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エシカルには思想が欠けている(BTSカズマさんとの対談動画の前振りとして)

エシカルには思想が欠けていないでしょうか。

大学生・高校生などの若い世代を中心に、コロナというきっかけもあり、SDGs、エシカル、フェアトレード、脱プラスチックやゼロウェイスト、食品ロスやファッションロス、ヴィーガン、再生エネルギー、サーキュラーエコノミーやリジェネレーションやグリーンリカバリー・・・等々のソーシャルグッドなことに興味を持つ方はとても増えていると感じます。

そんな若い仲間たちは、インスタやYouTubeなどを使って私たちが直面している課題をわかりやすく整理し、どうすればいいのかのアクション・方法・商品を伝えてくれています。

失礼な言い方かもしれませんが、このコロナの春から初夏にかけて雨後の筍のように一気に増えたのが、「ソーシャルグッドをおしゃれにわかりやすく伝える」アカウントです。

筍が秋までもつかはさておき、これはとても良いこと。知り、伝えるというアクションをする人が増えることは、社会の解決の一部となる人が増えることです。

でも、そこで伝えられているのは「What」です。

「Why、How、What」(サイモン・シネック)でいう「What」。どうすればいいかという具体的なアクションです。しかもわかりやすい(ということは、単純化されている)。

長くエシカルに関わってきた人たちも、SDGsの流行という上げ潮やシャレじゃない気候危機を背景に、コロナという苦難を契機として戦術の練り直しを行ったと感じます。

オンライン接客だの、廃棄素材の商品化だの、早期受注サイクルモデルだの、公有だのやAI活用型など。ユニークな芽が出てきて、いくつかは来年の秋くらいには社会の常識になっていると思います。

でも、そこで取り組まれているのは「How」です。

「Why、How、What」でいう「How」。どのように実現するのか創意工夫です。そこからはわかりやすい「What」に落とし込まれています。

「Why」はどこに行ったのでしょう。

エシカルにとって、「Why」を考えることは難しい。

なぜなら、あまりにも「Why」は明白だからです。

今のままでは人類社会が、地球が、持続不可能であるという、あまりに強烈で大義名分すぎる「Why」があります。より良い未来が来ることを願うという、誰も反論できない「Why」があります。

だから思考停止する。

エシカルとは、直訳すれば「倫理」です。エシカルといって連想されるのは、まずスピノザの『エチカ』であっていいはずです。

哲学、神学、歴史学などに裏打ちされたしたたかな思考が基盤となり、その上に心理学や社会学、法学や経済学があり、そこから事業が出てきて「How」となり、結果として日々のアクションやエシカルファッションなどの商品という「What」になります。

とすれば、エシカルについて明白な「Why」に安穏と依拠するのではなく、常にエシカルという思想を多角的に刷新していかなければいけません。

アントロポセンの次に向け、いま求められているのはエシカル思想家です。

「ソーシャルグッドをおしゃれにわかりやすく伝える」ことは、とても大事。敬意をもって、それは確かです。

でも、持続不可能だからといったWhyだけに胡坐をかかず、エシカルの「Why」の極北を追求する思想家もぜひ飛び出してきてもらいたいと思います。

おそらく、僕は多少それに近い存在であるかもしれません。エシカル思想家もどき。

洗礼者ヨハネの役割はいくらでも務めます。なので、難しいことを難しく、複雑なことを複雑に考え抜き、予見を抱き、アントロポセンを超克したエシカル思想を打ち出してくれる若い仲間がでてくることを、そんな火中の栗拾いがやってくることを期待します。

・・・というまだ見ぬ友が少しは面白がってくれるはずな(実はここまでながーーい前振り!!)BUNKER TOKYO SUSTAINABLE カズマさんとの対談動画。

新自由主義から共産主義、ポスト資本主義とか、、そんなことを楽しく話しています。

約1時間。いい刺激だと思ってみてください。


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