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てるるな話 第三葉 てるる子、誕生。

「きーらーぁー、きーーらーーあぁ、ひーかーるーぅっっ、

おーっそらーのぉーーおぉぅっ、ほーーーーーしーーーよぉーーーーーーーーおおぉおおぉ!!!っとぉ!!!!! 」

てるるは、確かに暇を持て余すのが得意だが、あまりにも暇なときは、持て余すのをやめて、歌を歌ったりする。

その歌声に、ある人はきっと、可愛らしいと言う感想を持つだろうし、ある人はたぶん、ときどきかすれる感じがもどかしいと思うだろうし、ある人は少なからず、癒されるはずだ。

そんなわけで、今日もてるるは、一人遊びをしているのである。

見方によっては、そのままの哀れみを纏っていてもらうのも悪くないが、マダム月は、そうは受け取らない。

「あっらぁ、てるるちゃん。また独壇場遊びをしているのぉ。かわいそうだわ。さみしいわ。せつないわぁ。ああぁ。ねぇ、ちょいと、太陽
先生や」

「なんじゃぁ、マダム月」

「てるるちゃん、なんとかなんないかしらぁ」

「なんとかって、なんじゃ」

「もうろくしてるわねぇ。てるるちゃんに、お友達を創ってあげて欲しいのよ」

「それは構わんが、早くあの件についての、返事をくれんか」

「まあ、せっかちねぇ。もうちょっと待ってって言ってるでしょう」

唐突に登場したマダム月について疑問を抱く暇もなく、太陽先生と彼女との間にある特別な空気感に、多くの人は、ニヤッとすることもなく素通りしたところで、太陽先生は人知を超えているためこう言った。

「好きだ、マダム月、好きだぁ!」

太陽が月に恋をして何が悪い。恋愛モノは王道が一番だ。

「・・・・・・そうだわ。太陽先生にとっての私のような子を、てるるちゃんに創ってあげてくれないかしら」

「めんどくさい」

「さっき構わんって言ったじゃない」

「ぁあああ……わしのとってのマダム月を創ればいいんじゃな」

「そうよ。おねがい」

「よし。創ったら返事を聞かせておくれよぅ。愛羅武勇ビームっ」

びびびびゔぃびびびびびびびびびびびびーーーー!!!!!!!、

「てるる子よ」(超低音ボイス)

こうして、てるる子は、太陽先生にとってのマダム月のような存在として、てるるの前に誕生したのだった。

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