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明治維新かく語りき 今宵サヴォイホテルのバーカウンターにて

teruは嵐吹く中をホテルの中へ駆け込んだ。
英国について行き当たりばったりで駆け込んだホテルはサヴォイホテル。
もうすでに時計の針は22:00だ。
レストランは閉まっている。からだは冷え切っている。自分の計画性の無さを呪う。
チェックインを済ませ、部屋に荷物を放り込むとバーに向かった。
温まるものを飲みたい。何かナッツでもなんでもいいから食べられるものを食べたい。

バーに入ると初老のバーテンダーがちらりと視線を合わせる。
カウンターにはカップルが座っている。他に客はい。teruはカップルから二席開けて椅子に座る。
からだの力が抜けてほっとする。いい椅子を使ってる。いい椅子はからだを休ませる。
「からだが温まるものを。芋焼酎のお湯割りはありますか?」
ここは英国ということも忘れて普段飲んでるものを頼んでしまった。初老のバーテンダーが少しニコリとしてうなずく。
カップルがその言葉に反応してこちらを見る。
東洋人の女性とイギリス人の男性のようだ。
歳は自分より少し上に見える。
黒髪のロングヘアーの東洋人の女性が話しかけてくる。
「あら、日本の方かしら?九州ですか?」
「そうです。鹿児島から来ました。」
隣の旦那がグラスを挙げてウィンクする。
お湯割りを一口入れると醸造されたアルコールが体中の血液に染み渡っていくようでようやくほっとする。
青い目をした旦那が口を開く。
「鹿児島にはらんみかと結婚する前に一度行ったことがある」
「天降川の温泉に泊まったのよ。私はらんみか。こっちはデービッド」
デービッドの青い目が光ったように見えた。
「teruです。イギリスに初めて来ました。ナイストゥーミーチュー」挨拶をしてつまみのナッツを頬張る。ナッツの油分が空腹感を癒やす。

「薩摩藩」デービッドが呟く。
サヴォイホテルのバーの空気が一瞬濃密になったように感じた。
「はい、明治維新の中心になった薩摩藩です。」
teruは答える。
「龍馬の足湯に行ったことはありますか?天降川の中腹にあります。」
「龍馬。」
デービッドは明治維新に詳しいようだ。らんみかが言う。「明治維新、表の歴史と裏の歴史があるのよ。」
グラスを拭いていたバーテンダーの顔がピクリと上を向く。
デービッドの目が青く光る。
「龍馬はエージェント。」
「?」
teruはナッツを取ろうとした手を止めきょとんとする。「龍馬は維新を回転させた英雄ですよ。最後は暗殺されてしまいましたが。」
「龍馬は操られていた」目の青さが深みを増す。
「操られていた!?」
「グラバー、アーネストサトウもエージェントだ。金の流れを追え。」
らんみかの黒髪が何処かからか入ってきた風でふわりと浮く。
「ただの脱藩青年にあそこまでのことは出来ないわ。お金が何処からか出ていた。グラバーもアーネストサトウもマセソン商会が動かしてたのよ。だから、龍馬もエージェント。」
「明治維新は外側の力によって作られたクーデターだ。」デービッドはスコッチウィスキーのお代わりを頼んだ。
バーテンダーの耳がピクピクと動いている。

「そ、それは龍馬の魅力で引き出したお金では?」teruは真逆の展開に目がぱちくりした。
サヴォイホテルのバーの空気の密度がさらに濃くなった。
「マセソン商会の裏にいたのはロスチャイルドだ。戦争を作りだし金を儲けその国に深く浸透していく。」
「ロスチャイルド!?そ、それって陰謀論って言われるやつでは!?」teruは二杯目のお湯割りを口につける。
「ロスチャイルドは世界中で戦争を起こして、その仲間たちと武器を売り金を両側に貸し付ける。」
らんみかが微笑む。「いきなりこんな事を聴いたらビックリするわよね。そのロスチャイルドも手下に過ぎないの。ドイツ語で読むとロートシールト、赤い盾という意味よ。世界を支配しようとした貴族たちの盾なのよ。例えばこのホテルのオーナー、サヴォイ家とか。」らんみかはカクテルを何杯飲んだのか、だいぶ酔っているようだ。
らんみかの言葉にバーテンダーの耳がまたピクピクと反応していたように見えた。

「じゃ、じゃあ、明治政府は・・・」teruは回ったアルコール以上に心臓がバクバクしていた。
自分が習ったことはいったい・・・
漫画や小説で読んだ龍馬の活躍は・・・

「でも何故龍馬は暗殺されたんでしょう!?」
teruは崩壊していく現実の中で力を振り絞って呟いた。
「龍馬は純粋だったのよ。だから操られてしまった。でも途中で勝海舟に出会って洗脳が解け始めたの。だから戦争が起きないように動いた。それで殺された。。。」
「!!」
「じゃ、じゃあ薩摩の英雄、せ、せごどんは。。。」

バーの扉が開きダークスーツに身を包みサングラスをかけた男二人が飛び込んできた。
手には銃が握られている。
「デービッド、らんみか、そこまでだ!」
片側の男が強く声を発した。

バーテンダーに助けを求めようと振り返るとそこにバーテンダーの姿はなくもう一人ダークスーツとサングラスの男が立っていた。



「シット!エージェントスミスだ。らんみか、情報空間に一度出てteruを逃がすぞ。」
デービッドの青い目が光だし空間を青く染めていく。らんみかの黒髪がふわりと逆立ちはじめる。らんみかはteruの腕を強く掴んだ。
空間が溶け始め青い光の世界へと景色が変わっていく。

「teru、俺達はエージェントスミスをかたしてから自分達の森へ戻る。エージェントスミスに勝てるのはもうネオやトリニティだけではないのだ。teru、道がわからないときは目を閉じて胸の内側を見つめるんだ。そうしたら進むべき道がわかる。ドント シンク、フィール!」

teruはものすごい勢いで変わる圧倒的現実に翻弄されていた。「ドント シンク、フィール・・・」
いつか観たガイアシンフォニーという映画でも古代の船漕ぎたちは星のない真っ暗闇の大海で目を閉じ胸の内側を見つめるとやっていたなあ。。。

「よし!」

teruは目を閉じて呼吸を整え意識を内側に向けた。何やら声ならぬ声が聴こえてくる。
「teru、わたしは西郷だ。正確に言うと西郷というエネルギー体の情報だ。君がいるべき場所を指し示そう。さあ、ツン走れ!」
犬のような光が走り出す。teruは慌ててついていく。

青い光の壁をツンが突き抜けていく。teruもそれに続く。
わあっ!!



鹿児島県霧島市隼人町せごどん村足湯



noteでの付き合いが1年と9ヶ月。
鹿児島まで会いに来てくれたのは
らんみかさんが初!!
それ以来自分の全ての記事にコメントを入れてくれている。初めましてと言うのが不自然なくらいの
初めて感のなさ!!


ら、ら、ら、らんみかさん!!

「teruさん、初めましてだけど初めてな感じが全然ないわねぇ」
「・・・な、何故ここに!?」
「PCR検査が無くなったから2年と3ヶ月ぶりに帰国したの。全国の腸活セミナーの仲間とnote仲間を訪ねてるの。デービッドは森で留守番。」
「じゃ、じゃあランチでもどうかな?」


選べるビュフェ



副菜全部盛りセット
大変美味しゅうございました。


せごどん村内にある日向山無垢食堂にてランチを食す。コロナやワクチン、noteの話で盛り上がる。
隣の物産館で買い物を済ませ足湯のところに出る。

「さて、そろそろ次の場所に行かないと。teruさん、また会いましょう!」

らんみかの黒髪が舞い上がる。
一瞬、世界が青い光に包まれた。





らんみかがいた場所にポストカードが残されていた。。。

《See you again!
英国の森にも来てね!!サヴォイホテルにも行きましょう!!》


         《完》


出演

ランフォード・ミカ








ランフォード・デービッド




teru




サヴォイ家



((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


ロケ地




参考動画



ご一読ありがとうございました!
事実と妄想が混在しています!!

以上です!


ナマステ✨

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