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田畑浩良さんから教わった身体と空間の間にある秘密




田畑さんについて



米国Dr. Ida Rolf Institute® Movement 講師 Rolfinger(ロルファー)こと
田畑浩良氏が博多に来てワークショップ(WS)をするというので参加して来ました。

 主催者のワークショップの概要・触れ込みはこうだった。

 あなただけのモノサシ (自分自身のアップデート)
 「空間身体学」という既存の概念に捉われぬ独自の世界観を、科学的根拠で検証しながら、体験的実践を今尚継続し続ける熟練のエキスパート。業界屈指のオリエンタル・スペース・マスターこと田畑氏が考案するArt of Yield(イールドワーク)の経験によって培われた、田畑ワールドのお披露目です。この社会状況に合わせ、自分をバージョンアップする一つの方法として、忘れていたモノ、探していたコト、あなたのカラダとココロから、手繰り寄せてみませんか。全ては、アナタのナカに在ります。

 僕が田畑さんを認識したのはいつ頃のことだろうか?

 能楽師で作家の安田登さんが、田畑さんのような天才がいるからロルフィングをする必要がなくなったと言っていたことからか。
 それとも12年前に坐骨神経痛を患い座ることも苦痛だった時に、ロルフィングという身体の施術を行うロルファー(上村氏)に出会い、その方に施術を5回ほどしてもらって、長年の腰痛と身体の歪みが解消されたのだが、
 その施術で、僕の身体の筋膜を上村氏グリグリと手で引き伸ばしている最中に、

 「タハタさんという人は、グリグリしなくても撫でるだけで患者の筋膜を緩めることが出来るんですよ! 自分たちロルファーの中では神様見たいな人です。」


 この12年前の会話を覚えていたからか。

 どっちだったが忘れたが、

 田畑浩良(たはたひろよし)という、被験者の身体を撫でるだけで、その身体のバランスを整えてしまう神業を持つ人がいることをインプットしていた。

 ずっとさっきから使っているロルフィングというのを少し解説する。

 アイダ・ロルフ博士が開発した身体への施術で、筋膜へのアプローチを主として身体のバランスを回復させる施術のこと。
 人間の身体は結合組織のネットワーク(骨、軟骨、靭帯、腱、筋膜など)によって基本的な構造の枠組みが作られていると考えられ、人間が動きを特に意識せずに生活していると、知らぬ間に偏った動きになり、結合組織のネットワークが偏って固まってしまう。ロルフィングではそのような偏りを調整することによって身体のバランスを回復することを目指す。

  このロルフィングをする認定資格がある人をロルファーといい。田畑さんは、このロルフィング界でゴットハンドを持つ人。スーパースターらしい。(←まだ体験してないから)サッカーでいうとメッシというところか。

 ヨガのインストラクターは沢山いるがこのロルファーが少ないのはどうしてか?日本に150人程度しかいないようだ。
 たまたま、今回のワークショップに来ていたロルファーに聞いたら、今はアメリカでしか公式のロルファー認定が取れないということを聞いた。
 

 さて、本題のワークショップ(WS)の話である。

 なぜこの田畑さんのWSに急遽行くことなったのか、そこから少し話ます。


 FBでも書いているが、今、EMS(エッセンシャル・マネジメント・スクール)という本質行動学を学ぶ学校に通っている。

 自己を内観する心理的プログラムから、ピーター・ドラッカーが発明したマネジメントの本質論、資本主義社会の次の社会(共感による社会)の話など、

 また、この学校のことを話すとキリがない。省略。

 と言いながら一つだけ。

 この学校の学長さんで「大久保寛司(おおくぼかんじ)」さんという人がいる。

 桁違いに人間力の凄い人で、どんなに斜に構えたマイナスオーラーを放つ人でも、強面で頑固な経営者でも、ワンワン吠える犬でさえも、闘争心をなだめて、素直な心に変えてしまう伝説の人だ。
 ビジネス界では喩えようがないが、ダライ・ラマのような人かな?

 厳しい人でもあるが、学校では「カンジさん」と愛称されている。

 学校のチーム議論の際に、「このカンジさんは、どうやって吠える人をなだめる事が出来るのか?」という話になった。
 
 相手を包み込む、オーラー?
 特別な癒しのエネルギーのようなものがある? 
 (実際に、ご自身でも言葉では説明できないが、人から信頼されるには、雰囲気=エネルギーが大事だと仰っていた。)

 その時だった。僕が画面に手を挙げて発言許可を求めた。

 「少し違うかもしれないが、そんなエネルギーを持つ人を知ってますよ。」

 田畑さんという人で、撫でるように身体に触れるだけで、相手に変化を生じさせ身体が整う施術ができる人。
 その人は、今、まさにこのZOOMを使って遠隔でもその施術をやっていると。。」

 僕が話を終えてると、チームの皆んなは無反応

 遠隔からでも、無言で(んーー怪しい話だなー)という空気は伝わった。 ←この無言も、田畑さんなら、空間を超えて相手に身体的な変化を起こしていると言ってくれるはずだが・・)

 その時だった。

「カンジ叔父さんは、誰にも言っていないけど遠隔で気を送る事が出来るよー。」 カンジさんの甥っ子(同じチーム)の発言だった。

 すると、皆んなが急に「カンジさんなら、それはあり得る。」という雰囲気になってきた。

 チームの仲間とそんな会話をした直後だった。Facebookのタイムラインに

 「田畑さんが九州に行きます!2度とない機会です。」という投稿が現れた。

これはもう、ユングのシンクロニシティというより神がかりなタイミング!行くしか選択はなかった! 

 迷っている余地もなかった。

 締め切りまで2日間、田畑さんを知っている人なら、速攻で申し込むはず。その日に休暇を取れるかも確認しないまま、振り込み手続きを行った。

 田畑さんの会場は、福岡の海の見える場所にあるお洒落なヨガスタジオだった。

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 時間まで埠頭をぶらぶら歩き、会場前のベンチで時間を潰した。

 顔を上げると、キャリーバッグを携えた田畑さんが立っていた。

 写真でも拝見していたのですぐに分かった。いつも照れてしまうが、今回ばかりは、迷うことなく此方から声をかけてご挨拶をした。

 田畑さんは、背中を少し丸めた姿勢で恐縮したように僕にお辞儀をしてくれた。

 いわゆる有名人の堂々と胸を張ってオーラバリバリの人ではなく、自己主張せず静かに生きているような優しい雰囲気の方だった。これも写真からでも分かる通りの方だった。


 ワークショップの内容について


 15名ほどの人が各地から集まった。ほとんどが女性。

 今の学校や参加している読書会も含め、このような学びの場に参加してくるのは、大半が女性だ。
 社会でも会社でも「女性活躍推進」と言われて久しいが、女性から見たら「とっくに活躍しているわい。男ども、もっと勉強しなさい!」と言うことだろう。

 ワークショップのスタート

<自己紹介>
 参加者が自己紹介すると、ヨガの先生、椅子を作っている人、空手をしている女子高校生、ロルフィングの先生、自然農法のお米を栽培している人、風水やタロット占いをする人、作家吉本バナナのファン。
 
 そうなんです。田畑さんはあの吉本バナナのご主人。吉本バナナを知らない人は、あの大哲学者、吉本隆明の娘で。もっと分からないか?

 お連れ合いの名前を言わなくても田畑さんは、糸井重里や安田登さんのような著名人の方々からも天才と称されている人だ。 これも余計だ。

 皆それぞれがご自身のライフワークから田畑さんのWSをどう生かすかを紹介する中で、僕だけが”夢見るサラリーマン”という場違い感を漂わせた。

<第1セッション>
 

ある一人が被験者になり、田畑さんが施術する人(プラクティショナー)となっていよいよ始まった。

 まず被験者となった人が歩いてみる。
 それを田畑さんが観察しながら、身体の感じ方を問いかける。

 次に受け手の人が床に仰向けになる。
 この時、空間の中で自分が心地良いと感じる向きを探して仰向けに寝る方向を変えて行く。

 田畑さんは、この受け手が心地良い方向を探すのを見守りながら、あるところでもう少しこっちの方が心地良いのではないかと問いかける。

 受け手の位置が決まったら、今度は田畑さん自身が心地良い場所を探すように、受け手との位置を静かに変えて行く。
 そして田畑さんは受け手にも心地良い感覚があるかを確認して行く。
 敢えて違う場所にも動いて受け手に圧迫感がある場所も感じてもらう。

 被験者と田畑さん(プロティクショナー)にとって心地良い場所が決まったら、田畑さんはゆっくりその場で受け手を観察して行く。何か手を触れるわけではない。

 田畑さんは、被験者の呼吸の状態を観察したりしながら、時々被験者に身体の状態を確認して行く。そして位置を僅かに変えてまた観察して行く。

 5分ぐらいこの状態を続けた後、受け手の人は膝を立てゆっくり立ち上がる準備をする。(この僅かのセッションでも関節の関係が変わり重心のバランスが変わってしまっているから、急に立とうとすると危ないのだそうだ)

 被験者がゆっくりと上半身を起こし立ち上がる。
 そして最初と同じように受け手に歩いてもらい田畑さんが身体の状態を質問していく。

この短いセッションで被験者となった女性は不思議そうな顔をして、感想を言い始めた。

「視界の左右が大きく広がった。重心が足の裏全体にかかってきた。上半身が楽になった。」 
 

 このセッションを田畑さんが少し解説してくれた。

 ここでの”心地良い場所”とは、お互いにとっての安全安心の場所であり、この時、被験者に対してプロティクショナーは対峙するのではなく、敢えて少し外すぐらいに向き合うのが、絶妙にいい間合いになると教えてくれた。

 そして、この安全安心の場所はセッションの間でも微妙に動いて行くそうだ。だから、田畑さんは途中から相手との位置を少し変えていたのだ。

 さあ次は、参加者での実践

 参加者同士でペアを組み、さっきのセッションを実践することになった。
  えっつ? 自分たちでも同じように出来る?

 どの人とペアを組むか、ドキドキしながら探していたら、遠くで日焼けが眩しいキラキラした女性と目があった。
 彼女はまさに今日のスタジオでヨガを指導している方だった。ヨガ歴20年というような出で立ちだった。

 彼女が受け手で、僕が施術する人(プラティクショナー)になった。

 彼女が歩くのを観察すると右肩が少し下がり動きが硬いのが分かった。
  彼女にそれを伝えると肩を前から痛めているとのことだった。

 いよいよ受け手の彼女が心地良い場所を探し仰向けになった。

 プラクティショナーとして、田畑さんのようなことが出来るか。ちゃんとお互いの安全安心の場所を見つけることが出来るのか?急に不安になった。

 そこから、僕が彼女の付近を動きながら自分の感覚で心地良い場所を探した。いざ、やってみると明らかに居心地の悪い場所は分かった。
 頭の上に座ると相手も圧迫感があるし、自分も相手の顔が目に付いて落ち着かない。
 心地良いというよりも、違和感がないと言った方が適切かもしれない。

 そして、心地良さ=安全安心には、相手との距離感も大事だ。

 遠すぎると相手が存在感を感じず不安になる。
 近すぎると圧迫感がある。その絶妙な間合いを詰めて行く。

 僕の位置が決まり、静かに彼女を見守っていると彼女が深い呼吸に入っていった。お腹が静かにゆっくり動いていた。
 
 彼女にリラックスしてもらおうと、僕も目を閉じて瞑想しながら彼女の感覚に同調するように意識してみた。

 10分ほどこの状態を続けた後で、彼女が膝を立てゆっくり上半身から起き上がった。
 
  最初と顔つきが全く違っていた。目の覚醒が半端ない感じだ。

 起き上がって彼女がゆっくり歩くのを観察すると、右肩の下がりが解消し平行になっていた。ほとんど右肩が動いてなかったのが動くようになっていた。
  彼女自身に身体の感覚を聞くと重心がしっかり足の裏に載っている感じだと喜んでいた。

 次は、僕が受け手で彼女がプラティクショナーの番。
 
 先日のヨガで腿裏が筋肉痛だったため、脚が棒のような歩き方だった。
 また、腰痛が3週間続いていて臀部の懲りも治っておらず硬い歩き方だった。その自分のぎこちなさを彼女にも伝えた。

 自分の心地良い仰向けの位置を決める。

  色々と向きを変えてみたが、僕はやはり日差しが入る方を頭にした方が心地良い。いつも陽を求めているからかもしれない。

 次に彼女が動きながら僕との心地良さを探っていく。

 いよいよ二人の位置が決まり、そこに留まりながらお互いの感覚を感じていく。

 受け手は受け手として、プロティクショナーはその役割の中での心地良さを感じていく。
 
 暫くすると落ち着いて呼吸が深くなってきたのが分かる。仰向けになっていた身体がベッタリと床に着いてくる感覚が出てくる。
 後から彼女がこの様子を見ながらどこまで沈んで行くのかと感じたらしい。実際に床に沈むわけではな胃から、彼女自身がこの感覚に深く共鳴したのだと思う。
 
 そのまま身体の変化を味わっていると胸が開いていく感覚も出てきた。
 
 10分ほどこの状態を味わい、膝を立てゆっくりと上半身を起こし胡座になった。

  胡座になって、最初に感じたのは上半身がなんと軽いこと。体重が72キロの上半身とは思えないほどに。また、まっすぐ背中が立っているのが明確に分かる。

 立ち上がり歩いて見た。
 彼女から見ても上半身が非常に軽やかに映っていたようだ。足の運びも最初の鉛のような感じからはかなり滑らかになっていた。

 全員が交互にセッションを終えた。

 田畑さんが一人ひとりに身体感覚の変化についてインタビューしていく。

 人それぞれに感覚の差があるが、殆どの人が重心が下半身側に移動し、足の裏に均等に乗ったような感覚になっていると答えた。
 
 田畑さんが介入しなくても、参加者同士で同じ身体変化が起こったのだ。 


<第2部のセッション>
 

 基本的に1部と同じようなセッションを行ったが、1部のセッションよりもプロテクショナーがより受け手側に接近していく。

 受け手側が安全安心と感じれる空間に接近するには、受けて側が開いてくれたオープンなる場所にそっと入れてもらうという感覚でいくといいようだ。

 第一部のセッションの相手との心地良さを喩えると、植物的な柔らかい感じに対し、第二部のセッションは、より相手との共鳴を楽しもうと動物的にワクワクする感覚ということだ。

 第2部も同じペアとセッションを行った。顔がキラキラしたヨガの先生コウさん。

 彼女が受け手になり、僕がプロティクショナーとして位置を探って行く。

 敢えて彼女に接近して見る。
 彼女に圧迫感があるかを聞くと「大丈夫」と反応した。
 彼女の方の腕が引っ張れるように近づいてくる感触が伝わってきた。

 また位置を変えて少し方向をずらして探ってみると、目を閉じた彼女がそれを察知したように中心がズレているとリアクションしてくれた。
 (僕の違和感と同調していて凄いと思った。)

 向きを変えて彼女との間合いを感じていると、田畑さんが近寄ってき て、「もっと前に近づいてごらん」と促してくれた。

 彼女の居心地を壊さないように近づいた。

 かなり近さを感じていたが、同じ空間にリラックスしていることができた。目を開けてみると彼女との距離は10センチほどに迫っていた。
 
 ほぼ彼女と同化している感覚。
 彼女が身体を知覚する感覚まで踏み込んでいた。

 目を開けて自分の鼻の先にある彼女を観察すると第1部よりもお腹を大きく動かし子供のように寝ている感じだった。

 ゆっくり起き上がった彼女の顔は、驚くほどキレキレのクレバーな顔をしていた。寝ぼけた顔と真逆のぱっちりと輝いているような顔つきだった。

 セッションの間に、意識が何度か飛んで、不思議な夢(男と女の老人が出てきた)を見たそうだ。

 最後に僕が受け手になった。

 彼女との間合いが決まり、落ち着いてゆっくりと仰向けの姿勢を楽しんだ。

 第2部は、とにかく夢見心地で、ある時は雲の上に浮かんでいて、次には波の上に浮かんでいてゆっくりと波が迫ってくるところで意識が戻ってきた。

 途中から膝を立ててみると、膝がゆっくりと揺れ出し、骨盤が緩むのがはっきりと分った。

 セッションが終わり、ゆっくり歩いてみると臀部のコリが取れ、朝一番の下半身の状態からは、明らかに軽快になっていた。 

 田畑さんが一人ひとりに身体感覚の変化をインタビューした。

 ある一人が、右足が痺れて前が向けない状態になってしまっていた。なぜそうなってしまったのか?

 田畑さんによれば、関節の位置関係が変わり、いつもと重心の乗り方も
変わってしまったことが原因だろうということだった。
 田畑さんが彼女について手を添えるような何かをしていた。すると右足が痺れていた彼女が普通に戻ってしまった。
 彼女が一番びっくりしていた。これが天才田畑と言われる施術なのだろう。

 何をしたのか、皆が聞きたがったが、田畑さんは、「身体がこっちに行きたがってたので、それを促した」というような答えだった。

 最後に、全員で車座になりワークショップ全体についての振り返りや田畑さんへの質問を行った。
 朝の10時から始まったワークショップは予定の17時を超えてあっという間の時間だった。


田畑さんのワークショップを体験して感じたこと


1 人と人には固有の波動があり、それはお互いの相対的関係性、空間的位
  置関係により、お互いにとっての心地良い場所=安全安心な空間が起こ
  る(現象だと言っていいのではないか)

2 1の空間状態は、お互いに影響を受けながら動いて行く、即ち心地良い
  場所=安全安心な場所もお互いの身体が変化するように動いていく。

3 心地良い場所=安全安心な場所に置いて、人の身体は自らの内部の力で
  心地良い方に変化していく。(関節が緩んだり、重心のバランスが整っ
  たり)
  → これは、心地良い環境があれば、自分から良くなる方に動き出すの
    が身体のメカニズムであり人間の本質でもある。


 ワークショップの最後に、田畑さんを囲み参加者全員で記念写真を撮った。

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 スタジオから見える港からの陽光と穏やかな風に吹かれて皆の顔がスッキリしていた。

 ワークショップを企画してくれたロルファーの串崎さん。海の見える素敵なスタジオを提供してくれペアとなってくれたコウさん。

 一緒に心地良いワークショップを体験した個性的な参加者の皆さん。

 そしてそして、夢にまで見た田畑さんと同じ空間でその存在を感じ、身体と空間についてのすごい仕組み(秘密)を教えて下さったこと。
 
 この日の全てに感謝いたします。

 さあ、このワークショップの学び・感覚をしっかり体得できるように、誰か興味がある人は実験台になってね。


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