーの原理原則」とは何なのか?についてです。

なんか指導現場でもよく聞く言葉ですよね。「あいつはサッカーの原理原則がわかってないんだよな~」とか「原理原則が大切だ!」とかよく耳にすると思いますし、感覚的になんとなくわかりますよね。かくいう自分も感覚的には理解していましたし、実際の指導現場で言ったこともあります。

けど、半年ほど前、とある試合で(自分はジュニア年代を担当しています)
負けてしまったのですが、その時にこの原理原則の大切さをひどく痛感させられました。『果たして本当に原理原則を理解し、そして説明できるのか?』とその試合後に思いました。
そこから原理原則をちゃんと勉強しようと考えました。そしてある程度形になったので、今回noteで投稿させていただいています。

では原理原則とは何か?

そもそも言葉の意味がよくわかりませんでした笑

Googleで調べたらこう書いてあります。

原理:多くの物事を成り立たせる、根本的な法則(規則)。認識や行為の根本をなす理論
原則:多くの場合に適用でき、特別な例外を除き適用される基本的な原則
と。

・・・なんとなく意味がわかりますよね。自分も把握しましたよ。多分。

つまり、原理は不変的なものであり、原則はその原理を用いて行なった方がより良い法則的なものであるってことだと思います。

言葉の意味も重要ですが、サッカーの原理原則がなんなのかの方が大事ですよね。

JFAの指導教本では、原理原則という言葉は使っていませんが(ざっと読んだ限りです)、サッカーの構造がわかりやすく書いています。サッカーの目的や基本構造、プレーの「原則」などなど・・・

サッカーの目的は
攻撃:ゴールを奪うために、ボールを失わずにゴールに向かうこと
守備:ゴールを守り、ボールを奪い返し攻撃すること

と述べています。

また、基本的な構造として攻撃・守備・攻守の切り替え(計4局面)

さらにプレーの原則ではピッチを横に3分割するエリアが紹介されています。

皆さんもよく聞いたことがあると思います。おそらくこの辺は原則の部分
でしょう。そして、原理は不変的なものであるため、ルールや競技特性などのことを指すと思われます。


また、原理原則の意味や指導教本を読むかぎり、原理と原則は階層構造になっていることが想像できます。


図1

しかし、この辺は感覚的に理解していましたし、だからどうした?って感じですよね。ここからいくつかの文献などを調べてみました(参考文献は最後にまとめて書きます)。ここから次回以降も含めて、原則の解釈と定義を少しずつしていきたいと思います。

あらゆる局面においてもパスは同じなのか?

最初にも書きましたが、アタッキングサードとディフェンディングサードにおけるパスの役割や構成要素は恐らく違うと思われます。さらに、時間帯やゲームの展開によっても違うのではないでしょうか?

例えば、ディフェンディングサードにおいて

(前半20分、0-0の同点)という場面でのパスと(後半45分、0-1で負けている)という場面でのパスは果たして同じでしょうか?

前者はムリにチャレンジしなくても安全なパスでもいいと思いますが、後者は多少相手に取られるリスクがあってもチャレンジしなければならないと思います。

このことから、サッカーの構成要素はピッチのエリアや時間帯・目的などあらゆる局面によって変わるのではないかという仮説が出ました(局面構造と構成要素の関係性は次回以降に紹介しますm(_ _)m)。

サッカーの局面構造

では、サッカーの局面やその構造はどのようなものなのか?

上述したようにJFAではサッカーの基本構造が書いてありますが、

そもそも球技には3つの局面構造があります(日本コーチング学会,2019)。

1つ目は時間構造


球技では、分析などで有用性を持つために時間軸に沿って「準備局面-主要局面―終末局面」に分けます(金子・朝岡,1990)。

つまり、種目類型にかかわらず全ての球技ゲームは、将棋や囲碁のように「序盤―中盤―終盤」という文脈で局面を解釈することができる(坂井,2018)ということです。
サッカーでも前述した通り、前半20分と後半45分ではプレーが変わることがありますよね。ちなみに攻撃や守備などのJFAが定めている基本構造もここに該当するらしいですが、この場では詳しく書きませんm(_ _)m。


2つ目は空間構造


その名の通りで、競技のルールなどによって定められた空間(2次元、3次元的)における局面構造です。

その中には物理空間、意味空間(坂井,2018)があります。

具体的には物理空間はペナルティラインやサイドラインなどの実際に書いてある線などをもとに作られた空間。意味空間はアタッキングサードなどの本来は存在しないが、競技を有効的に進めるために作られた空間のことです。


3つ目は力動構造


力動構造といわれてもピンと来ないかもしれません。かくいう自分も何なのか最初はわかりませんでした。この言葉を言い換えるとゲームにおける状況や流れという意味です。

具体的にはコーナーキックや1-0で勝っている、相手に流れがあるといった感じのことです。もちろんこのゲーム状況などはさらに色々と細分化されますが、本題とずれるので割愛します。


これらのことから自分はサッカーの局面構造を以下のように解釈しました。


① 基本構造:攻撃・守備・切り替えなど(時間構造と切り離しました)
② 時間構造:前半10分、後半20分などなど
③ 空間構造:ペナルティエリア付近、相手ゴールまで残り30m、横に3分割したエリア構造、5レーン理論など
④ 力動構造:ルールなどによって定められた特定のプレー行動や状況(フリーキックやコーナーキックなど)、ゲームの流れ(1-0で勝っている)など

さらにそれらの局面構造を基準に目標や目的が決められ、それらを達成するためにサッカーの構成要素が成り立つと考えています。

人によって原理原則・局面構造の解釈や区分けは分かれると思いますし、自分の解釈が正しいとは思いませんが、以上のことを踏まえて、自分は原理原則とは以下の図のような階層構造になっていると考えました(青→原則、黄→原理)。


図2

どうしてそのような考えになったのか、そもそも目的とか構成要素とか何ぞや??などを書くと長い文章になるので、その辺はまた次回に書きます笑m(__)m

長文かつ駄文ではあると思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も読んでいただければ幸いです。

参考文献

JFA指導教本(JFA,2016)、球技のコーチング学(日本コーチング学会,2018)、運動学講義(金子明友・朝岡正雄,1990)

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