いつの間にか積み上がった経験値

外出して道に迷ったとき、人に道を聞いて助けてもらいます。困っている様子を見て、先に声をかけてくださることもあります。慣れない場所へ行くときは道に迷いやすいので、一回の外出で数人に助けてもらいます。

15年前に白杖を使い始めたときは、あまりの恥ずかしさと劣等感で「誰にも見られたくない」と強く思いました。でも、道に迷ったときは「誰かに助けて欲しい」と思いました。人に「助けて欲しい」と話しかけるのが本当に恥ずかしくて、僕の声は随分か細かったと思います。誰かに見守ってほしいけど、じろじろ見られたくない。助けて欲しいけど、自分kら声がかけられない。そんなジレンマとストレスに随分悩みました。

今でも、人に話しかけるときに結構緊張します。自分でも声が出ていないのがわかります。「すみません」と言葉にしていても、騒音の多い駅などでは小さな声はかき消されます。「すみません」と話しかけても相手に立ち止まってもらえないとき、「声が小さい!」って自分で自分に叱咤してます。なかなか大きな声で「すみません」と言えないのが、僕の悩みです。

それでも、外出するたびに新しい人と出会い、会話をしてきた経験がたくさん積み上がりました。数秒だけの会話で助けてもらうこともあれば、同じ駅で降りるところまで15分一緒に電車に乗ったこともありました。いろいろな人と会話をした経験は、15年間で1,000人以上になっていると思います。助けてくれる人と会話が続かなかったり、会話が盛り上がったり、その都度積極的に指紋をして会話を楽しんできました。こうして日々積み上げている経験がどんな役に立つのかわかりません。でも、「ここまでよく頑張ってきたなぁ」とふと感じました。

白杖を使い始めたときのことを思い出したら、あのときの自分が日々トライしてきたから今の自分があるんだなと、誇らしく思いました。

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