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#17 人間関係という資本

人が経済的な活動を行うとすれば活動のインフラとして、資本が必要になる。「資本」というと、お金や土地建物など、所有しているものをイメージする人が多いだろう。
けれどもそれだけが資本ではない。人と人との関係も重要な資産になるのだ。

人間関係を一つの資本として捉える社会学・心理学の用語で「ソーシャルキャピタル」という。「人間関係資本」、「社交資本」などとも訳されることがある。

人間関係資本に注目して研究を展開したのはアメリカの政治学者R.パットナムだ。パットナムは人間関係資本を「相互信頼」、「互酬性の規範」、「社会ネットワーク活動」の3つの側面から捉えている。

人間同士がお互いに信頼しあい、相互に貢献し合って、自発的な協力関係によって営まれる活動の活発な地域が、ソーシャルキャピタルの豊かな地域とされる。そしてソーシャルキャピタルが豊かな地域であるほどに、地域住民の政治に関心が高く、子供の教育成果も上がり、治安の向上し、地域経済も発展し、地域住民の健康状態も向上するといった効果をもたらしているということをパットナムは調査に基づいて指摘している。

ソーシャルキャピタルは、近所の人と一緒に掃除をしたり、見ず知らずの人とおしゃべりをしたりするだけで高まるのだ。

日本の地方部のソーシャルキャピタルはどう変化しているだろうか?

ネットで情報は氾濫し、SNSでやりとりはしているが、それらのコミュニケーションは単調で、どちらかというと画一的だ。
一方で日常的な人間関係は形式化し、人に会うにもアポを取ってからとなりがちだ。それにコロナ禍が追い打ちをかけた。

これからの人とのコミュニケーションのカタチは、どうデザインすることができるのか・・・大きな課題だ。