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「そんな子沢山居ますから」の罠


マイペースちゃん

我が家の長女、ハナは5歳のときに
「自閉スペクトラム症」の診断を受けている。

実は母としては2歳ぐらいから
この子なんか違うよなっていう違和感があって。
ハナの場合はとにかく外で喋らなかった。内気。


私自身も人見知り激しい方だから、この子にもそれが遺伝したんだなって思ってはいたけど、家でめちゃくちゃ喋るのに保育園行くと嘘みたいに喋らなくなるのを見てちょっと不安に。

それを先生に相談したら
「ちょっと大人しいだけの子」「こんな子沢山いる」
そうやって笑われた。

最初のうちは、そうだよね…私の気にしすぎだよね…と思ってたけど。
どうしても気になって、発達支援センターへ連絡。

でも、私が同伴の面談ではハナは私が見ている通りのハナだった。

「こんなに喋るし、色んなこと理解してる。
お母さんが心配しすぎなだけ」

検査を勧められることもなく、私はただ
「気にしすぎって言われ神経質な親で恥ずかしい」
という想いを胸に発達支援センターを後にする。

その後も保育園でいろんなことを連絡帳に書かれる。
「今日はこれが出来なかった」
「今日はみんなと違う行動をしていた」
でもそれを先生に相談すると
「こういうマイペースちゃん、ひと学年数人は必ずいるんですよ」

帰りにお迎え行って、帰りたくないってひっくり返って泣いてるのも、朝送って行ったとき「行きたくない」って私にしがみついて引きずられているのも。

周りを見渡しても同じような子が見当たらず不安になって先生に言えば
「大丈夫、そういう子、結構いますから」

そっか、気にしすぎなんだ…
そう思い続けて数年。


うちのマイペースちゃんは発達障害


4歳の時にたまたま子連れで遊ぶ場所に連れて行ったときに遊ぶ様子を見ていた先生に声を掛けられた。

「この子、一度検査受けてみた方がいいと思うよ」

その場所では、先生の個人的な知り合いの心理士さんによる検査を出来ることになっていた。言われるままに検査を受けてみたら、明らかに出来る事と出来ない事が真っ二つになった。最初はそれの意味が分からなかった。

あなたの子は発達障害があると思う、そういうことを何もわかっていない親に言うのはきっと憚られるのだと思う。ただ先生は発達関係の本をたくさん貸してくれて「読んでみて」とだけ言った。
私は言われるままにその本を読んだ。
そしたらその内容があまりにハナと合致していて、私はこの子がこのカテゴリに属す子なんだと認識した。

発達検査は1年空けないと受けられないので、次の検査は5歳。
その時は本も沢山読んで、検査内容についても知識を得て。
検査の様子を見て(これはもう間違いないな)と確信した。

検査内容を全てメモしてそのまま病院へ。
内容の数値、日ごろの様子、本人の様子を見て、その日のうちにあっさりとASD(自閉スペクトラム障害)の診断が降りた。

そこからは怒涛の日々だった。
療育先を探したり、園を転園させたり。

何より本人の心の傷がひどく深いことを知った。
「出来るのにやらない」と言われる日々。
私も、障害の事を知るまではそう思ってた。

日ごろ会話も通じるし、それなりに物事を理解している子だから、指示をすれば通るはずだと思ってしまう。
でもそうじゃなかった。
そもそもの指示が通っていなかった。

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でも、大人の方は指示が通っていないと思っていないから
「この子は理解できるはずなのにやらない」という意識になる。
結果『言った通りやれない子』として叱られる。

「やらない」のではなくて「やれない」のに。

ハナはずっとそれで苦しんできた。
やれなくて困っているところを
「なんでやれるのにやらないの!」と怒られるのだ。

それはもう理不尽な日々だったと思う。

理解のある園に入れ、療育に通わせてだいぶ落ち着いてきた。
それでも過去の悲しい記憶をたまに口にする。

私自身が気付くのが早ければと何度も悔やんだが、
何より思うことは

「我々は何年もこの仕事をやっていますが
こういう子はひとクラスに何人かいるんですよ」

そういう、事あるごとにかけられる先生のことば。

何人もいるから、じゃあ何なんだと。
だから気にしなくていいっていうのは何根拠なんだと。

幼稚園や保育園でそうやって言われて通わせてきて、小学校に入ってから突然集団に馴染めなくなった子の話も沢山聞いてきた。

1年生になったとたん、教室で座ってられなくて問題行動沢山起こして
「今日も周りの子に迷惑なことをしました」って親に電話が来る毎日。
毎日毎日「今日は誰に謝るんだろう」って思う日々に心を傷める親の話も沢山聞いてきた。

小学校は支援級を希望するならば入学前からの手続きが必要で、小学校に入ってから集団に馴染めないことが露呈したとしても支援級にすぐ入ることはできない。
1年、本人が上手に入れない普通級で苦痛を感じながら過ごすしかない。

それは小学校に入る前にその特性に気付けなかった結果…
いや、多少の違和感に気づいていても「よくいるから」と流した結果起こる事柄。


後から発覚した発達障害は園に大抵伝わらない


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