99%透明人間
何年か前に歩道で転けたときの話をするよ。
3人で行動していて、二人は前で僕は後ろにいる。声が聞き取りにくくて、会話に混ざれなかった。
陰を眺めて、たまに重なる陰に融和していくのが心地よい。
よそ見をしていて、ちょっとした段差に気が付かずに転けてしまった。
それに気が付かずに行ってしまう友人。
「先いっててーー!」
と叫んで伝える。振り返って「あっちで待っとくでー」と伝えてくれる。
泣きそうになるのを堪える。
立ちあがろうと思っても、力が出ない。痛みがどれほどか意識したら、まぁズキズキ痛む程度で「こんなもんだよな」と納得した。
暫く地面で寝転んでると、大半の人が素通りで、興味を示さないことを観察していた。僕は透明人間だ。チラりと一瞥する人間はいるのだが、数秒後には僕の存在が無かったことになる。
「あぁああああ!」
わざと怪我したところを押さえて、叫んでみても、変わらなかった。無駄なことしたなと思い、黙って空を眺めた。ヒラメは横に目があって、こんな景色で泳いでいるんだろうなと思うことで、平和なこころが手に入る。
暫くしたら、5、60代くらいの初老のお爺さんが近づいてきた。
「大丈夫か、救急車呼ぶか」
優しく問いかける、言葉遣いや、優しさに溢れた雰囲気にまた泣きそうになる。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
不思議と力が戻っていく感覚を取り戻して自転車と立ち上がる。
「おくってこか?」
「もう、すぐそこなんで大丈夫です。心配かけてすみません。ありがとうございます」
「そうか、気をつけな」
ふらりと立ち去るおじいさんに一礼をする。
全裸で外を歩いていたら魔法が解けて、丸見え状態がバレてしまったようだ。恥ずかしくって俯いて自転車を押して行った。
ついた場所には友人はいない。
友人は僕を置き去りにする遊びをたまにする。
遠出をした時も、突然に姿を眩ますことが何回かあった。
分かってた。分かってる。わかったわかったわかった、わかったわかったわかったわかったわかったわかったわかった、分かってんだよ!
一人家に着くと、数時間後に電話が鳴る。
でちゃダメだと理解していても、受話器を取る。
「さっきはゴメンナ〜、大丈夫やった?」
「なにが? 全然大丈夫やけど〜」
「ほんまごめんな」
グシャグシャになった銀紙のように酷い気分だった。
どうしてか、死にたくなった。死にたくなって死にたくなって死にたくなった。
「うん、うん、うん。そうだったんやね、はは。うん、バイバイ」
突然消えたトリックを自慢のように聞かされていた。
どうでもいいよ、自転車置き場に置かなかったとか、どうとか。
虚しさがたまに傷を抉るのはどういった心理が働いているのか。前頭葉を取り除けば消えるかな。海馬かな?
まぁ、いいや。ここでも透明だから。
とうめ〜 〜 〜い
ぱ おー 〜 〜 ー ん
ぷ〜 ん
ぢゅ ぶ ご つ
行くよ!!!!!!!!!!^_^
は??
プラムを食べました。スーパーで買ってすぐに食べると酸味が強くて、思い出すだけで唾がでます。果実の酸味は好きですけどね。
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